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悪役令嬢の疼き
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「経営についてはご心配なく。娘たちも健康で、巣立っていく子たちからも便りが来ます」
「なら、心配ありませんね」
伯爵夫人とフリージアは、『兎の園』の運営についての遣り取りを交わした。
こうした部分を引き受けているからこそ、悪の公爵家とその令嬢と誹りを受けるが、それでも利用する上流階級も多ければ、救われる者もいる。
「さて、難しいお話も終わりましたからさっそく始めましょうか」
「どうか、よろしくお願いします。伯爵夫人……」
伯爵夫人はすっと立ち上がると、そのドレスをすとんと脱いだのである。
コルセットのおかげか体型に崩れはなく、たわわな胸が零れそうだ。下着も娼館の女主人だけあってか、扇情的なものに見える。腰から尻にかけてのラインは、くっきりとして優美なものである。それでいて、腿と尻の肉はなんともいえないボリュームがあった。
子鹿のような若い娘にはない、熟れた魅力である。
薔薇から抽出した香水の香りが、エリンの鼻をくすぐった。
思わず赤面して顔を背けたエリンであったが、伯爵夫人の方から歩み寄ってくる。
「な、な、なにを……」
「あなたには少しお手伝いをしてもらいます。ふふっ、役得ですね」
にっこりと微笑む伯爵夫人。
その優しげな包容力には、逆らえなくなるような魔力を感じてしまう。
「手伝うって……」
「お嬢様のもう年頃ですから、夜の営みについて学ばなければならないの。殿方を喜ばすことは、女の幸福に繋がりますから」
「それと、僕にどんな関係があるっていうんだ!」
「乱暴な殿方を相手に学ぶより、あなたのような子なら安心でしょう? お嬢様のご指名ですけど、私も賛成です。……怯えているのですね」
「こ、こないで……」
優しげでおっとりとした印象を与える伯爵夫人であるが、メイド長よりも“女”というものを感じさせる。
まるで子犬のように怯え後ずさるエリンをにこやかに追い詰めていく。
「いろいろひどいことをされたのは聞いています。お嬢様の命を狙ったというのも、誰かに命じられただけなのでしょう? こんなに可愛らしい子なのに……」
エリンの境遇に同情したのか、愛おしむような表情を浮かべている。
「あの子も生きていたらあなたくらいかしら? 大丈夫、怖いことなんてしないわ。うんと可愛がってあげる。ううん、可愛がらせて」
「そ、そんな。あ……」
伯爵夫人は、エリンを引き寄せて抱き寄せた。
たっぷりとした肉感が、少年を包んでいく。
底なしの安心感に落ちていくようだった。
今まで、女性への性を恐れるような仕打ちばかりであったが、伯爵夫人が抱かせるものは違う。
母を知らぬ孤児であったエリンには、抗いがたいものを感じでしまった。
「ふふ、捕まえた。震えているのね。落ち着くまでこうしていましょうか?」
「離せ、離して……!」
「いやよ、せっかく捕まえたのに。あなたの震えが止まるまで、こうしていましょう」
フリージアは、伯爵夫人の手並みに関心するばかりであった。
差し向けた者の名を言うまいと、頑なに口を噤んでいたエリンが籠絡されていく。
そこには、本当の愛情があるかのように思える。
いや、子を亡くした夫人にとって年若いエリンは、慈しむ対象なのであろう。
一線を退いた今でも若い貴族の指定たちから指名が入るという夫人の魅力は本物である。
しかし、一方で嫉妬を感じるのも事実ではあった。
「さっ、いやいやしないでベッドにいきましょうね。それとも、こんなおばさんはいや?」
「そ、そうじゃない、けど……」
エリンは、母の愛も知らずに育った。
誰かから愛情を注がれるという経験は、今までにない。
それが娼館という場の仮初めでも戸惑ってしまう。
「うれしいわ。大丈夫よ、ちょっとだけでいいから。少しだけ、協力してちょうだい。ね?」
耳元で甘く囁き、その豊満な身体で抱きしめる。
心地よい柔らかさに、ずっと甘えてしまいたくなる。
そして、この年上の女性からどんな気持ちのいいことをなされるのだろうか?
甘い誘惑に期待されられてしまう。
今まで味わった性的虐待も、異常な快楽を伴ってはいた。
これに屈する恥辱に、負けるものかと抵抗してきたが、伯爵夫人の誘惑は違った。
胸が高鳴るとともに、慈雨のごとき安らぎもあった。
フリージアも、狼の子のようなエリンをおとなしくあやしてしまうことに尊崇の情さえ抱く。
「さあ、こっち」
「あ……」
隙を注いたような形で、豪華な寝具を備えたベッドにエリンを招いて吸わされる。
戸惑い、照れたような純情なエリンが可愛いらしくもある。
伯爵夫人はシャツのボタンを外しながら、頬を当てる。
仲睦まじい親子にさえ見えた。
公爵夫人は、脱がして露わになったエリンの薄い胸板にそっと触れた。
「鍛えているのね。すごく逞しいわ。おばさん、うっとりしちゃう」
「ん……」
「ふふ、くすぐったかったかしら? でも、ほんの少しだけ、触らせて」
エリンに頬を寄せ、胸を擦るように撫でた。
性愛なのか、それとも慈しみなのか――。
太腿にも触れる。激しさもない、いやらしささえない。
子を亡くした母親が、不幸な境遇の少年に本当の愛情を注いでいる、そうのように見えた。
「なら、心配ありませんね」
伯爵夫人とフリージアは、『兎の園』の運営についての遣り取りを交わした。
こうした部分を引き受けているからこそ、悪の公爵家とその令嬢と誹りを受けるが、それでも利用する上流階級も多ければ、救われる者もいる。
「さて、難しいお話も終わりましたからさっそく始めましょうか」
「どうか、よろしくお願いします。伯爵夫人……」
伯爵夫人はすっと立ち上がると、そのドレスをすとんと脱いだのである。
コルセットのおかげか体型に崩れはなく、たわわな胸が零れそうだ。下着も娼館の女主人だけあってか、扇情的なものに見える。腰から尻にかけてのラインは、くっきりとして優美なものである。それでいて、腿と尻の肉はなんともいえないボリュームがあった。
子鹿のような若い娘にはない、熟れた魅力である。
薔薇から抽出した香水の香りが、エリンの鼻をくすぐった。
思わず赤面して顔を背けたエリンであったが、伯爵夫人の方から歩み寄ってくる。
「な、な、なにを……」
「あなたには少しお手伝いをしてもらいます。ふふっ、役得ですね」
にっこりと微笑む伯爵夫人。
その優しげな包容力には、逆らえなくなるような魔力を感じてしまう。
「手伝うって……」
「お嬢様のもう年頃ですから、夜の営みについて学ばなければならないの。殿方を喜ばすことは、女の幸福に繋がりますから」
「それと、僕にどんな関係があるっていうんだ!」
「乱暴な殿方を相手に学ぶより、あなたのような子なら安心でしょう? お嬢様のご指名ですけど、私も賛成です。……怯えているのですね」
「こ、こないで……」
優しげでおっとりとした印象を与える伯爵夫人であるが、メイド長よりも“女”というものを感じさせる。
まるで子犬のように怯え後ずさるエリンをにこやかに追い詰めていく。
「いろいろひどいことをされたのは聞いています。お嬢様の命を狙ったというのも、誰かに命じられただけなのでしょう? こんなに可愛らしい子なのに……」
エリンの境遇に同情したのか、愛おしむような表情を浮かべている。
「あの子も生きていたらあなたくらいかしら? 大丈夫、怖いことなんてしないわ。うんと可愛がってあげる。ううん、可愛がらせて」
「そ、そんな。あ……」
伯爵夫人は、エリンを引き寄せて抱き寄せた。
たっぷりとした肉感が、少年を包んでいく。
底なしの安心感に落ちていくようだった。
今まで、女性への性を恐れるような仕打ちばかりであったが、伯爵夫人が抱かせるものは違う。
母を知らぬ孤児であったエリンには、抗いがたいものを感じでしまった。
「ふふ、捕まえた。震えているのね。落ち着くまでこうしていましょうか?」
「離せ、離して……!」
「いやよ、せっかく捕まえたのに。あなたの震えが止まるまで、こうしていましょう」
フリージアは、伯爵夫人の手並みに関心するばかりであった。
差し向けた者の名を言うまいと、頑なに口を噤んでいたエリンが籠絡されていく。
そこには、本当の愛情があるかのように思える。
いや、子を亡くした夫人にとって年若いエリンは、慈しむ対象なのであろう。
一線を退いた今でも若い貴族の指定たちから指名が入るという夫人の魅力は本物である。
しかし、一方で嫉妬を感じるのも事実ではあった。
「さっ、いやいやしないでベッドにいきましょうね。それとも、こんなおばさんはいや?」
「そ、そうじゃない、けど……」
エリンは、母の愛も知らずに育った。
誰かから愛情を注がれるという経験は、今までにない。
それが娼館という場の仮初めでも戸惑ってしまう。
「うれしいわ。大丈夫よ、ちょっとだけでいいから。少しだけ、協力してちょうだい。ね?」
耳元で甘く囁き、その豊満な身体で抱きしめる。
心地よい柔らかさに、ずっと甘えてしまいたくなる。
そして、この年上の女性からどんな気持ちのいいことをなされるのだろうか?
甘い誘惑に期待されられてしまう。
今まで味わった性的虐待も、異常な快楽を伴ってはいた。
これに屈する恥辱に、負けるものかと抵抗してきたが、伯爵夫人の誘惑は違った。
胸が高鳴るとともに、慈雨のごとき安らぎもあった。
フリージアも、狼の子のようなエリンをおとなしくあやしてしまうことに尊崇の情さえ抱く。
「さあ、こっち」
「あ……」
隙を注いたような形で、豪華な寝具を備えたベッドにエリンを招いて吸わされる。
戸惑い、照れたような純情なエリンが可愛いらしくもある。
伯爵夫人はシャツのボタンを外しながら、頬を当てる。
仲睦まじい親子にさえ見えた。
公爵夫人は、脱がして露わになったエリンの薄い胸板にそっと触れた。
「鍛えているのね。すごく逞しいわ。おばさん、うっとりしちゃう」
「ん……」
「ふふ、くすぐったかったかしら? でも、ほんの少しだけ、触らせて」
エリンに頬を寄せ、胸を擦るように撫でた。
性愛なのか、それとも慈しみなのか――。
太腿にも触れる。激しさもない、いやらしささえない。
子を亡くした母親が、不幸な境遇の少年に本当の愛情を注いでいる、そうのように見えた。
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