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23 二日目④不在の森番
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家族が狩りに出かけたのは、朝食を食べて少しした後だった。
「あの森だな。森番はどうしているのかな」
エイブラハムはつぶやく。
「管理人が見当たらないんで、森番のことも今一つは……」
出かける寸前、ガードはそう言った。
森番は森をいつも見回り、ある程度良好な状態にしておく者だったから、管理人同様に常駐しているはずだった。
だから管理人から聞こうとガードも思っていたのだが。
「管理人日誌を確認した限りでは、危険な獣はまず出ないということです」
「ではあまり奥には行かないということにしよう。小川があるからそっちで魚を見るのもいいな。サリー達は森の外で過ごさせた方がいいね」
「ええ、そうね」
エメリーとチェリアがメイドの中では着いてくることになった。
男達がさくさくと先へ先へと行く中、女と子供達はのんびりと後を付いて行く。
時々男達は後を振り向き、彼女達が付いてきているか確認する。
特にウィリアムの弾む心は、エイブラハムでもなかなか止められるものではなかった。
森と小川と草原と木陰がバランス良く揃った場所に来た時、エイブラハムはこの場所に幕屋を立てよう、と言った。
「少し日差しが」
サリーは額を軽くハンカチで押さえる。
やや薄着であったとしても、これだけの野の距離を久々に歩き回るのはさすがに久しぶりだった。
少女の頃の様に、スカートを翻して走ったら、きっと足が涼しくなるだろう、とサリーは思ってしまう。
そんな自分の昔の姿をマリアに見ながら。
マリアはすぐに野の花が群れて咲いているところへと飛んでいった。
「チェリア」
エメリーは合図する。
マリアの元についている様に、ということだった。
幕屋はイーデンが立てることになっていた。
エメリーも経験があるので、それを手伝うことになっている。
彼女は幕屋を張るロープを持ちながら、こそっとイーデンにつぶやく。
「今日は坊ちゃま、静かよね」
「そう言えばそうだな。熱でもあるのかな」
「そんなことはなかったわよ。ただいつもより大人しいのよね」
「ま、ありがたいって言えばありがたいがな」
そう言いながら彼はロープを止める金具を地面に打ち込む。
こういう作業をする時に、小さい子供がじゃれついてくるのは危険なのだ。
「奥様のお膝に居てくれるのは嬉しいんだけど、ちょっとね」
実際、ルイスは木陰に座って本を眺めるサリーの側でひたすら膝で甘えている。
サリーもそんな子供を放っては置けなく、結局本には栞を挟んでまた後で、ということになってしまう様だった。
「お母様! ほら可愛い!」
マリアはマリアで、野の花の中でも色鮮やかなものを選んで母親の元へ持ってくる。
「まあ綺麗。後で水に漬けてやってね」
サリーは一緒に戻ってきたチェリアに頼む。
「はい。あ、ちょっと向こうを手伝ってきていいですか? ……何かエメリーが」
「あの森だな。森番はどうしているのかな」
エイブラハムはつぶやく。
「管理人が見当たらないんで、森番のことも今一つは……」
出かける寸前、ガードはそう言った。
森番は森をいつも見回り、ある程度良好な状態にしておく者だったから、管理人同様に常駐しているはずだった。
だから管理人から聞こうとガードも思っていたのだが。
「管理人日誌を確認した限りでは、危険な獣はまず出ないということです」
「ではあまり奥には行かないということにしよう。小川があるからそっちで魚を見るのもいいな。サリー達は森の外で過ごさせた方がいいね」
「ええ、そうね」
エメリーとチェリアがメイドの中では着いてくることになった。
男達がさくさくと先へ先へと行く中、女と子供達はのんびりと後を付いて行く。
時々男達は後を振り向き、彼女達が付いてきているか確認する。
特にウィリアムの弾む心は、エイブラハムでもなかなか止められるものではなかった。
森と小川と草原と木陰がバランス良く揃った場所に来た時、エイブラハムはこの場所に幕屋を立てよう、と言った。
「少し日差しが」
サリーは額を軽くハンカチで押さえる。
やや薄着であったとしても、これだけの野の距離を久々に歩き回るのはさすがに久しぶりだった。
少女の頃の様に、スカートを翻して走ったら、きっと足が涼しくなるだろう、とサリーは思ってしまう。
そんな自分の昔の姿をマリアに見ながら。
マリアはすぐに野の花が群れて咲いているところへと飛んでいった。
「チェリア」
エメリーは合図する。
マリアの元についている様に、ということだった。
幕屋はイーデンが立てることになっていた。
エメリーも経験があるので、それを手伝うことになっている。
彼女は幕屋を張るロープを持ちながら、こそっとイーデンにつぶやく。
「今日は坊ちゃま、静かよね」
「そう言えばそうだな。熱でもあるのかな」
「そんなことはなかったわよ。ただいつもより大人しいのよね」
「ま、ありがたいって言えばありがたいがな」
そう言いながら彼はロープを止める金具を地面に打ち込む。
こういう作業をする時に、小さい子供がじゃれついてくるのは危険なのだ。
「奥様のお膝に居てくれるのは嬉しいんだけど、ちょっとね」
実際、ルイスは木陰に座って本を眺めるサリーの側でひたすら膝で甘えている。
サリーもそんな子供を放っては置けなく、結局本には栞を挟んでまた後で、ということになってしまう様だった。
「お母様! ほら可愛い!」
マリアはマリアで、野の花の中でも色鮮やかなものを選んで母親の元へ持ってくる。
「まあ綺麗。後で水に漬けてやってね」
サリーは一緒に戻ってきたチェリアに頼む。
「はい。あ、ちょっと向こうを手伝ってきていいですか? ……何かエメリーが」
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