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11 無自覚の『可愛い』は行動から現れる。
実況
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(side夏向)
庭園には、丸いテーブルと、それを囲むように椅子が幾つかある。テーブルにオムライスのトレイを置いて、僕たちは昼食を食べた。
美味しいな、と思いせっせと食べる。そんな僕をじっと見ていた藍先輩はふと口を開いた。
「なんか、いい事あった~?」
「……え?」
「なんだろうね、昨日より幸せそう」
「そう見えますか?」
「見えるから聞いてるの~」
「確かに」
幸せそうか。確かに今の僕は幸せだ。光希とたくさん話して、そして僕は決断出来たから。覚悟を決めたのだ。藍先輩は鋭いなぁなんて苦笑する。お見通しだから隠し事が出来ない。
「藍先輩。僕はもう、光希の味方です」
そう僕が言えば、藍先輩は心底嬉しそうに笑った。いつも笑顔を浮かべている人だけれど、僕に見せる笑顔では今が一番だ。
漸く、うっすらとあった藍先輩との壁を壊せたのかもしれない。
「幸せになってね。かなたん」
舌をぺろっと出して、藍先輩は僕を渾名で呼んだ。
かなたん、かなたん……か。
そのネーミングセンスについては理解出来ないけれど……ああ、これが藍先輩のコミニケーションの方法なのか。
僕は藍先輩に認められたのだ。たまらなく嬉しくて、ほっとしてしまう。
「はい。出来るなら幸せになりたいです」
でも、やっぱりほんの少し……不安になることもある。たった小さな欠片みたいな不安。それを少し感じてしまって胸に手を当てていると、今度は蓮叶くんが口を開いた。
「……不安なのか?」
「え、えっと。うん」
図星で戸惑ったけれど、こくりと頷く。
「何が不安なの~、みっくんは本気だよ?」
藍先輩が首を傾げて聞いてくる。藍先輩は鋭い。けれども僕の不安が分からないのは、彼がαだからだろうか。こういうのは同じΩである蓮叶くんの方が鋭い。
「不安……です。僕はあの人のことは信頼している。けれど、不安になるのは信頼してないってことになるのでしょうか?………『真実』と『認識されていること』は違うんです。そして大事なのは真実ではなく『認識』の方」
「かなたん。噂のこと、気にしているの?」
「それは……」
歯を、噛み締めた。
僕は気にしてる。例え光希が生徒会長に相応しくても、それが認識されなければ意味が無い。
生徒会長で無くなった瞬間に、光希は生徒会長に相応しくないという烙印を押される。
認識によって、それが真実になってしまう。
「僕は、彼の……右代春都の怖さを知っています。彼は、特別なαですから」
「特別?みっくんもαの中でも特に優秀だけど……それとも違うの?」
「はい。優秀と特別は違います。どちらが優れているとかでは無くて……えっと」
どういえば正しく伝わるのだろう。言葉に詰まってしまってあたふたしていると、『詮索しすぎ』と蓮叶くんが藍先輩を肘でつついた。
「れんちゃんに怒られちゃった。確かにかなたんにとってはデリケートな話だよね~。さ、ご飯食べよ食べよ。冷めちゃうよ~」
「気にするなよ。藍はいつもこうだから、ウザかったら言えよ」
「大丈夫」
そういえばオムライスの手が止まっていた。
っていうか、藍先輩とはいつも何かを食べながら話している気がする。お菓子だったりランチだったり……藍先輩はいつも美味しそうに食べるから見ていて楽しくなるけれど。一通り食べえた後、まだ満足していないのか藍先輩が言葉を切り出した。
「僕、デザート食べようかと思ってるんだけど~。れんちゃん、かなたん。いる~?僕が買ってきてあげようか?」
「お前まだ食べる気かよ。太るからやめろって言ってるだろ?前だって食後にデザートっていってケーキワンホール食べてた癖に。俺怒ったよな、藍」
あ、蓮叶くんが世話焼きって本当だ。別に疑ってた訳では無いけれど。なんで相方のカロリーの心配してるんだ。
「だぁって、前のれんちゃんの発情期でいっぱいカロリー消費したもん!!」
「……な!!」
なんの痴話喧嘩だ。僕がいるのに。ほら恥ずかしがり屋の蓮叶くんは案の定、真っ赤になってる。ああ、れんちゃん。しっかりして。ワナワナ震えてるの可愛い。
って何心の中で実況してるんだ、僕。いや、ふたりのやり取りが微笑ましくて、つい楽しんでしまったけれど。本当に仲良いんだな、いいな。
「かなたん、そんな温かい目をしてないでさ~。かなたんはデザートいる?」
「え!?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。傍観者のつもりでいたけれど……僕も質問されてたんだった。
「……要らないです」
日替わりランチはタダだけど、デザートとなれば料金が発生する。お金がない僕は食べたくても食べられないのだ。
「はぁい、れんちゃんも要らないよね。じゃあ僕の分だけ買ってくるよ~」
そう言った藍先輩は、いそいそと食堂に向かった。
庭園には、丸いテーブルと、それを囲むように椅子が幾つかある。テーブルにオムライスのトレイを置いて、僕たちは昼食を食べた。
美味しいな、と思いせっせと食べる。そんな僕をじっと見ていた藍先輩はふと口を開いた。
「なんか、いい事あった~?」
「……え?」
「なんだろうね、昨日より幸せそう」
「そう見えますか?」
「見えるから聞いてるの~」
「確かに」
幸せそうか。確かに今の僕は幸せだ。光希とたくさん話して、そして僕は決断出来たから。覚悟を決めたのだ。藍先輩は鋭いなぁなんて苦笑する。お見通しだから隠し事が出来ない。
「藍先輩。僕はもう、光希の味方です」
そう僕が言えば、藍先輩は心底嬉しそうに笑った。いつも笑顔を浮かべている人だけれど、僕に見せる笑顔では今が一番だ。
漸く、うっすらとあった藍先輩との壁を壊せたのかもしれない。
「幸せになってね。かなたん」
舌をぺろっと出して、藍先輩は僕を渾名で呼んだ。
かなたん、かなたん……か。
そのネーミングセンスについては理解出来ないけれど……ああ、これが藍先輩のコミニケーションの方法なのか。
僕は藍先輩に認められたのだ。たまらなく嬉しくて、ほっとしてしまう。
「はい。出来るなら幸せになりたいです」
でも、やっぱりほんの少し……不安になることもある。たった小さな欠片みたいな不安。それを少し感じてしまって胸に手を当てていると、今度は蓮叶くんが口を開いた。
「……不安なのか?」
「え、えっと。うん」
図星で戸惑ったけれど、こくりと頷く。
「何が不安なの~、みっくんは本気だよ?」
藍先輩が首を傾げて聞いてくる。藍先輩は鋭い。けれども僕の不安が分からないのは、彼がαだからだろうか。こういうのは同じΩである蓮叶くんの方が鋭い。
「不安……です。僕はあの人のことは信頼している。けれど、不安になるのは信頼してないってことになるのでしょうか?………『真実』と『認識されていること』は違うんです。そして大事なのは真実ではなく『認識』の方」
「かなたん。噂のこと、気にしているの?」
「それは……」
歯を、噛み締めた。
僕は気にしてる。例え光希が生徒会長に相応しくても、それが認識されなければ意味が無い。
生徒会長で無くなった瞬間に、光希は生徒会長に相応しくないという烙印を押される。
認識によって、それが真実になってしまう。
「僕は、彼の……右代春都の怖さを知っています。彼は、特別なαですから」
「特別?みっくんもαの中でも特に優秀だけど……それとも違うの?」
「はい。優秀と特別は違います。どちらが優れているとかでは無くて……えっと」
どういえば正しく伝わるのだろう。言葉に詰まってしまってあたふたしていると、『詮索しすぎ』と蓮叶くんが藍先輩を肘でつついた。
「れんちゃんに怒られちゃった。確かにかなたんにとってはデリケートな話だよね~。さ、ご飯食べよ食べよ。冷めちゃうよ~」
「気にするなよ。藍はいつもこうだから、ウザかったら言えよ」
「大丈夫」
そういえばオムライスの手が止まっていた。
っていうか、藍先輩とはいつも何かを食べながら話している気がする。お菓子だったりランチだったり……藍先輩はいつも美味しそうに食べるから見ていて楽しくなるけれど。一通り食べえた後、まだ満足していないのか藍先輩が言葉を切り出した。
「僕、デザート食べようかと思ってるんだけど~。れんちゃん、かなたん。いる~?僕が買ってきてあげようか?」
「お前まだ食べる気かよ。太るからやめろって言ってるだろ?前だって食後にデザートっていってケーキワンホール食べてた癖に。俺怒ったよな、藍」
あ、蓮叶くんが世話焼きって本当だ。別に疑ってた訳では無いけれど。なんで相方のカロリーの心配してるんだ。
「だぁって、前のれんちゃんの発情期でいっぱいカロリー消費したもん!!」
「……な!!」
なんの痴話喧嘩だ。僕がいるのに。ほら恥ずかしがり屋の蓮叶くんは案の定、真っ赤になってる。ああ、れんちゃん。しっかりして。ワナワナ震えてるの可愛い。
って何心の中で実況してるんだ、僕。いや、ふたりのやり取りが微笑ましくて、つい楽しんでしまったけれど。本当に仲良いんだな、いいな。
「かなたん、そんな温かい目をしてないでさ~。かなたんはデザートいる?」
「え!?」
思わず素っ頓狂な声が出てしまった。傍観者のつもりでいたけれど……僕も質問されてたんだった。
「……要らないです」
日替わりランチはタダだけど、デザートとなれば料金が発生する。お金がない僕は食べたくても食べられないのだ。
「はぁい、れんちゃんも要らないよね。じゃあ僕の分だけ買ってくるよ~」
そう言った藍先輩は、いそいそと食堂に向かった。
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