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策謀の果てに
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その夜、フリージアはわずかばかりの供を連れて離宮を訪れた。
何人かいる王子のひとりが暮らしているのだが、この離宮を表敬する者は王国でもほとんどいないという。
聡明で次期国王としての器と期待される王太子、武人肌と言われる第二王子と違い、第三王子は、知恵と心が幼いまま成長しなかったと言われており、滅多に人前に出ることすらない。
離宮へ幽閉されているというのが、その実態であった。
この訪問に対し、身の回りを世話する侍従と大臣に賄賂を握らせ、周囲に知られぬよう手配している。
「どうぞ、殿下はこちらへおられます」
「ご苦労でした」
フリージアは、第三王子クラウスの寝所へと侍従に案内させ、下がらせた。
寝所の中では、赤い絨毯のうえに足の踏み場もないほどに玩具が散らかっている。
兵隊の人形や、木馬、独楽や積み木、そういった幼い子供が遊ぶものだ。
「お馬さん、ぱっかぱっか」
その真ん中に、第三王子クラウスはいた。
御歳十四になるという。そのくらいの男子ならば、とうに卒業するような木の馬を走らせて遊んでいた。
母親は、国王がひと目で見初めたと言われる寵姫で、その血を引いているためか天使のように可愛らしい。
しかし、心は年相応には育たなかったと言われ、父王からも放置される形で離宮に押し込められたのだ。
「だ、誰……?」
「ギュスターランド公爵家の娘、フリージアでございます」
寝所への訪問に気づいた王子に、クラウス王子は顔を上げる。切りそろえられた金髪に、透き通るような青い目、白磁のような白い肌。女ですら嫉妬するかのような美貌である。
「僕、お馬さんと遊んでいるの。今日は遅いから、帰って」
フリージアを一瞥すると、クラウス王子は熱心に玩具の馬と遊んでいる。
フリージアは、ふっと笑みをこぼした。
その幼い行為にではない、その中に潜んでいるものに気づいたのだ。
「そんな冷たいことおっしゃらないで。わたくしも、殿下と遊びとうございます」
「え……?」
フリージアは、クラウス王子に寄り添うよう腰を下ろした。
一緒に、馬の玩具に指を伸ばして触れる。
戸惑う様子から、フリージアはあることを徐々に確信していく。
クラウス王子には、しっかりとした知性が宿っていることを。
「……ぼ、僕、お馬さんと遊ぶの。放してよ!」
「いいえ、放しません。殿下が嘘をついておられるから」
幼い子供がするように、駄々をこねるクラウス王子だったが、フリージアは遠慮しなかった。
後ろから抱きしめ、まだ薄い胸板を弄りながら、ふわふわとした耳たぶに息を吹きかけ、甘噛をする。
「やっ……!?」
思わず、フリージアを突き飛ばすクラウス王子。
その反応は、演じた幼さであったことをさらに確信させた。
「やはり、演じていらしたのですね。ご自身を守るために」
「僕、わかんないよ! 僕、お馬さんと遊ぶの……!」
「ふふ、強情ですね」
「お馬さん、ぱっかぱっか、あっ……!?」
今度は、首筋に唇を当て、内腿を撫で回していく。
まだ偽ろうとするなら、容赦はしない。
背筋から柔らかな胸を押し当て、女の柔肌を味合わせてやるのだ。
その間も、フリージアはエリンのことを忘れなかった。
――このことを知ったら、エリンはどんな顔をするのだろう?
そしてまた、エリンと違った魅力を王子に感じていたのも事実だった。
薄弱さを演じながらも、異性を感じて戸惑う初々しさは可愛らしい。
触れれば、すっかり固くなっている。
やはり、王子もまたエリンと同じく少年なのだ。
「殿下、ずっと演じてくださても構いませんわ。そのまま、犯して差し上げます」
耳元で囁いた。
フリージアの宣言でもあった。
「犯……す? あっ、だ、駄目っ……!?」
「殿下には、わたくしの処女を捧げます」
股間を弄り、伯爵夫人に教えられたように触れていく。
そのまま服を脱がすと、白く脈打つ陰茎とピンク色の亀頭がさらけ出された。
今、初めて異性に見られ、触れられたのだろう。
クラウス王子も、どうすればいいかわからないようであった。
「わたくしに任せて。ほおら、気持ちよくさせてあげますからね」
「や、やめて! 恥ずかしい……!?」
拒もうとするクラウス王子に構わず、懐に忍ばせた小瓶から潤滑油を掌に垂らした。
両掌になじませると、銀食器を磨くような丹念さで淡い亀頭を撫で回していく。
「うわあああっ、あっ……!?」
苦しいほどの刺激が、クラウス王子を襲う。
逃れようとする感情と、身体を痺れさせる感覚――。
「殿下。うむぅ……」
「んんんっ……」
そのまま、フリージアはクラウス王子の唇を塞いだ。
舌を口腔に侵入させ、絡みつかせる。
いつかエリンにしてやりたいと夢想していた行為を、存分にぶつけた。
クラウス王子は、エリンが見せる性と快楽への抗いとは、違う反応をする。
それもまた、好ましいものだった。
フリージアは、どちらも愛せるし、楽しめる。
悪の公爵家に生まれ、自分に淫蕩な血筋にあることをはっきりと自覚した。
この少年王子に処女を授けたら、どんな顔をするだろう? それを知ったら、エリンも嫉妬してくれるだろうか?
背徳的な好奇が、フリージアの情欲を焚き付けた。
そう、メイド長や伯爵夫人がエリンにしたように。あるいは、女戦士と女騎士がエリンにしたように。
この少年王子を、存分に弄んでやるのだ。
「……っぷはっ! ああ……」
「んふぅ」
可愛らしい舌の感触を十分に味わうと、フリージアはクラウス王子の口を解放した。
驚きと怯えるような表情が、支配欲を掻き立てる。
同時に、白痴のふりをしながら王族からも遠ざけられてきた少年への同情心も湧いている。
自分と結ばれることで、この子はふさわしい地位に返り咲けるだろう。
クラウス王子の童貞を奪い、処女を捧げることに躊躇はなかった。
何人かいる王子のひとりが暮らしているのだが、この離宮を表敬する者は王国でもほとんどいないという。
聡明で次期国王としての器と期待される王太子、武人肌と言われる第二王子と違い、第三王子は、知恵と心が幼いまま成長しなかったと言われており、滅多に人前に出ることすらない。
離宮へ幽閉されているというのが、その実態であった。
この訪問に対し、身の回りを世話する侍従と大臣に賄賂を握らせ、周囲に知られぬよう手配している。
「どうぞ、殿下はこちらへおられます」
「ご苦労でした」
フリージアは、第三王子クラウスの寝所へと侍従に案内させ、下がらせた。
寝所の中では、赤い絨毯のうえに足の踏み場もないほどに玩具が散らかっている。
兵隊の人形や、木馬、独楽や積み木、そういった幼い子供が遊ぶものだ。
「お馬さん、ぱっかぱっか」
その真ん中に、第三王子クラウスはいた。
御歳十四になるという。そのくらいの男子ならば、とうに卒業するような木の馬を走らせて遊んでいた。
母親は、国王がひと目で見初めたと言われる寵姫で、その血を引いているためか天使のように可愛らしい。
しかし、心は年相応には育たなかったと言われ、父王からも放置される形で離宮に押し込められたのだ。
「だ、誰……?」
「ギュスターランド公爵家の娘、フリージアでございます」
寝所への訪問に気づいた王子に、クラウス王子は顔を上げる。切りそろえられた金髪に、透き通るような青い目、白磁のような白い肌。女ですら嫉妬するかのような美貌である。
「僕、お馬さんと遊んでいるの。今日は遅いから、帰って」
フリージアを一瞥すると、クラウス王子は熱心に玩具の馬と遊んでいる。
フリージアは、ふっと笑みをこぼした。
その幼い行為にではない、その中に潜んでいるものに気づいたのだ。
「そんな冷たいことおっしゃらないで。わたくしも、殿下と遊びとうございます」
「え……?」
フリージアは、クラウス王子に寄り添うよう腰を下ろした。
一緒に、馬の玩具に指を伸ばして触れる。
戸惑う様子から、フリージアはあることを徐々に確信していく。
クラウス王子には、しっかりとした知性が宿っていることを。
「……ぼ、僕、お馬さんと遊ぶの。放してよ!」
「いいえ、放しません。殿下が嘘をついておられるから」
幼い子供がするように、駄々をこねるクラウス王子だったが、フリージアは遠慮しなかった。
後ろから抱きしめ、まだ薄い胸板を弄りながら、ふわふわとした耳たぶに息を吹きかけ、甘噛をする。
「やっ……!?」
思わず、フリージアを突き飛ばすクラウス王子。
その反応は、演じた幼さであったことをさらに確信させた。
「やはり、演じていらしたのですね。ご自身を守るために」
「僕、わかんないよ! 僕、お馬さんと遊ぶの……!」
「ふふ、強情ですね」
「お馬さん、ぱっかぱっか、あっ……!?」
今度は、首筋に唇を当て、内腿を撫で回していく。
まだ偽ろうとするなら、容赦はしない。
背筋から柔らかな胸を押し当て、女の柔肌を味合わせてやるのだ。
その間も、フリージアはエリンのことを忘れなかった。
――このことを知ったら、エリンはどんな顔をするのだろう?
そしてまた、エリンと違った魅力を王子に感じていたのも事実だった。
薄弱さを演じながらも、異性を感じて戸惑う初々しさは可愛らしい。
触れれば、すっかり固くなっている。
やはり、王子もまたエリンと同じく少年なのだ。
「殿下、ずっと演じてくださても構いませんわ。そのまま、犯して差し上げます」
耳元で囁いた。
フリージアの宣言でもあった。
「犯……す? あっ、だ、駄目っ……!?」
「殿下には、わたくしの処女を捧げます」
股間を弄り、伯爵夫人に教えられたように触れていく。
そのまま服を脱がすと、白く脈打つ陰茎とピンク色の亀頭がさらけ出された。
今、初めて異性に見られ、触れられたのだろう。
クラウス王子も、どうすればいいかわからないようであった。
「わたくしに任せて。ほおら、気持ちよくさせてあげますからね」
「や、やめて! 恥ずかしい……!?」
拒もうとするクラウス王子に構わず、懐に忍ばせた小瓶から潤滑油を掌に垂らした。
両掌になじませると、銀食器を磨くような丹念さで淡い亀頭を撫で回していく。
「うわあああっ、あっ……!?」
苦しいほどの刺激が、クラウス王子を襲う。
逃れようとする感情と、身体を痺れさせる感覚――。
「殿下。うむぅ……」
「んんんっ……」
そのまま、フリージアはクラウス王子の唇を塞いだ。
舌を口腔に侵入させ、絡みつかせる。
いつかエリンにしてやりたいと夢想していた行為を、存分にぶつけた。
クラウス王子は、エリンが見せる性と快楽への抗いとは、違う反応をする。
それもまた、好ましいものだった。
フリージアは、どちらも愛せるし、楽しめる。
悪の公爵家に生まれ、自分に淫蕩な血筋にあることをはっきりと自覚した。
この少年王子に処女を授けたら、どんな顔をするだろう? それを知ったら、エリンも嫉妬してくれるだろうか?
背徳的な好奇が、フリージアの情欲を焚き付けた。
そう、メイド長や伯爵夫人がエリンにしたように。あるいは、女戦士と女騎士がエリンにしたように。
この少年王子を、存分に弄んでやるのだ。
「……っぷはっ! ああ……」
「んふぅ」
可愛らしい舌の感触を十分に味わうと、フリージアはクラウス王子の口を解放した。
驚きと怯えるような表情が、支配欲を掻き立てる。
同時に、白痴のふりをしながら王族からも遠ざけられてきた少年への同情心も湧いている。
自分と結ばれることで、この子はふさわしい地位に返り咲けるだろう。
クラウス王子の童貞を奪い、処女を捧げることに躊躇はなかった。
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