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20 二日目①明け方の農家にて
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翌朝。
夜が明ける前に起き出したダグラスは、約束を取り付けた農家に牛乳を取りに向かった。
ダグラスが昨晩回った農家の中で、最も遠い場所にあるところだった。
「話は伺っておりますがね、そうですか今日でしたか」
大きな農家の主人はそう言った。
管理人から、近々やって来る、その時にはよろしく、という話は聞いていたのだという。
だがその後の連絡が来ない。
どうしたのだろうか、と農家の主人も気にはしていたのだという。
そして一日に使う分量の牛乳を用意してもらう様に話をつけた。
では支配人はいつから居ないというのだ?
ダグラスは思う。
「少なくとも、先々週は居たけどな」
「先々週…… ずいぶん前だな」
「まあそうそう用事が無ければ向こうも来ないんだが。一応管理人のところにも牛や馬は居るんで、自分のところくらいはそれで済ませていただろうが、牛まで連れていったのかね全く」
そう言えばそうだ、とダグラスは思う。
管理人夫妻の生活というものもあるのだ。
確か訪ねていった家には、小さいながらも家畜小屋もあった。
畑もあった。
おそらく領内での食事用のささやかな狩りも認められているのだろう。
普段あまり人が滞在しないカントリーハウス周辺の森は、管理人にとって肉を仕入れる場所でもあり、その際に出る毛皮を入手する場所でもある。
だがその家に人は居なかった。
銃やその他、生活していた様子はあったそうだ。
ただ人と、動物だけが居ない。
「やあ早いね」
「今日は旦那様が狩りに出なさるし。ところで、昨日回った時に、あちこちの家から人が居なくなってるけど、出稼ぎにでも行ったのか?」
「いやいやいやそんなこたない」
農家の主人は、大きく否定した。
「ここいらの農家は皆こちらの領主様のもとで働かせていただいていることに感謝しているよ。何で出ていくことがあるんだね」
「だけど、もぬけのからのところが三つもあるのはおかしくないか?」
「そらまあ、おかしいかもな。うーむ」
主人は少し考える。
「まあ俺もまた回ってみるわ。いや、うちの仕事ばかりしていると、あっちこっちのところまで見てられないんでな」
確かに、大きな農家の場合、そこだけで全てがまかなえてしまう。
この主人一家の場合、そもそもが大家族な上、更にそこに手伝いに来ている者など、それだけで確かに日々を送るには充分なのだ。
「じゃあその時、牛や馬がちゃんと居るかも見てくれないかな」
「おお、それは確かに。逃げたとか何とかでも、牛や馬まで持っていかれてたらたまらん」
ぱん、と主人は手を叩いた。
夜が明ける前に起き出したダグラスは、約束を取り付けた農家に牛乳を取りに向かった。
ダグラスが昨晩回った農家の中で、最も遠い場所にあるところだった。
「話は伺っておりますがね、そうですか今日でしたか」
大きな農家の主人はそう言った。
管理人から、近々やって来る、その時にはよろしく、という話は聞いていたのだという。
だがその後の連絡が来ない。
どうしたのだろうか、と農家の主人も気にはしていたのだという。
そして一日に使う分量の牛乳を用意してもらう様に話をつけた。
では支配人はいつから居ないというのだ?
ダグラスは思う。
「少なくとも、先々週は居たけどな」
「先々週…… ずいぶん前だな」
「まあそうそう用事が無ければ向こうも来ないんだが。一応管理人のところにも牛や馬は居るんで、自分のところくらいはそれで済ませていただろうが、牛まで連れていったのかね全く」
そう言えばそうだ、とダグラスは思う。
管理人夫妻の生活というものもあるのだ。
確か訪ねていった家には、小さいながらも家畜小屋もあった。
畑もあった。
おそらく領内での食事用のささやかな狩りも認められているのだろう。
普段あまり人が滞在しないカントリーハウス周辺の森は、管理人にとって肉を仕入れる場所でもあり、その際に出る毛皮を入手する場所でもある。
だがその家に人は居なかった。
銃やその他、生活していた様子はあったそうだ。
ただ人と、動物だけが居ない。
「やあ早いね」
「今日は旦那様が狩りに出なさるし。ところで、昨日回った時に、あちこちの家から人が居なくなってるけど、出稼ぎにでも行ったのか?」
「いやいやいやそんなこたない」
農家の主人は、大きく否定した。
「ここいらの農家は皆こちらの領主様のもとで働かせていただいていることに感謝しているよ。何で出ていくことがあるんだね」
「だけど、もぬけのからのところが三つもあるのはおかしくないか?」
「そらまあ、おかしいかもな。うーむ」
主人は少し考える。
「まあ俺もまた回ってみるわ。いや、うちの仕事ばかりしていると、あっちこっちのところまで見てられないんでな」
確かに、大きな農家の場合、そこだけで全てがまかなえてしまう。
この主人一家の場合、そもそもが大家族な上、更にそこに手伝いに来ている者など、それだけで確かに日々を送るには充分なのだ。
「じゃあその時、牛や馬がちゃんと居るかも見てくれないかな」
「おお、それは確かに。逃げたとか何とかでも、牛や馬まで持っていかれてたらたまらん」
ぱん、と主人は手を叩いた。
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