運命を殺したい僕、運命を幸せにしたい俺

かりん

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8 たかが噂で民衆は踊る。

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(side夏向)
そんな時……ふと、校内放送が流れる。

「なんだろう……?」
『一年B組の結野夏向さん、大至急職員室までお越しください』

校内放送は僕を呼び出すものだった。未だに僕はぴんと来ていなくて、首を傾げる。その様子を見た光希が、思い当たるものがあるようで『ああ』と言った。

「もしかしたら、無断外出の罰則だろう」
「あ……」

そうだ、忘れてた。確か外出するのには届出がいるんだっけ。もう帰るつもりさえ無かった僕だから、勿論届出なんか出てないんだけど。
そうだった。学園に帰ってきたのだから学園のルールには従わないといけない。

「大丈夫だ。初犯だし、反省文で済むよ。ほら、俺もついて行ってあげるから」
「いや、いい。僕ひとりで行ける」
「送らせてくれ。夏向をなるべくひとりにはさせたくない」

ずるずると、光希の甘い罠に囚われてしまいそうだ。まっすぐな光希の視線。そのせいで、僕の心は蝋燭のように揺れた。

「食事中じゃん。ふたりで話してて。僕がいると話しにくいみたいだから……。それに、ここから職員室は近いし」
「でも」
「大丈夫だよ」

結局僕はその後の光希の返事も聞かずに、職員室に向かった。
担任の先生に原稿用紙を渡されて、『出来たら帰っていいよ』と言われた。
椅子に座って、筆記用具を取り出し原稿用紙を埋めていく。
書き出しは……何が良いんだっけ、反省文とか書いたことないからことばが浮かばないや。

「結野」

そんなことを考えていたら、担任の声が僕の上から聞こえた。
思わず顔を上げる。

「おまえ変な噂が出回っているんだが……本当か?」
「噂……ですか?」

生徒会長である光希のことは、さっき聞いたばかりだ。
でも……僕の噂?それは藍先輩から聞いてない。

「知らないのか?」
「はい」
「クラスの生徒が教えてくれたんだ。『ハトファイ』は知っているか?」

そう言われて僕は首を横に振った。さっきも聞いたその単語を、僕は知らない。

「生徒限定のSNSらしいが……。そこで変な噂が流れている。もし本当なら退学ものだぞ」
「えっと、分からないんで……今調べてみてもいいですか?」

知らないものは言い訳のしようも、嘘か本当かの、判断のしようも無い。
担任も散々迷って、そして許可をしてくれた。
スマホで『ハトファイ』と検索をかけてみる。
それで漸く分かったのだが、『ハトファイ』とか五羽都学園の生徒限定のSNSだ。
正式名称は『ハトファイブ』……。それを略して『ハトファイ』か。
それにしても、何故光希も藍先輩も僕に教えてくれなかったのだろう。その疑問の答えは、アカウント作成を終えた後に、ハトファイを開いたらすぐにわかった。

「なんだよ、これ」

思わず声が出てしまった。


ーーー
ハッピーバレンタインです。
イラスト描きたい欲のせいで肝心の小説は進んでいません。
夏服ばっかりなので冬服描きました。
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