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悪徳の流転

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「少年、私は君を助けようとしたのに、あの女を助けたいのか?」
「…………」

 エリンは無言であった。
 何故助けようとしたのか、自分でもよくわからない。

「たらしこまれたのか? あの女に……!」
「それは、違います!」
「だったら、どうして? いや、いい。そんなにあの女が良かったのか? だったら、私が目を覚まさしてあげよう」

 女騎士ノエルが、歪んだような笑みを浮かべた。
 その表情に、エリンは覚えはあった。
 メイド長と同じだ。性的な嗜虐心が露わとなった、あのときのものだ。

「……そらっ!」
「あっ!?」

 腰のあたりに沈み込むようなタックル。
 潤滑油に塗れながらも、見事な入りようであった。
 あっという間に足をとって引き倒す。

「ほお、騎士様もその気になったか!」

 性感を無理やり刺激され、身悶えする令嬢Xことフリージアを組み伏せながら、獣人女戦士フェルディは笑った。

「ほおら、こっちも盛り上がらないとな! ほぉら」
「あっ、んあっ……!?」

 獲物となったビクビクと身体が震える。
 思いっきり太ももをこじ開けるように開かせ、足を肩に担ぐようにして大陰唇同士をこすり合わせる。
 女であるフェルディが、女を犯すという征服感に酔う。
 ぬちゃぬちゃになった身体を密着させて、その柔肌の感触を弄んだ。

「向こうも楽しそうじゃないか。そうだろう、少年?」
「離して、騎士様……」
「君があの女のことを忘れたら、そしてあげる」

 エリンの身体に覆いかぶさり、体全体で抑え込んだ。
 青い瞳で見つめ、エリンの唇を奪う。

「んんん……」
「んっ、んむううう……!?」

 エリンのぷにぷにした唇を噛みつくように貪りつつ、それを舌でこじ開けていく。
 夢中になってエリンの口腔の感触を味わううち、エリンの股間もまた固くなる。
 腹の下から押し上げてくる勃起の勢いに、ノエルの目も嬉しげに光った。
 ぷはっと、味わい尽くして息を継ぐ。

「ほおら、やっぱり私を求めているんだろう?」
「うっ……。そ、そんなことは……」

 あどけない少年が、女騎士に貪られる――。
 その倒錯した光景に、観客たちも大きな声を上げて興奮している。
 だが、もっとも興奮しているのは、ノエルであっただろう。
 自分の見せる痴態への声はもう聞こえていない。
 いまはそれよりも、悪の公爵令嬢の虜になった少年の目を覚まさせる――。
 おのれの欲望は、ノエルの中で正しいことのために行なう行為となったのだ。
 遠慮どころか、積極的にやらねばならないことへと変わった。
 さんざんな屈辱を受けてまで助けようとしたにもかかわらず、裏切ったエリンへの懲罰という意味もまた嗜虐心を昂ぶらせた。

「ほら、固くなっている。私の中に挿れたいのか? それとも、前みたいにしゃぶってもらいたいか」

 太腿を股間に押し付け、ぐりぐりと擦る。
 肌の上はぬるりと潤滑液に塗れ、痛いほど乱暴にされながらも熱を増していった。

 喜んでいる、この少年はいじめられて喜んでいる――。
 
 エリンの反応は、ノエルをそう思わせてより攻撃へと転じさせた。

「ふふっ。はしたないぞエリン……」
「や、やめて!?」

 エリンの耳にささやき、びんびんに固くなった勃起ペニスに手を伸ばした。
 脇から手を回し、するりと体を入れ替えてバックを取る。
 身体を密着させながら、見惚れるようなレスリングテクニックだった。

「ああっ――」
「ほら、私で硬くなったそれを見てもらうんだ。君は、自分がいやらしい子だって思い知らないとな!」

 痛いほどに屹立したそれを、観客席にアピールする。
 こんなことをされても腫れ上がってしまうことへの嘲笑と、異様に興奮した声の数々。
 女騎士ノエルにこんなことをされてしまう自分の情けなさに、エリンの目から涙がこぼれそうになる。
 さらに恥ずかしい思いをさせようと、強く握りしめて乱暴に扱き上げる。

「口の中に出しても、まだ足りないか? ん? もっといっぱいしごいてやろう。ほらほらほらほらぁっ!!」
「い、痛い痛いっ!? やめてよぉ……!」
「これは罰なんだ、我慢するんだ……! みっともなく出しちゃえ! それでみんな忘れてしまえぇぇっ!」

 背後から首に左腕を回して締め上げ、無理矢理にでも射精させようと激しく擦り上げる。
 もう、精液を溢れさせることしか頭にない。
 イッたときの、あのエリンの顔を見たい。

「あっ、ぐあ、あああっ……」

 苦しさと快感に悶えるエリン。
 放ったら、また惨めな気持ちになる。だけど出してしまいたい。
 気を失うほどの気持ちよさが近づいているのがわかる。

「はぁ……。い、や、だ……!」
「うぐっ!? こ、この!」

 締め上げる左腕に噛みつき、その瞬間に振りほどく。
 ちんちんを握る腕の関節を取り、ひっくり返した。
 エリンの逆転である。

「そんなにほしいのかよ、騎士様も!」
「ま、待て! 少年、私は……」
「口を開けろ、ほらぁ!」

 エリンは、その口でワイングラス半分ほども搾り取られている。
 それは自分を助けようとしたからだ。
 だが、結局は性欲のままに自分を貪る行為にしか過ぎなかったのか?
 その悲しみは、怒りと変わった。女騎士ノエルと同じように。

「うぶっ――!?」

 ノエルの頭を抑えて、喉の奥まで突き入れる。
 イマラチオをした経験も、させた経験もあった。
 ちんちんでどう喉を抉れば苦しむかは、よくわかっているのだ。
 苦しげにもがくノエルにお構いなしに、激しいピストンを繰り出した。

「ほらぁっ!!」
「おぶぉっ……」

 頭を手前に引くと同時に、腰を突き入れる。
 喉の奥まで目一杯挿れたところで、吐き出されないようにしばらく止める。
 異物感に苦しむノエルの髪の毛をむしるように握り、また腰を引いたら突き入れる。
 無茶苦茶な刺激に、爆発しそうな快楽が背筋から登ってくる。

「はっ……! ああああああっ!!」

 あまりの興奮に、叫びながら喉の奥で放った。
 ぶるるっと、痙攣してもまだどくどくと溢れ出す。
 大量の精液に、ノエルは溺れるように苦しみもがいた。
 それでもエリンは放つ。ぶるっ、また震えて全部出し切ろうとする。

「――がっ」

 十分に放つと、窒息したノエルは気を失ってひっくり返った。
 会場からは、大きなどよめきがあった。

「はぁ……、はぁ……」

 止まらぬ痙攣のまま、荒い息をつく。
 自分が無我夢中の中でやってしまったことを、エリンは激しく後悔するのだった。
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