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1 母からの追放と異母姉との出会い
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「ミュゼット、お前が女になってしまったなんて…… 許せない! この家で『女』であっていいのはこの私だけだわ!」
初潮が来て下腹が重苦しい私に対し、母、アルマヴィータ・ハイロール男爵夫人はおぞましそうな視線を投げ、突き飛ばした。
それまで母には可愛がってもらった記憶はあるだけに、何をされているのかすぐには判らなかった。
その時近くに居たメイドのロッティが驚いて私を助け起こすと。
「ロッティ! 今日からその子はお前やアリサと一緒に使用人とするわ! 連れていって皆にも伝えなさい!」
呆然とする私にはもう見向きもせず。
「ああ不愉快だから今から外出するわ! 馬車の用意をする様に言っておきなさい」
「は、はい」
ロッティはそう言うと、私を連れてそのまま使用人棟へと向かった。
「お嬢様? 一体」
メイドもフットマンもコックも、そして異母姉だけど使用人扱いされているアリサも、私の姿を見て驚いた。
この時私は十三。
アリサが十四だった。
「皆聞いて。奥様はミュゼットお嬢様をもアリサ嬢さんの様に使え、と言い出したのよ」
「え、どうして」
すぐにそう反応したのはアリサだった。
「私なら判るわ。だって、継子虐めはほら、白雪姫でもあるじゃない。だけどミュゼットのことはずっと可愛がっていたのに」
本当にそうだ。
今朝方、私が起きた時にシーツが赤黒く汚れていた。
何かあったのかと驚いた私はメイドのハッティに言った。
すると彼女は説明してくれた。
それは初潮で、これから毎月そういうことがある、それなりの手当をしなくてはならない、と。
下腹が鈍く痛いのもそのせいなのだ、と。
そしてこれで子供を産める身体になったのですねおめでとうございます、と言われたのに。
ハッティがそうお母様に告げたら、血相を変えて私の部屋に来て私の頬を何度もはたいたのだ。
その時の母の形相は、今まで見たことが無いものだった。
美しい顔が強烈に歪み、口から出る言葉はそれまで聞いたことの無い程汚いものだった。
ロッティは皆に母の怒声を伝えた。
「え、何、意味わかんない」
ハッティがまずそう言った。
「女って怖え。そんなこと、実の娘に対して考えるのか?」
フットマンのハルバートはぶるっと震えた。
「アリサ嬢さんと同じ待遇にしろってことだから、部屋も屋根裏に移せってことなんですね。旦那様はどう言うかしら……」
だがその時、父は出張で不在だった。
そもそも父が家に居着くことは少ない。
だから母は常にこの屋敷と、跡取りである弟のことを任されているのだ。
「父男爵はきっと夫人の言う通りにすると思う」
アリサはきっぱり言った。
彼女は八つの時、私達がこの家に来た時に、父親からも見捨てられ使用人扱いとなった。
私とはそうそう会わない仕事をしていたので、面と向かったのは殆ど初めてだった。
だから私はこの時、彼女が一番怖かった。
ところが。
「私と同じね。仲良くしよう」
そう言ったのだ。
初潮が来て下腹が重苦しい私に対し、母、アルマヴィータ・ハイロール男爵夫人はおぞましそうな視線を投げ、突き飛ばした。
それまで母には可愛がってもらった記憶はあるだけに、何をされているのかすぐには判らなかった。
その時近くに居たメイドのロッティが驚いて私を助け起こすと。
「ロッティ! 今日からその子はお前やアリサと一緒に使用人とするわ! 連れていって皆にも伝えなさい!」
呆然とする私にはもう見向きもせず。
「ああ不愉快だから今から外出するわ! 馬車の用意をする様に言っておきなさい」
「は、はい」
ロッティはそう言うと、私を連れてそのまま使用人棟へと向かった。
「お嬢様? 一体」
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この時私は十三。
アリサが十四だった。
「皆聞いて。奥様はミュゼットお嬢様をもアリサ嬢さんの様に使え、と言い出したのよ」
「え、どうして」
すぐにそう反応したのはアリサだった。
「私なら判るわ。だって、継子虐めはほら、白雪姫でもあるじゃない。だけどミュゼットのことはずっと可愛がっていたのに」
本当にそうだ。
今朝方、私が起きた時にシーツが赤黒く汚れていた。
何かあったのかと驚いた私はメイドのハッティに言った。
すると彼女は説明してくれた。
それは初潮で、これから毎月そういうことがある、それなりの手当をしなくてはならない、と。
下腹が鈍く痛いのもそのせいなのだ、と。
そしてこれで子供を産める身体になったのですねおめでとうございます、と言われたのに。
ハッティがそうお母様に告げたら、血相を変えて私の部屋に来て私の頬を何度もはたいたのだ。
その時の母の形相は、今まで見たことが無いものだった。
美しい顔が強烈に歪み、口から出る言葉はそれまで聞いたことの無い程汚いものだった。
ロッティは皆に母の怒声を伝えた。
「え、何、意味わかんない」
ハッティがまずそう言った。
「女って怖え。そんなこと、実の娘に対して考えるのか?」
フットマンのハルバートはぶるっと震えた。
「アリサ嬢さんと同じ待遇にしろってことだから、部屋も屋根裏に移せってことなんですね。旦那様はどう言うかしら……」
だがその時、父は出張で不在だった。
そもそも父が家に居着くことは少ない。
だから母は常にこの屋敷と、跡取りである弟のことを任されているのだ。
「父男爵はきっと夫人の言う通りにすると思う」
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彼女は八つの時、私達がこの家に来た時に、父親からも見捨てられ使用人扱いとなった。
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だから私はこの時、彼女が一番怖かった。
ところが。
「私と同じね。仲良くしよう」
そう言ったのだ。
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