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14 標的を殺したい僕、運命を守りたい俺
追いかける
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(side不明)
「行かないのかい?」
「……はぁ……うぐ」
春都は考える。
いざとなれば自分以外の『全部』を捨てて、また始められる。ここまで実家が追い詰められたのは予想外だったが、少し『脱皮』をするだけだ。
だから今、目の前にいる藍は春都にとって邪魔だった。
まあ、精々、七世光希を失って苦しめばいいだろう。敵がひとり減るだけで、随分と春都にとって動きやすい世の中になるのだから……。
そんなことを考えていた時だった。
銃声音が聞こえてきた。藍も春都も反応し、体育館の方をむく。
「あーあ、死んじゃったかな。じゃあ、僕はもう行くよ。この学園を去っちゃうから、生徒会長にもなれないだろうけど。おめでとう、僕を追い出すことに成功したね。七世光希くらい、少しの犠牲だよ」
ぱちぱちぱち。軽く、春都は手を叩く。
『おめでとう』。そう言われても喜べる訳がない。
そこにあったのは、空白。未来への絶望。
イメージしたのは最悪の光景。
何も喋ることが出来ず、藍は体育館に向かおうと駆け出した。その時だ。
「……?みっくん」
夏向のフェロモンが消え失せ、代わりに光希のフェロモンを強く感じた。
案の定、光希は夏向を抱きながら、こちらにやって来た。光希は大粒の汗を流し、肩で息をしている。腕だって血が流れているのに、それでもしっかりと夏向を抱いて離さない。
ここまで険しい顔をする光希はレアだ。相当、運命の発情フェロモンを我慢したに違いない。眉間に皺は深く刻まれ、感情が爆発する一歩手前……藍にはそう見えた。
そして、それで全てが理解出来た。杞憂だったのだ。夏向と光希は運命で、夏向は光希を殺すはずが無い。ふたりは通じ合う、好き同士。
悲劇は似合わない。
「電話切ってごめん。余裕が無かったから……」
「いいよ、そんなこと。れんちゃんは?」
「多分、軽い怪我で済んでると思う。心配なら、後で行ってあげて」
光希は夏向を見る。
今は穏やかそうに眠っている。けれども、二種類のキツい薬を短時間で飲んだのだ。どんな副作用が出るのか分からない。
まだ、安心は出来ないけれど……最悪は免れた。
あとは……。
「右代春都は?」
「さっきまで対峙してたけど~……」
銃声音で耐えきれなくなって、藍はその場を離れてしまった。きっと元の場所に戻っても、逃げられてしまっているだろう。光希のことをもっと信じれば良かった。せめて警察がここに来るまで足止めしていれば……。
折角尻尾を掴んで追い詰めたのに。
「そっか。良くやったな。藍」
落ち込んだ藍と裏腹に、光希は不格好に笑った。
「あとは俺が、探すから……だから」
光希は夏向をゆっくり壁に寄りかかるようにそっと下ろす。勿論、夏向はまだ目を覚まさない。
「夏向を任せた」
その言葉を吐いて光希は走り出した。ちなみにまだ藍は返事をしていない。
藍は慌てたが、まあ……信頼してくれているのだろう。大切な番を一時的にでも手放すのだから。軽く溜息をついた。
「はいはい。了解~……みっくん。……なんて、今だけでもちゃんとしよっか」
やっぱり自分は強いαには敵わないけれど。
それでも、藍は今までの努力から、光希の信頼を勝ち取っているのだと実感した。
蓮叶も心配だし……全校生徒へどう説明すればいいんだ。きっとそれも自分の役目だろう。
「承知致しました。光希さま」
光希には、まだ劣るけれど。勿論そんなこと、分かっているけれど。
それでも全力で生きようではないか。
藍は笑った。未来に希望を感じて。
「行かないのかい?」
「……はぁ……うぐ」
春都は考える。
いざとなれば自分以外の『全部』を捨てて、また始められる。ここまで実家が追い詰められたのは予想外だったが、少し『脱皮』をするだけだ。
だから今、目の前にいる藍は春都にとって邪魔だった。
まあ、精々、七世光希を失って苦しめばいいだろう。敵がひとり減るだけで、随分と春都にとって動きやすい世の中になるのだから……。
そんなことを考えていた時だった。
銃声音が聞こえてきた。藍も春都も反応し、体育館の方をむく。
「あーあ、死んじゃったかな。じゃあ、僕はもう行くよ。この学園を去っちゃうから、生徒会長にもなれないだろうけど。おめでとう、僕を追い出すことに成功したね。七世光希くらい、少しの犠牲だよ」
ぱちぱちぱち。軽く、春都は手を叩く。
『おめでとう』。そう言われても喜べる訳がない。
そこにあったのは、空白。未来への絶望。
イメージしたのは最悪の光景。
何も喋ることが出来ず、藍は体育館に向かおうと駆け出した。その時だ。
「……?みっくん」
夏向のフェロモンが消え失せ、代わりに光希のフェロモンを強く感じた。
案の定、光希は夏向を抱きながら、こちらにやって来た。光希は大粒の汗を流し、肩で息をしている。腕だって血が流れているのに、それでもしっかりと夏向を抱いて離さない。
ここまで険しい顔をする光希はレアだ。相当、運命の発情フェロモンを我慢したに違いない。眉間に皺は深く刻まれ、感情が爆発する一歩手前……藍にはそう見えた。
そして、それで全てが理解出来た。杞憂だったのだ。夏向と光希は運命で、夏向は光希を殺すはずが無い。ふたりは通じ合う、好き同士。
悲劇は似合わない。
「電話切ってごめん。余裕が無かったから……」
「いいよ、そんなこと。れんちゃんは?」
「多分、軽い怪我で済んでると思う。心配なら、後で行ってあげて」
光希は夏向を見る。
今は穏やかそうに眠っている。けれども、二種類のキツい薬を短時間で飲んだのだ。どんな副作用が出るのか分からない。
まだ、安心は出来ないけれど……最悪は免れた。
あとは……。
「右代春都は?」
「さっきまで対峙してたけど~……」
銃声音で耐えきれなくなって、藍はその場を離れてしまった。きっと元の場所に戻っても、逃げられてしまっているだろう。光希のことをもっと信じれば良かった。せめて警察がここに来るまで足止めしていれば……。
折角尻尾を掴んで追い詰めたのに。
「そっか。良くやったな。藍」
落ち込んだ藍と裏腹に、光希は不格好に笑った。
「あとは俺が、探すから……だから」
光希は夏向をゆっくり壁に寄りかかるようにそっと下ろす。勿論、夏向はまだ目を覚まさない。
「夏向を任せた」
その言葉を吐いて光希は走り出した。ちなみにまだ藍は返事をしていない。
藍は慌てたが、まあ……信頼してくれているのだろう。大切な番を一時的にでも手放すのだから。軽く溜息をついた。
「はいはい。了解~……みっくん。……なんて、今だけでもちゃんとしよっか」
やっぱり自分は強いαには敵わないけれど。
それでも、藍は今までの努力から、光希の信頼を勝ち取っているのだと実感した。
蓮叶も心配だし……全校生徒へどう説明すればいいんだ。きっとそれも自分の役目だろう。
「承知致しました。光希さま」
光希には、まだ劣るけれど。勿論そんなこと、分かっているけれど。
それでも全力で生きようではないか。
藍は笑った。未来に希望を感じて。
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