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第8話 FAVさんはその日は甘える
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翌日はやはりFAVは休みだった。
そんなにひどいのか、と相棒に問いかけると、ひどいねえ、とあっさりと答えた。
「だからあたしは帰りにコンビニかスーパーに寄っていかなくちゃならないのだよ」
ああ面倒、と言いながら、その口調は何処か楽しげだった。
「買い物当番なんですか?」
「まあそれもあるけどさ、食えるものが無くなってしまうからなあ、あのひとは」
「食えるもの?」
「だったら付き合う?」
P子さんは曖昧に首をかしげた。
*
TEARはエレベーターの4のボタンを押した。一応マンションらしい。ただ決して新しくはない。その外装や、廊下のひび割れ、エレベーターのデザインからして、建ててから二十年以上は経っていそうだった。
P子さんのアパートは十年くらい、といったところだろう。鉄筋ではなく鉄骨なので、そうそう大きな音は立てられない。その点では、このマンションは安心そうだった。
「そーいえばアナタが転がり込んだんでしたね」
バンドのメンバーになって結構な時間が経つが、この二人の部屋に来るのはP子さんも初めてだった。
長い廊下の真ん中あたりに来て、TEARはがさがさと鳴るスーパーの袋を手に掛けると、二度ドアホンを鳴らし、それから鍵を回した。
「鍵持ってるんなら、別にいいでしょうに」
「ただいまの合図なんだよ」
ふふっ、とTEARは笑った。扉を開けると、人の気配が無い。
「ただいまあ」
「……うーん……」
2DKといったところか。P子さんはざっと部屋の中を見渡して判断する。
入ってすぐに、六畳くらいの台所。その奥に南向きの窓がついた部屋が二つ。六畳と四畳半というところか。六畳のほうから声がした、ということは、四畳半のほうをTEARが使っていると見た。
案の定、六畳の部屋から気配がする。のそのそと乱れた金髪が動いた。
「お帰り…… 作業どうだったのよ」
FAVは一度上半身を起こしかける。だがその努力は長くは続かない。
すぐに顔をしかめてシーツの中に身体を沈めてしまう。そんな相棒をちらちらと見ながら、TEARはスーパーの袋をその場に置いて座った。
「まあまあってとこかなあ。まあ仮の方の音が割とリーダー殿お好きだったようだしさ」
「横着して仮で終わりにしたんじゃないだろうね」
「そんなことはいたしません。あたしの音が駄目だったら、あんた等ギターも乗らないでしょ」
「言うねえ」
「だって本当だし」
しゃらっと言いながら、TEARは袋をひっくり返す。
「どれがいい? ミルクプリン、マスカットゼリー、杏仁豆腐、もものゼリー、マンゴプリン、クレームブリュレもあるよ」
それだけにはP子さんにはとうてい見えなかったが。TEARは口にはしないが、ヨーグルトの類も色々あった。チーズケーキなんかもあったりする。
「ミルクプリン」
「はいはい。じゃあこれ。起きられる?」
「起きてやるわよ……」
んー……、ともう一度彼女は力を振り絞る。そして今度はちゃんと起きあがり、身体をずらして、壁にもたれる。
「ホント、顔色も良くないですねえ」
「……ったく何とかならないもんかなあ。用が無いのに何で生理なんか来るのかって思うよ」
「まあ確かにアナタがたじゃああっても無くても」
「や、そーじゃなくて、あたし子供できないから」
え?
P子さんは目をむいた。何か今、ひどくあっさりと言われたような気がするが。
「あれ、言わなかったっけ?」
大きな目を眠そうに半分閉じながら、FAVは受け取ったミルクプリンの包装を実に苦労してむこうとしている。
上手くつかめないのか、手に力が入らないのか判らないが、見ている方が苛立ってきそうなくらい、なかなかむけない。
だがTEARはだからと言って取り上げてむいてやる気配はない。それどころか、自分は悠々とむいてる始末だ。
「P子さんも一個どう?」
「……アナタねえ」
いいのいいの、とTEARは袋の中にあったものでは、一番濃そうなブルーベリーソースつきの三角型のチーズケーキをぽん、とP子さんの手に乗せた。
「どーせ半分も覚えちゃいない」
そしてぼそ、とそう付け足した。
え、と見ると、確かにその声も聞こえてなさそうだった。真剣に、実に真剣にミルクプリンとFAVは格闘していた。
「むけた~」
ふう、と実に嬉しそうにFAVは笑った。はれ、とP子さんは再び目をむいた。
「……だからさあ、このひと今は別人だと思ったほうがいいよ~」
マスカットゼリーはこのつぶをつるんとやるところが美味いんだ、とかはさみながら、TEARはなかなか物騒なことを言った。本当だろうか、とP子さんはやや不安になってくる。
「いつもこうなんですかい? FAVさんや」
「いつもってえ? まーねえ」
白いプリンをつるつると口にしながら、気のない言葉が返ってくる。
「用が無いのに?」
「そーなのー。だってさー、あたしの生理なんて中身が無いみたいなもんなのにさー。だったら無くたっていいのにさー。何でいっつもいっつもこーなのかしらねー」
「女に生まれたことを不運と思え、とは良く言ったものさね」
そしてそう言いながらTEARは二つ目に手をつけている。
そんなアナタ、酒盛りじゃないんですから、とP子さんは内心つぶやく。「二個目」が続けてゼリーでないことがまだ救いかもしれない。
「ヨーグルトは絶対この、フルーツ満載って感じがいいよなあ」
「あ、ヨーグルトあるんなら早く言ってよお」
胡乱な目が、相棒の手をじっと見る。はいはい、とTEARはベッドの上に膝を乗り上げる。P子さんはぎょっとする。
「はいあーん」
あーん。
P子さんまで思わず口を開けてしまった。いくら何でも、自分の見ているものが信じられなかった。
なるほど確かに今は正気じゃあない。こんもりとスプーンに盛り上げたいちごのヨーグルトを、TEARは相棒の軽く開けられた唇の中に注ぎ込む。酸味のせいだろうか。FAVは軽く目を細めた。
「甘ーい」
「そりゃあそうでしょう」
いやそれはアナタ達のほうでしょうに……
P子さんはさすがに頭がくらくらしてくる自分を感じていた。
*
結局ミルクプリンとミックスフルーツヨーグルトと杏仁豆腐の半分を平らげると、また寝るー、とFAVは毛布の中に入ってしまった。すぐにすうすうと寝息が漏れてくる。
「いつもああなんですか?」
「いつもああなんです」
空き容器を片づけながら、TEARは平然と言った。
「生理前に苛立ったりするでしょこのひと。あたしやあんたはそういうこと無いから何だけど、どーも最中も頭のほうに来るみたいで、いつも以上にらりぱっぱになるんだよね」
「危ないですねえ」
「クスリ要らず、って感じかなあ。そんな下手なもの無くたって自分の脳内モルヒネで充分ラリってる感じだよな」
「んー…… でもそういうのって、どっかやっぱり、身体のバランスおかしくしてるってことじゃないですかね」
「あたしもそう思うよ。このひと昔、ずいぶん太かったけど、ダイエットしてこうなったって言ってたらさ、その時にどっかバランス崩してしまったってことは考えられるし」
「……さっき言ってたことは?」
「さっき?」
P子さんは少しためらう。だが聞きたい、という気持ちのほうが勝った。
「子供できない、とか何とか」
「ああ」
まとめた空き容器をTEARは袋にまとめた。そしてぎゅ、とその持ち手を結ぶ。
「ホントらしいよ」
「……」
「そのダイエット、のせいらしいんだけど、急激に体脂肪落としたからか何なのか、生理止まってしまったことがあったんだってさ。で、今はまあこーやって来ることはあるんだけど、……ねえ」
「でも来るんじゃ」
「来ても、中身が無いらしい。ちゃんと医者かかって、それなりに身体に肉戻せば治るんだろーけど」
「それは嫌がる、ってことですか?」
当たり、とTEARは立ち上がり、結んだ袋を台所へ置きに行く。
「あんまり長く続くと、本当にタマゴが出来なくなるらしいんだけどさ、それでも今の身体の方が大事なんだろ、このひとには」
「……難儀なひとだ」
「全く。でも仕方ないよ。それでもちゃんと食いつつ吐かず体重キープで止めてるあたり、このひと理性ちゃんと残ってるからさ。拒食症の女の子じゃあない」
P子さんは自分の二の腕を見る。
右には筋肉がついてるが、左はそうではない。ぷよぷよとしている。別段自分の体脂肪について悩んだことはない。胸も決して小さいほうではない。
「アナタはダイエットとかしたことありますか? TEAR」
いや、とTEARは首を横に振る。
「その点についてはお袋さんに感謝してるよ。結構甘いものとか厳しくしつけられたからね」
「厳しかったんですか?」
「まあ甘いものは歯に悪い、とかだったけどさ、無闇に食べさせはしなかったってこと。あたし自身、まあ外に出て遊び回るのが好きなガキだったからさ、太る間も無かったってことがあるけど」
「ふうん」
「P子さんはどうなのさ」
「ワタシはまあ、あまり動かなくはあったけど…… 別に食い物に執着したことはないし」
運動不足はある。だけどそのために食欲もそう湧かなかったし、だいたいそんなに好きなもの、も無かった。考えてみれば、起伏の少ない少女時代だ、と思う。
学校の友達と連れ立って何処かに甘いものを食べに行くとか、買い物に行くとか、そんなこともなかった。寝込んでいるという訳ではないにせよ、部屋の中でぼんやりとしていることも多かった。
その分を今取り戻しているのかも、しれないが。
そんなにひどいのか、と相棒に問いかけると、ひどいねえ、とあっさりと答えた。
「だからあたしは帰りにコンビニかスーパーに寄っていかなくちゃならないのだよ」
ああ面倒、と言いながら、その口調は何処か楽しげだった。
「買い物当番なんですか?」
「まあそれもあるけどさ、食えるものが無くなってしまうからなあ、あのひとは」
「食えるもの?」
「だったら付き合う?」
P子さんは曖昧に首をかしげた。
*
TEARはエレベーターの4のボタンを押した。一応マンションらしい。ただ決して新しくはない。その外装や、廊下のひび割れ、エレベーターのデザインからして、建ててから二十年以上は経っていそうだった。
P子さんのアパートは十年くらい、といったところだろう。鉄筋ではなく鉄骨なので、そうそう大きな音は立てられない。その点では、このマンションは安心そうだった。
「そーいえばアナタが転がり込んだんでしたね」
バンドのメンバーになって結構な時間が経つが、この二人の部屋に来るのはP子さんも初めてだった。
長い廊下の真ん中あたりに来て、TEARはがさがさと鳴るスーパーの袋を手に掛けると、二度ドアホンを鳴らし、それから鍵を回した。
「鍵持ってるんなら、別にいいでしょうに」
「ただいまの合図なんだよ」
ふふっ、とTEARは笑った。扉を開けると、人の気配が無い。
「ただいまあ」
「……うーん……」
2DKといったところか。P子さんはざっと部屋の中を見渡して判断する。
入ってすぐに、六畳くらいの台所。その奥に南向きの窓がついた部屋が二つ。六畳と四畳半というところか。六畳のほうから声がした、ということは、四畳半のほうをTEARが使っていると見た。
案の定、六畳の部屋から気配がする。のそのそと乱れた金髪が動いた。
「お帰り…… 作業どうだったのよ」
FAVは一度上半身を起こしかける。だがその努力は長くは続かない。
すぐに顔をしかめてシーツの中に身体を沈めてしまう。そんな相棒をちらちらと見ながら、TEARはスーパーの袋をその場に置いて座った。
「まあまあってとこかなあ。まあ仮の方の音が割とリーダー殿お好きだったようだしさ」
「横着して仮で終わりにしたんじゃないだろうね」
「そんなことはいたしません。あたしの音が駄目だったら、あんた等ギターも乗らないでしょ」
「言うねえ」
「だって本当だし」
しゃらっと言いながら、TEARは袋をひっくり返す。
「どれがいい? ミルクプリン、マスカットゼリー、杏仁豆腐、もものゼリー、マンゴプリン、クレームブリュレもあるよ」
それだけにはP子さんにはとうてい見えなかったが。TEARは口にはしないが、ヨーグルトの類も色々あった。チーズケーキなんかもあったりする。
「ミルクプリン」
「はいはい。じゃあこれ。起きられる?」
「起きてやるわよ……」
んー……、ともう一度彼女は力を振り絞る。そして今度はちゃんと起きあがり、身体をずらして、壁にもたれる。
「ホント、顔色も良くないですねえ」
「……ったく何とかならないもんかなあ。用が無いのに何で生理なんか来るのかって思うよ」
「まあ確かにアナタがたじゃああっても無くても」
「や、そーじゃなくて、あたし子供できないから」
え?
P子さんは目をむいた。何か今、ひどくあっさりと言われたような気がするが。
「あれ、言わなかったっけ?」
大きな目を眠そうに半分閉じながら、FAVは受け取ったミルクプリンの包装を実に苦労してむこうとしている。
上手くつかめないのか、手に力が入らないのか判らないが、見ている方が苛立ってきそうなくらい、なかなかむけない。
だがTEARはだからと言って取り上げてむいてやる気配はない。それどころか、自分は悠々とむいてる始末だ。
「P子さんも一個どう?」
「……アナタねえ」
いいのいいの、とTEARは袋の中にあったものでは、一番濃そうなブルーベリーソースつきの三角型のチーズケーキをぽん、とP子さんの手に乗せた。
「どーせ半分も覚えちゃいない」
そしてぼそ、とそう付け足した。
え、と見ると、確かにその声も聞こえてなさそうだった。真剣に、実に真剣にミルクプリンとFAVは格闘していた。
「むけた~」
ふう、と実に嬉しそうにFAVは笑った。はれ、とP子さんは再び目をむいた。
「……だからさあ、このひと今は別人だと思ったほうがいいよ~」
マスカットゼリーはこのつぶをつるんとやるところが美味いんだ、とかはさみながら、TEARはなかなか物騒なことを言った。本当だろうか、とP子さんはやや不安になってくる。
「いつもこうなんですかい? FAVさんや」
「いつもってえ? まーねえ」
白いプリンをつるつると口にしながら、気のない言葉が返ってくる。
「用が無いのに?」
「そーなのー。だってさー、あたしの生理なんて中身が無いみたいなもんなのにさー。だったら無くたっていいのにさー。何でいっつもいっつもこーなのかしらねー」
「女に生まれたことを不運と思え、とは良く言ったものさね」
そしてそう言いながらTEARは二つ目に手をつけている。
そんなアナタ、酒盛りじゃないんですから、とP子さんは内心つぶやく。「二個目」が続けてゼリーでないことがまだ救いかもしれない。
「ヨーグルトは絶対この、フルーツ満載って感じがいいよなあ」
「あ、ヨーグルトあるんなら早く言ってよお」
胡乱な目が、相棒の手をじっと見る。はいはい、とTEARはベッドの上に膝を乗り上げる。P子さんはぎょっとする。
「はいあーん」
あーん。
P子さんまで思わず口を開けてしまった。いくら何でも、自分の見ているものが信じられなかった。
なるほど確かに今は正気じゃあない。こんもりとスプーンに盛り上げたいちごのヨーグルトを、TEARは相棒の軽く開けられた唇の中に注ぎ込む。酸味のせいだろうか。FAVは軽く目を細めた。
「甘ーい」
「そりゃあそうでしょう」
いやそれはアナタ達のほうでしょうに……
P子さんはさすがに頭がくらくらしてくる自分を感じていた。
*
結局ミルクプリンとミックスフルーツヨーグルトと杏仁豆腐の半分を平らげると、また寝るー、とFAVは毛布の中に入ってしまった。すぐにすうすうと寝息が漏れてくる。
「いつもああなんですか?」
「いつもああなんです」
空き容器を片づけながら、TEARは平然と言った。
「生理前に苛立ったりするでしょこのひと。あたしやあんたはそういうこと無いから何だけど、どーも最中も頭のほうに来るみたいで、いつも以上にらりぱっぱになるんだよね」
「危ないですねえ」
「クスリ要らず、って感じかなあ。そんな下手なもの無くたって自分の脳内モルヒネで充分ラリってる感じだよな」
「んー…… でもそういうのって、どっかやっぱり、身体のバランスおかしくしてるってことじゃないですかね」
「あたしもそう思うよ。このひと昔、ずいぶん太かったけど、ダイエットしてこうなったって言ってたらさ、その時にどっかバランス崩してしまったってことは考えられるし」
「……さっき言ってたことは?」
「さっき?」
P子さんは少しためらう。だが聞きたい、という気持ちのほうが勝った。
「子供できない、とか何とか」
「ああ」
まとめた空き容器をTEARは袋にまとめた。そしてぎゅ、とその持ち手を結ぶ。
「ホントらしいよ」
「……」
「そのダイエット、のせいらしいんだけど、急激に体脂肪落としたからか何なのか、生理止まってしまったことがあったんだってさ。で、今はまあこーやって来ることはあるんだけど、……ねえ」
「でも来るんじゃ」
「来ても、中身が無いらしい。ちゃんと医者かかって、それなりに身体に肉戻せば治るんだろーけど」
「それは嫌がる、ってことですか?」
当たり、とTEARは立ち上がり、結んだ袋を台所へ置きに行く。
「あんまり長く続くと、本当にタマゴが出来なくなるらしいんだけどさ、それでも今の身体の方が大事なんだろ、このひとには」
「……難儀なひとだ」
「全く。でも仕方ないよ。それでもちゃんと食いつつ吐かず体重キープで止めてるあたり、このひと理性ちゃんと残ってるからさ。拒食症の女の子じゃあない」
P子さんは自分の二の腕を見る。
右には筋肉がついてるが、左はそうではない。ぷよぷよとしている。別段自分の体脂肪について悩んだことはない。胸も決して小さいほうではない。
「アナタはダイエットとかしたことありますか? TEAR」
いや、とTEARは首を横に振る。
「その点についてはお袋さんに感謝してるよ。結構甘いものとか厳しくしつけられたからね」
「厳しかったんですか?」
「まあ甘いものは歯に悪い、とかだったけどさ、無闇に食べさせはしなかったってこと。あたし自身、まあ外に出て遊び回るのが好きなガキだったからさ、太る間も無かったってことがあるけど」
「ふうん」
「P子さんはどうなのさ」
「ワタシはまあ、あまり動かなくはあったけど…… 別に食い物に執着したことはないし」
運動不足はある。だけどそのために食欲もそう湧かなかったし、だいたいそんなに好きなもの、も無かった。考えてみれば、起伏の少ない少女時代だ、と思う。
学校の友達と連れ立って何処かに甘いものを食べに行くとか、買い物に行くとか、そんなこともなかった。寝込んでいるという訳ではないにせよ、部屋の中でぼんやりとしていることも多かった。
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