〈完結〉貴女を母親に持ったことは私の最大の不幸でした。

江戸川ばた散歩

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20 何年ぶりかの再会

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 アリサがとうとうロルカ子爵家の人々と再会できた!
 「追い出された」彼女を迎えに行って、そのまま屋敷まで箱馬車で向かった私達としては、ついにやった! という気分だった。
 彼女にしてみれば、何年ぶりの再会だろう。
 そのまま逃げ出して子爵夫人の元で暮らすという手もあったかもしれない。
 だがどうもこの少し感覚がずれた元異母姉は、父である男爵への疑問の方がどうにも自分の安定より勝ったらしい。
 そしてそれにも蹴りがついたことと、受け容れ体制が整ったことで決行ということになった。
 しかし、彼女の話によると、東洋人ペットの彼は、瓶を割れやすくしていたとのこと。
 そんな器用なことができるなんて。
 これはマリューカ様のところの芸術家達に聞いた話だが。
 東洋から送られてくるペットというのは、ともかく床技が凄いらしい。
 それが男であれ女であれ。

「別に手に入れたいとは思わないけどさ、あの女の子の纏足は一度見てみたいと思うね」

 そういうひとも居た。
 だが彼等が言うには、その東洋から来たペット達は「いつの間にか」行方をくらますのだという。
 そもそも入手したことが表沙汰にそうそうできるものでも無いので、気楽に入手した者では捜索もあまりできないそうで。
 そもそも本気でずっと囲っておく場合は、きっちり逃げられない様にしておくのだと聞いた。
 ……あまり聞いて気持ちのいい話ではなかったが。
 逃げられる場合と「逃げられたとする」場合がある、という話も聞いたが、これはこれで胸糞悪いのでちょっと心の端に置いとくことにした。
 アリサに協力したという彼はどうも前者らしい。
 だとしたら母はそのうち愛想を尽かされるんだ、そう私は思った。
 ……後で、それどころではないと判ったが。
 ともかくこの場では帰国したフレデリック氏親子からの告白に私達は驚いた。
 アリサに、男爵に手の甲の傷の件を聞いていたのはそのせいかと。
 誰よりも男爵を名乗っていた男に対し、憎しみを抱いていたのは、アリサでも私でもなく、このひとだったのだ。
 息子のサマルは濃い黒い髪と瞳を持つ青年だ。
 半分フレデリック氏の血を持つ彼がこれだけ目を引く顔立ちと色合いをしていたならば、亡くなった――殺されたという奥方は、確かにこちらに来たら違和感があっただろう。
 時々向こうのマハーラージャの子息が留学しに来ることがあるという話は弁護士の二人から聞いたことがある。
 彼等は確かに外見は異なっている。
 海外貿易をしている親を持った生徒の中には、その外見から当初は見下す者も居るらしい。
 だが身分特有の堂々とした態度と金回りの良さ、持ち物の質、鷹揚さの一方で俯瞰した厳しさを兼ね揃えた彼等にとっては、周囲の方が目下くらいにしか思っていないらしい。

「そういう感覚の差を乗り越えて友達になれた場合はもの凄く頼りになるんだけどね」

 そうオラルフさんが言っていた。
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