運命を殺したい僕、運命を幸せにしたい俺

かりん

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13 『みつき』は美月とも書ける。

また

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(side夏向)
「ま、公平な生徒会長も夏向だけは特別みたいだけど」
「いや、でも……うん。僕も光希が特別だよ?」
「……可愛い」

いや、蓮叶ったら何を言うんだ。思わず口をぽかんとさせる。今の何が可愛いんだ。確かに恥ずかしくなってもじもじと下向いて話していたけれど!!でもそれだけじゃん。

「いや、蓮叶こそ可愛いから!!っていうか光希も僕のこと可愛いって言うんだよ。訳わかんない」
「は!?俺のどこが可愛いんだよ。絶対俺より夏向の方がΩの配分多いだろ」
「配分とか知らない!関係ない!!れんちゃんの方が可愛い」
「れんちゃん言うな。……もう、話が逸れたな」
「……うん、戻そう」

『コホン』と咳払いして蓮叶は話を戻す。今話したいのは軽い冗談では無い。
冗談で流して曖昧にしていい話ではないのだ。

「藍は後日俺に盗まれた財布を返してきた」
「……え?」
「どうやって取り返したか聞いても、答えてくれなかったけど。いつもと同じ。呑気に笑って、『気にしなくていいんだよ~』って。馬鹿じゃねぇの」
「馬鹿?」

蓮叶はぎゅっと拳を握った。もしかしてこれは、僕にも覚えがある感覚だ。
光希は光希ひとりで僕のことを背負い込んでしまうから。だから多分……。

「そんとき……袖に返り血がついてたことくらい、俺は気付いてるっつーの」

返り血。力強くで奪い返した証拠。藍先輩はαだから可能では有るのだろう。でも他人の為にそこまでする義理は無いはずだ。
下手すれば退学になりかねないのに。輝かしい経歴に傷がつくかもしれない。それなのに当たり前のように、いつもの挨拶みたいに笑う。

光希だってそうだ。裏でコソコソしてるのに『何でもない』って隠してしまう。
僕たちは、無垢じゃ無い。僕たちのために、闇の中に飛び込んだことくらい理解出来るのに。

「うん……αって、そういうところあるよね」
「あるよな~。いい加減にして欲しい。太られるのも嫌だし、だらしね~のも嫌だけど。でも、それが一番嫌。俺だってΩだけど……男なんだよ」
「あはは、蓮叶は世話焼きだよね」
「ち、ちげぇし!!藍がだらしなさ過ぎるから仕方なくだ。……夏向はどうなんだ?」
「えっと、料理作ってあげたら喜んでた……けど?」

でも、ちゃんと作ったのは一回きりだったな。軽く朝食は作ったけれど、あれはカウントして良いんだろうか。
……また、光希に作ってあげたい。喜んだ顔を見て僕も幸せになりたい。
光希の喜んだ時を思い出して、僕は無意識に微笑んでいたみたい。蓮叶は今度はニマニマと笑って僕を肘でつついた。

「……いいじゃん。また作ってあげろよ」
「『また』があったら……」
「ある。生徒会長は夏向の……何?」
「えっと光希……生徒会長は僕の、『希望』」
「な、だから大丈夫だ」

あ、蓮叶は男の子だな、と顔を見てそんなことを考える程には僕は余裕があった。
充分、僕にとっては蓮叶も眩しい。虐めにあって不良っぽく振舞っていたみたいだけれど……本来の元気な男の子みたいな性格が、人を元気にさせる。
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