1 / 65
第1話 4/12-A 誕生日
しおりを挟む
お家に居ましょうとのお達し。
田舎の一人暮らし、リモートワークと言えば聞こえはいいが、元々遠すぎてそういう生活だったんだから、こう言っては悪いんだが、今一つ危機感が無い。
そんな訳で裏の畑の草むしりである。無茶苦茶広い訳ではないがしない訳にもいかない。
と、どか、と背中を蹴られた。
「何すんだよ一体」
「何だよはこっちだよ。何だこの『すぐ来ないと泣くぞ』ってのは」
それでわざわざウチに来るお前もお前なんだが。つか何だその格好。防水エプロンが血と羽根にまみれてるぞ。あ、ゴム手もか。
「『テラスハウスで猫を見る日々』は覚えてるか?」
「お前の今はまってる四コママンガだろ」
「の、推しカプの片割れが事故に遭ってだな」
「ほぉ。それで推しの片割れが死んだと」
「いや、そのショックで性格が変わっちまった」
「何だ死んでないのか」
「いや、ワタシの推しであったところのキャラはお亡くなりになった」
「ほぉそれはそれは。ところであたしは今何やっていたと思う」
「死体の解体作業でもしてきたんか?」
「近いな。ローストチキン用に鶏を絞めてた途中だったんだぜ」
「春なのにっ」
「ただでさえ気が滅入る様なこのご時世だから、せめてお前とご馳走でも作って食いたいと思うのは人として正しい行動だと思うんだが? ついでに市場が何とやらで安く買えたんだ」
「そりゃそりゃ。詰め物もか?」
「そこまで期待すんな。フツーに焼くだけだ。外に用意したけどな」
「ちょっと待て、確かお前ワタシにケーキ作ってくれる予定んじゃなかったっけ?」
「忘れてたと思ったぜ」
「つか自分の誕生日忘れるかよ」
そう言ってうりうり、とエプロン越しに胸に胸を押しつけてやった。うっわー、感触すくねー。けどそのくらいしかできねーのがつまらんー。
いやこのご時世、外でキスは止めといた方がいいだろ。時々それども手押し車のばーさま達が鍬とか持って歩いてるんだ。
つか、そうでなくとも日射しよけ帽子に割烹着なんだ。帽子に帽子じゃしたくても物理的に無理だろ。
「夜に来いや。ウチの連中も居るけどよ、今日は泊まるんだろー、風呂入ってからしようぜ」
「うす」
こいつの部屋は離れだ。ああこういう時敷地が広いってのはええのぅ。
しかし三十路かー。そっかー。
田舎の一人暮らし、リモートワークと言えば聞こえはいいが、元々遠すぎてそういう生活だったんだから、こう言っては悪いんだが、今一つ危機感が無い。
そんな訳で裏の畑の草むしりである。無茶苦茶広い訳ではないがしない訳にもいかない。
と、どか、と背中を蹴られた。
「何すんだよ一体」
「何だよはこっちだよ。何だこの『すぐ来ないと泣くぞ』ってのは」
それでわざわざウチに来るお前もお前なんだが。つか何だその格好。防水エプロンが血と羽根にまみれてるぞ。あ、ゴム手もか。
「『テラスハウスで猫を見る日々』は覚えてるか?」
「お前の今はまってる四コママンガだろ」
「の、推しカプの片割れが事故に遭ってだな」
「ほぉ。それで推しの片割れが死んだと」
「いや、そのショックで性格が変わっちまった」
「何だ死んでないのか」
「いや、ワタシの推しであったところのキャラはお亡くなりになった」
「ほぉそれはそれは。ところであたしは今何やっていたと思う」
「死体の解体作業でもしてきたんか?」
「近いな。ローストチキン用に鶏を絞めてた途中だったんだぜ」
「春なのにっ」
「ただでさえ気が滅入る様なこのご時世だから、せめてお前とご馳走でも作って食いたいと思うのは人として正しい行動だと思うんだが? ついでに市場が何とやらで安く買えたんだ」
「そりゃそりゃ。詰め物もか?」
「そこまで期待すんな。フツーに焼くだけだ。外に用意したけどな」
「ちょっと待て、確かお前ワタシにケーキ作ってくれる予定んじゃなかったっけ?」
「忘れてたと思ったぜ」
「つか自分の誕生日忘れるかよ」
そう言ってうりうり、とエプロン越しに胸に胸を押しつけてやった。うっわー、感触すくねー。けどそのくらいしかできねーのがつまらんー。
いやこのご時世、外でキスは止めといた方がいいだろ。時々それども手押し車のばーさま達が鍬とか持って歩いてるんだ。
つか、そうでなくとも日射しよけ帽子に割烹着なんだ。帽子に帽子じゃしたくても物理的に無理だろ。
「夜に来いや。ウチの連中も居るけどよ、今日は泊まるんだろー、風呂入ってからしようぜ」
「うす」
こいつの部屋は離れだ。ああこういう時敷地が広いってのはええのぅ。
しかし三十路かー。そっかー。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる