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33.意味の判らない暗号が意味を持った音に
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それが何故今になって。
「朱夏は、安岐くんが好きなの?」
緑茶を彼女の前に置くと、東風は訊ねた。
「判らない。夏南子にも私は言った。興味ある、とか面白い、は判る。だけど、『好き』はまだよく判らない」
「まだ、判らない?」
「安岐は、この間甘いミルクの紅茶を心地よいと言った私に、それは『好き』ということじゃないか、と言った。それはそれで正しいのではないか、と思う」
「そうだね、それも『好き』だ」
「でも東風の言いたいのは、少し違っているのだろう? 『好き』は『好き』でも、何か違う気がする」
「うん」
「だけどそっちはまだ私には判らない。どういう状態をいうんだろう? 人によって違うのかもしれない。感じ方はきっと人によって違うんだろう?」
「そう思うの?」
「安岐は私が綺麗だと言った。だけど私は自分のことを綺麗だと思ったことはない。東風も綺麗とは言ったことはない。夏南子は可愛いと言っても綺麗は言わない。多数決を取れば、私は『綺麗』ではない」
それはそうだ、と彼は思う。いちいち自分の作ったものを「綺麗」とは評しないだろう。
「だけど安岐にはそう見えた。つまり人間の感じ方は一つではないのだろう?」
「そうだね」
「だから、今私が安岐に対して感じているのが、『好き』という感情なのか、断言ができない」
「断言なんかしなくていいんだよ、朱夏」
朱夏は湯呑みを渡される。東風もまた自分の分の湯呑みを持つと、彼女の前に座り、目線を合わせる。朱夏は下唇をやや不機嫌そうに突き出す。
「いいのか?」
「いいと思うよ。本当のところ、俺にだって本当に『好き』という感情があるのかさえ判らない」
「夏南子にそう思ったりはしないのか?」
「あれはまた別……」
「でも好きなんだろう?」
「そう言ってしまうのはたやすいさ。だけど考え出すと判らなくなる。人間の俺だって判らないんだ。君がそう簡単に判らないのも当然で、すぐに答えが見つからなくとも構わないさ」
「でも」
両手で湯呑みを手にしたまま、彼女は何か言いたげな顔になる。だが何を言っていいのか判らないようにも見えた。
捜し物をする時の顔だ、と東風は思った。一つの引き出しを開けては、ここにはないとつぶやき、また別の引き出しを開いてはここでもないと閉じる時のように。
「朱夏は、知りたいんじゃないか? 自分の持ってる感情の正体を」
「うん」
彼女は勢いよく顔を上げる。
「じゃあ、今、どんな感じがする? 安岐くんに対して。彼に何かしたい? 何かしてもらいたい?彼と何かしたい?」
「彼と…… 会いたい」
「どうして?」
「彼を見てると面白いんだ」
東風は口の端を軽く上げる。
「彼はちょっとしたことで結構驚くし、結構恰好つけようとしている所もあって、でも結局恰好なんかつけられなくて、自滅するところとか、無闇やたらに私を誉めるところとか」
「うんうん」
「それに彼に触れられているのは気持ちいい」
さすがにそれにはすぐに言葉を返せない。
「彼と最初に寝た時、音が、やっと見えたんだ。ずっと私の中で意味の判らない暗号のようにつぶやき続けていたのに、意味を持った音になって――― 聞こえている。今も。もちろんヴォリュームは落ちてるがあの音だ、と私には判る。延々鳴り響いている。絡み付くような声がするんだ。どうしてそれが鳴っているのか今も判らない。でもずっと鳴っていた。それが見えたのは彼のせいだ。やっと―――」
「……」
「東風、私は、その音が聞こえ出すと、初めはそれが何か考えようとしたんだ。でも違うんだ。その音の、言葉自体は何も意味がないんだ。彼とそうして初めて判った。問題なのは、音で、声自体で、その主なんだ。でもそれと同時に、別のところで心地よいと思っている私もいる」
「心地よい?」
「『命令』が聞こえようが何だろうが、そんなことはどうでもいいと思っている私が居るんだ。音はひどく湿ってして、私に絡み付くというのに、私は私を離れて何処か遠くへ飛んでいってしまいそうな感じになるんだ」
「誰が君に言うの? その『命令』は?」
「判らない。この都市の中で拾える声ではない。全く同じ音はない。少なくとも私は私の動いた時に拾ったことはない」
それまで夢見るような表情になっていた朱夏の顔が急に曇る。
「だけど、私は確かにあの声を聴いたことがあるような気がするんだ」
「懐かしい、声?」
「そういうのか? とにかく私が私である以前に聴いたのかもしれない。軽くて、甘くて、低くて、……そして乾いた声だ」
「乾いた」
「あの『音』とは全く逆の。あの『音』の声は、低くもなく甘くもなく、ひどく湿っていた」
「音」の声はBB。それとは逆の、乾いた、声。
何かが東風の中で引っかかる。何か、思い出さなくてはならないようなものがあるような気が、する。
「私はどうしてしまったんだろう? 東風…… 何処かおかしくなってしまったのか?」
「そんなことはないさ」
ぽんぽん、と彼はうつむく彼女の頭を軽く叩く。
「あのね朱夏。俺は『好き』がどういう気持ちか、判らなくなっている奴だけれど、それに近い気持ちは知っているつもりだよ。少なくとも、俺に関してはね」
「どういう感じなんだ?」
「例えば、朱夏は、今この瞬間から、もう安岐くんに絶対会えないとしたら、どういう感じになる?」
「嫌だ」
「どうして? それを考えるとどんな感じになる?」
「胸が苦しい」
「うん」
「会っていた時が、心地よかった分だけ、会えないことが、ひどく心地悪い。会えないと思うと心地悪い」
「それに近いんだけど」
彼女は身を乗り出す。
「夏南子に対するそれは、まるで別のものだと思うけどね」
「では夏南子のことはどう思っているんだ?」
おやおや、と彼は苦笑する。逆に自分の方が告白させられているように彼には感じられた。
「その件については、俺は答えない権利を行使するよ」
「東風…… 自分のいい様にに権利を行使してないか?」
「人間はそういうものなの。ただね、夏南子には、俺はたぶんずいぶん甘えていると思う。彼女はそれを受けとめられる。彼女は強いからな。俺にできるのは、そういう彼女が俺とそれでも一緒に居たいと思ってくれるから、一緒に居ることだけなの」
「そういう言い方は東風、情けないぞ」
「そういう言い方は、夏南子の影響だね、朱夏」
ふっ、と彼女の表情が緩んだ。笑ったのか、と東風は目を見張る。
あの原型のレプリカとは別の笑いだった。
「朱夏は、安岐くんが好きなの?」
緑茶を彼女の前に置くと、東風は訊ねた。
「判らない。夏南子にも私は言った。興味ある、とか面白い、は判る。だけど、『好き』はまだよく判らない」
「まだ、判らない?」
「安岐は、この間甘いミルクの紅茶を心地よいと言った私に、それは『好き』ということじゃないか、と言った。それはそれで正しいのではないか、と思う」
「そうだね、それも『好き』だ」
「でも東風の言いたいのは、少し違っているのだろう? 『好き』は『好き』でも、何か違う気がする」
「うん」
「だけどそっちはまだ私には判らない。どういう状態をいうんだろう? 人によって違うのかもしれない。感じ方はきっと人によって違うんだろう?」
「そう思うの?」
「安岐は私が綺麗だと言った。だけど私は自分のことを綺麗だと思ったことはない。東風も綺麗とは言ったことはない。夏南子は可愛いと言っても綺麗は言わない。多数決を取れば、私は『綺麗』ではない」
それはそうだ、と彼は思う。いちいち自分の作ったものを「綺麗」とは評しないだろう。
「だけど安岐にはそう見えた。つまり人間の感じ方は一つではないのだろう?」
「そうだね」
「だから、今私が安岐に対して感じているのが、『好き』という感情なのか、断言ができない」
「断言なんかしなくていいんだよ、朱夏」
朱夏は湯呑みを渡される。東風もまた自分の分の湯呑みを持つと、彼女の前に座り、目線を合わせる。朱夏は下唇をやや不機嫌そうに突き出す。
「いいのか?」
「いいと思うよ。本当のところ、俺にだって本当に『好き』という感情があるのかさえ判らない」
「夏南子にそう思ったりはしないのか?」
「あれはまた別……」
「でも好きなんだろう?」
「そう言ってしまうのはたやすいさ。だけど考え出すと判らなくなる。人間の俺だって判らないんだ。君がそう簡単に判らないのも当然で、すぐに答えが見つからなくとも構わないさ」
「でも」
両手で湯呑みを手にしたまま、彼女は何か言いたげな顔になる。だが何を言っていいのか判らないようにも見えた。
捜し物をする時の顔だ、と東風は思った。一つの引き出しを開けては、ここにはないとつぶやき、また別の引き出しを開いてはここでもないと閉じる時のように。
「朱夏は、知りたいんじゃないか? 自分の持ってる感情の正体を」
「うん」
彼女は勢いよく顔を上げる。
「じゃあ、今、どんな感じがする? 安岐くんに対して。彼に何かしたい? 何かしてもらいたい?彼と何かしたい?」
「彼と…… 会いたい」
「どうして?」
「彼を見てると面白いんだ」
東風は口の端を軽く上げる。
「彼はちょっとしたことで結構驚くし、結構恰好つけようとしている所もあって、でも結局恰好なんかつけられなくて、自滅するところとか、無闇やたらに私を誉めるところとか」
「うんうん」
「それに彼に触れられているのは気持ちいい」
さすがにそれにはすぐに言葉を返せない。
「彼と最初に寝た時、音が、やっと見えたんだ。ずっと私の中で意味の判らない暗号のようにつぶやき続けていたのに、意味を持った音になって――― 聞こえている。今も。もちろんヴォリュームは落ちてるがあの音だ、と私には判る。延々鳴り響いている。絡み付くような声がするんだ。どうしてそれが鳴っているのか今も判らない。でもずっと鳴っていた。それが見えたのは彼のせいだ。やっと―――」
「……」
「東風、私は、その音が聞こえ出すと、初めはそれが何か考えようとしたんだ。でも違うんだ。その音の、言葉自体は何も意味がないんだ。彼とそうして初めて判った。問題なのは、音で、声自体で、その主なんだ。でもそれと同時に、別のところで心地よいと思っている私もいる」
「心地よい?」
「『命令』が聞こえようが何だろうが、そんなことはどうでもいいと思っている私が居るんだ。音はひどく湿ってして、私に絡み付くというのに、私は私を離れて何処か遠くへ飛んでいってしまいそうな感じになるんだ」
「誰が君に言うの? その『命令』は?」
「判らない。この都市の中で拾える声ではない。全く同じ音はない。少なくとも私は私の動いた時に拾ったことはない」
それまで夢見るような表情になっていた朱夏の顔が急に曇る。
「だけど、私は確かにあの声を聴いたことがあるような気がするんだ」
「懐かしい、声?」
「そういうのか? とにかく私が私である以前に聴いたのかもしれない。軽くて、甘くて、低くて、……そして乾いた声だ」
「乾いた」
「あの『音』とは全く逆の。あの『音』の声は、低くもなく甘くもなく、ひどく湿っていた」
「音」の声はBB。それとは逆の、乾いた、声。
何かが東風の中で引っかかる。何か、思い出さなくてはならないようなものがあるような気が、する。
「私はどうしてしまったんだろう? 東風…… 何処かおかしくなってしまったのか?」
「そんなことはないさ」
ぽんぽん、と彼はうつむく彼女の頭を軽く叩く。
「あのね朱夏。俺は『好き』がどういう気持ちか、判らなくなっている奴だけれど、それに近い気持ちは知っているつもりだよ。少なくとも、俺に関してはね」
「どういう感じなんだ?」
「例えば、朱夏は、今この瞬間から、もう安岐くんに絶対会えないとしたら、どういう感じになる?」
「嫌だ」
「どうして? それを考えるとどんな感じになる?」
「胸が苦しい」
「うん」
「会っていた時が、心地よかった分だけ、会えないことが、ひどく心地悪い。会えないと思うと心地悪い」
「それに近いんだけど」
彼女は身を乗り出す。
「夏南子に対するそれは、まるで別のものだと思うけどね」
「では夏南子のことはどう思っているんだ?」
おやおや、と彼は苦笑する。逆に自分の方が告白させられているように彼には感じられた。
「その件については、俺は答えない権利を行使するよ」
「東風…… 自分のいい様にに権利を行使してないか?」
「人間はそういうものなの。ただね、夏南子には、俺はたぶんずいぶん甘えていると思う。彼女はそれを受けとめられる。彼女は強いからな。俺にできるのは、そういう彼女が俺とそれでも一緒に居たいと思ってくれるから、一緒に居ることだけなの」
「そういう言い方は東風、情けないぞ」
「そういう言い方は、夏南子の影響だね、朱夏」
ふっ、と彼女の表情が緩んだ。笑ったのか、と東風は目を見張る。
あの原型のレプリカとは別の笑いだった。
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