52 / 65
第52話 5/12-B ガキに国語を教えるべ
しおりを挟む
この間の百人一首がきっかけで、「ユクちゃん古文教えて」とユースケが言い出した。珍しや。
まあ興味持つのは悪くねえなあ、と思いつつ、耳を立ててみたんだが。
「どのへんがいいー?」
「いや全然わかんね。だってまだ始まってねーし」
「んなこと言われても」
さすがにねーさんが助け船を出してきた。
「教科書見せてみな教科書」
一応配られはしたらしい。真新しい教科書! ぱらぱらとめくると。
「あー、枕か」
「枕草子?」
アタシも口を出す。
「ヨッちゃんでも知ってるくらいなんだー」
くぉらぁ、とユースケの頭をぐりぐりやってやる。
「俺全然覚えてねえぞ」
兄貴が歯を磨きながら言う。そらまああんたは。
「ねーさんは?」
「最初のとこだけ丸暗記? させられたからねー。高校ん時だけど」
「えーすごいー」
ガキはぱっと目に飛び込んだ古文の見慣れない文字列にうわ、と目をそらした。
「まー古文は慣れなんだけどさあ」
「いやお前が言うとだな、全部国語は慣れになるぞ」
「だってそうじゃん。国語は大量に読んだ奴勝ちっては確かだしなあ」
「マンガじゃ駄目?」
ガキも言ってくる。
「あ、いーよ。マンガだろーが何だろーが、文字数読んだ奴が勝てる。これは確か。つまらん小説読んで何も読む気にならなくなよるよりゃ面白いマンガ大量に読んだ方がずっといい」
「それでいいの?」
さすがにねーさんは不安になったようだ。
「いーの。だってワタシ未だに漱石嫌いで読めないもん」
「読めないもんってお前なー」
「文章がきもちわるいんだよ。何っかすっげー上から目線でさあ…… 何でそーいう感じがするのかってのたどっていけばそれゃ研究になるけどさ、そもそも生理的にやだ」
「ユクちゃんでもそうなんだ」
ユースケは驚く。
「仕事なら読むけどさー、好きで読みたくはねえなあ。文豪だったら森鴎外の方がよっぽどいい。芥川も何かなあ、という感じで読めるけど読みたくない。太宰は気持ち悪くなって読めなかった」
「……お前近代文学で何読めるんだよ」
「しょーじきあんまりないなー」
「それでこいつ国語全然勉強しなくても点取れてたんだからなあ」
「SFは読んでたよ」
「ミステリーは?」
「クラスの奴に『何で最後から先に読むー? 邪道ーっ』って言われて読む気なくした」
「そりゃ邪道だボケ!」
それには兄貴が怒鳴った。奴はミステリーだけは読むのだ。
うん、読まないアタシでもそれは邪道だとは思うぞ。
まあ興味持つのは悪くねえなあ、と思いつつ、耳を立ててみたんだが。
「どのへんがいいー?」
「いや全然わかんね。だってまだ始まってねーし」
「んなこと言われても」
さすがにねーさんが助け船を出してきた。
「教科書見せてみな教科書」
一応配られはしたらしい。真新しい教科書! ぱらぱらとめくると。
「あー、枕か」
「枕草子?」
アタシも口を出す。
「ヨッちゃんでも知ってるくらいなんだー」
くぉらぁ、とユースケの頭をぐりぐりやってやる。
「俺全然覚えてねえぞ」
兄貴が歯を磨きながら言う。そらまああんたは。
「ねーさんは?」
「最初のとこだけ丸暗記? させられたからねー。高校ん時だけど」
「えーすごいー」
ガキはぱっと目に飛び込んだ古文の見慣れない文字列にうわ、と目をそらした。
「まー古文は慣れなんだけどさあ」
「いやお前が言うとだな、全部国語は慣れになるぞ」
「だってそうじゃん。国語は大量に読んだ奴勝ちっては確かだしなあ」
「マンガじゃ駄目?」
ガキも言ってくる。
「あ、いーよ。マンガだろーが何だろーが、文字数読んだ奴が勝てる。これは確か。つまらん小説読んで何も読む気にならなくなよるよりゃ面白いマンガ大量に読んだ方がずっといい」
「それでいいの?」
さすがにねーさんは不安になったようだ。
「いーの。だってワタシ未だに漱石嫌いで読めないもん」
「読めないもんってお前なー」
「文章がきもちわるいんだよ。何っかすっげー上から目線でさあ…… 何でそーいう感じがするのかってのたどっていけばそれゃ研究になるけどさ、そもそも生理的にやだ」
「ユクちゃんでもそうなんだ」
ユースケは驚く。
「仕事なら読むけどさー、好きで読みたくはねえなあ。文豪だったら森鴎外の方がよっぽどいい。芥川も何かなあ、という感じで読めるけど読みたくない。太宰は気持ち悪くなって読めなかった」
「……お前近代文学で何読めるんだよ」
「しょーじきあんまりないなー」
「それでこいつ国語全然勉強しなくても点取れてたんだからなあ」
「SFは読んでたよ」
「ミステリーは?」
「クラスの奴に『何で最後から先に読むー? 邪道ーっ』って言われて読む気なくした」
「そりゃ邪道だボケ!」
それには兄貴が怒鳴った。奴はミステリーだけは読むのだ。
うん、読まないアタシでもそれは邪道だとは思うぞ。
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる