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第4話 ぐっすり眠ろう、夢も見ないほどに。
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あれ?
店から戻ったキディは部屋の灯りを点けながら思う。同居人の姿が無い。もう眠ったのか、と思ったりもする。自分の勤務時間は、夜中までなのだから。だけど向こう側の部屋の扉は開いていた。そして姿が無い。
ちぇ、と彼は舌打ちをする。またあそこかな。
また。キディは相棒の居場所の予想はついていた。
「せーっかく、持ってきたのにさ」
誰に聞かせる訳でもなく、彼はつぶやき、キッチンのテープルの上に、缶のビールの入ったネットを置く。ネットは缶の重みに、すぐにごろん、と形を崩す。
何も置かれていないテーブルが、すぐに缶で一杯になる。キディは椅子にかけると、ごろごろとそのネットの中の缶を指でもてあそぶ。
妬いている訳ではない、とキディは思う。彼は相棒の行く先の相手も知っていた。確か、大通りから少し離れた所にある古書店の女主人だった。
まだ若い。はっきりと歳を聞いたことがある訳ではないが、相棒と自分のちょうど間くらいではないか、とキディは思う。
小柄で可愛らしいタイプの女性で、古書店にしても、しゃかりきになって働いている、という印象ではない。親から相続したか何かで、そのままのんびりと経営しているのだ、と相棒から聞いたことがある。
このハルゲウの街に彼らが越してきてから、わりとすぐは相棒は彼女とつきあいだした、という記憶が彼にはある。
マーチ・ラビットはあのスポーツ選手の様な身体、その身体に似合った行動力に似合わず、古い本とか眺めるのも好きらしい。もっとも荷物が増えると動きがとりにくくなるので、もっばらそれは立ち読みに限られたが……
それでもほんの時折、薄い本や軽い本は買ってくる時がある。その本について訊ねたのが、きっかけだったらしい。
それも相棒の口から聞いた。ただ自分から進んで言う人物ではなかったので、そこまで聞き出すのにはずいぶんと時間がかかったのだが。
結果、彼女と付き合うようになってからというもの、週一の割合で、相棒は夜、部屋を空ける。決まっている訳ではない。週二にも三にもなる時もあれば、二週間三週間に一日、という忙しい時期もあるらしい。平均すればそのくらい、ということだ。
ありふれたことだ、とキディは思う。別に相棒に恋人が居たところで、それは健康な成人男子なら当然のことだろう。だいたい相棒は普通に暮らしていれば、既に結婚して十歳かそこらの子供が居てもおかしくはない年齢なのだ。自分にしたところで、あの流刑の時間が無かったら、家庭を持っていてもおかしくはない。
何がきっかけで、自分は足を踏み外したのだろう? キディは時々考える。その一方で、思い出したくない自分が居ることも、彼は知っている。
彼はネットの中で横たわる缶を一つ取り出し、ぷし、とそれを開ける。アルコールには強くないが、時々、それでもビールくらいは口にする。そして必ず、こうつぶやくのだ。
「……まず……」
何故相棒がこんなものを好むのか、キディにはよく判らない。だけど時々、どうしてこれを美味く感じるのか、知りたくなるのだ。
ただそれがどうしてなのか、彼にはやはり判らなかった。
ぶるん、と頭を振って、堂々巡りになりそうな考えを彼は頭から追い払う。こんなこと考えるんだったら、とっととほろ酔い加減になって、ぐっすり眠ってしまう方がいい。
ぐっすり眠ろう、と彼は思う。夢も見ないほどに。
夢には、嫌なものが出てくるから。
*
「……ん? もう帰るの? マーティ」
まだ外は薄暗いというのに。ゼルダは訊ねる。男は既に服を身につけている。昨夜自分を抱きしめ、揺さぶったあの頑丈な身体も、既に平凡な服の下に隠されている。
「仕事が入ったからね」
ふうん、と彼女はマーティと呼ぶ男に向かって返す。
「今度はいつ?」
「まあ、首尾良く済めば、また来週」
「また来週。あなたね、TVの連続ドラマじゃないんだから」
そう言いながら彼女はゆっくりと身体を起こした。身体を覆っていた毛布が肩から背中からずり落ちる。
「あんまり放っておくと、浮気するかもよ」
「できる?」
軽く言われて、彼女は思わず口をゆがめる。冗談、と男はそれにまた軽く返す。
「嫌なひと」
「悪いね」
そう言いながら男は、ベッドの上にちょん、と座り込む彼女に近づくと、その大きな両手で頬をくるみ、軽くキスをする。
「やあよね。これで許してもらえると思ってるんだから」
「違う?」
「違わないけど」
「今度はゆっくりさせてもらうよ」
ゼルダはそれには答えずに、むき出しの両肩を軽くすくめた。
扉が閉じられた後も、彼女はしばらくそこを見つめていた。
やがて彼女は、ふい、と手を挙げると、柔らかい枕をいきなりその扉に投げつけた。
ぱん、と大きな音がして、枕は扉にぶつかり、撃たれた鳥の様にその場に落ちた。
いつだってそうだ、と彼女は思う。彼女が一年ほど前に出会い、そしてつきあうようになったあの男は、いつもああだ。
マーティ・ラビイと名乗っているあの男が、一体何の仕事をしているのかゼルダは知らない。
別に知らなくても、そういう付き合いはできる。できると思っていた。
自分はもう少女ではないし、実際、結婚も一度経験している。自分一人で生きてくことの楽しさも自由も知っている。別れた男は、自分のその一人の時間を大事に思う気持ちをどうしても理解できなかった。
だけど一人でやってくだけでは、少し寂しい。時には人肌が恋しくなることもある。だから時々の夜を過ごす相手は欲しい。
そんな気持ちを抱えていた時に、出会った相手だった。
隠居して、南の都市へと越してしまった父母のあとを、なりゆきで継いで経営している古書店だが、仕事は嫌いではない。元々は趣味の範疇にはなかった古書だが、やってみると案外楽しく、そして、めまぐるしく変わる流行とは無縁でやっていけるあたりが彼女は気に入っていた。
まあそう売り上げが格別良い、ということはないが、一応このハルゲウにも一つある大学の関係者にはひいきにしてもらっているし、学生達もよく活用してくれる。
だから、その男が入ってきた時には、大学でスポーツのコーチでもしているのかな、と彼女は思った。そのくらい、その男の体つきは、見事なものだった。
この地域にしては珍しい程によく焼けた肌にしても、筋肉質の腕にしても、広い肩にしても、普段机に向かっていることが多い男達を見慣れた目にはひどく新鮮だった。
それに加えて、明るい色の髪、太い眉、大きな目。その彫りの深い、濃い顔立ちに、彼女は一目で引きつけられていた。
まあ一目惚れというものである。正直彼女も、そんな自分の気持ちに驚いたくらいである。学生時代以来だった。何年も感じたことがない。相手がこちらを見ると、心臓が躍り上がるような気持ちになるなど。
だから、その男が、いきなりレジ・カウンターに、数冊のペーパーバックを手にしてきた時には、かなり焦ったものだった。
そしてついこう訊ねてしまった。
「フラヴュ、お好きなんですか?」
それは彼が持っていた薄いペーパーバック三冊に共通した作家の名前だった。すると彼はこう答えた。
「どうですかね。ぱらばらとめくって、文体がいい感じだったから、見覚えがあるかもしれないと思ったけれど」
不思議な言い回しだ、と彼女は思った。見覚えがあるなら、それは読んだことがあるんじゃないだろうか。だけどその疑問はとりあえず彼女は胸の奥にしまって、彼にこう続けた。
「読んでいい感じでしたら、まだ棚には何冊かありますよ」
「じゃあその時にはまた来ますよ」
彼はそう言い、にっこりと笑った。彼女の心臓はまた飛び跳ねた。
男が立ち去った後、彼女は自分の身体が一気に汗をかき、それが扉を開けた瞬間にさっと吹き込む風によって引くのが判った。自分の汗のにおいが感じ取れるくらいだった。
彼女は期待はしなかった。が、またあの姿を見られたらいいな、という気持ちではいた。そんな出会いに、期待はしないことにしていたのだ。
だがどうやら、過大な期待をしないと、どうやら天は救いの手をさしのべるらしい。男はそれから二日後に来た。
本の話から始まり、やがてお茶に誘い、食事をするようになり、食事がランチからディナーになり…… ディナーがベッドになった。
男はマーティ・ラビイと名乗った。ありふれた名前だ、と思う一方で、何となく違和感の様なものも彼女は感じていた。
まだ明け方の光が窓から射し込むには時間がある。彼女はベッドから降りると、一度投げつけた枕を拾い、再び眠りについた。
何せ明日も仕事があるのだ。睡眠不足ではやってはいられない。
店から戻ったキディは部屋の灯りを点けながら思う。同居人の姿が無い。もう眠ったのか、と思ったりもする。自分の勤務時間は、夜中までなのだから。だけど向こう側の部屋の扉は開いていた。そして姿が無い。
ちぇ、と彼は舌打ちをする。またあそこかな。
また。キディは相棒の居場所の予想はついていた。
「せーっかく、持ってきたのにさ」
誰に聞かせる訳でもなく、彼はつぶやき、キッチンのテープルの上に、缶のビールの入ったネットを置く。ネットは缶の重みに、すぐにごろん、と形を崩す。
何も置かれていないテーブルが、すぐに缶で一杯になる。キディは椅子にかけると、ごろごろとそのネットの中の缶を指でもてあそぶ。
妬いている訳ではない、とキディは思う。彼は相棒の行く先の相手も知っていた。確か、大通りから少し離れた所にある古書店の女主人だった。
まだ若い。はっきりと歳を聞いたことがある訳ではないが、相棒と自分のちょうど間くらいではないか、とキディは思う。
小柄で可愛らしいタイプの女性で、古書店にしても、しゃかりきになって働いている、という印象ではない。親から相続したか何かで、そのままのんびりと経営しているのだ、と相棒から聞いたことがある。
このハルゲウの街に彼らが越してきてから、わりとすぐは相棒は彼女とつきあいだした、という記憶が彼にはある。
マーチ・ラビットはあのスポーツ選手の様な身体、その身体に似合った行動力に似合わず、古い本とか眺めるのも好きらしい。もっとも荷物が増えると動きがとりにくくなるので、もっばらそれは立ち読みに限られたが……
それでもほんの時折、薄い本や軽い本は買ってくる時がある。その本について訊ねたのが、きっかけだったらしい。
それも相棒の口から聞いた。ただ自分から進んで言う人物ではなかったので、そこまで聞き出すのにはずいぶんと時間がかかったのだが。
結果、彼女と付き合うようになってからというもの、週一の割合で、相棒は夜、部屋を空ける。決まっている訳ではない。週二にも三にもなる時もあれば、二週間三週間に一日、という忙しい時期もあるらしい。平均すればそのくらい、ということだ。
ありふれたことだ、とキディは思う。別に相棒に恋人が居たところで、それは健康な成人男子なら当然のことだろう。だいたい相棒は普通に暮らしていれば、既に結婚して十歳かそこらの子供が居てもおかしくはない年齢なのだ。自分にしたところで、あの流刑の時間が無かったら、家庭を持っていてもおかしくはない。
何がきっかけで、自分は足を踏み外したのだろう? キディは時々考える。その一方で、思い出したくない自分が居ることも、彼は知っている。
彼はネットの中で横たわる缶を一つ取り出し、ぷし、とそれを開ける。アルコールには強くないが、時々、それでもビールくらいは口にする。そして必ず、こうつぶやくのだ。
「……まず……」
何故相棒がこんなものを好むのか、キディにはよく判らない。だけど時々、どうしてこれを美味く感じるのか、知りたくなるのだ。
ただそれがどうしてなのか、彼にはやはり判らなかった。
ぶるん、と頭を振って、堂々巡りになりそうな考えを彼は頭から追い払う。こんなこと考えるんだったら、とっととほろ酔い加減になって、ぐっすり眠ってしまう方がいい。
ぐっすり眠ろう、と彼は思う。夢も見ないほどに。
夢には、嫌なものが出てくるから。
*
「……ん? もう帰るの? マーティ」
まだ外は薄暗いというのに。ゼルダは訊ねる。男は既に服を身につけている。昨夜自分を抱きしめ、揺さぶったあの頑丈な身体も、既に平凡な服の下に隠されている。
「仕事が入ったからね」
ふうん、と彼女はマーティと呼ぶ男に向かって返す。
「今度はいつ?」
「まあ、首尾良く済めば、また来週」
「また来週。あなたね、TVの連続ドラマじゃないんだから」
そう言いながら彼女はゆっくりと身体を起こした。身体を覆っていた毛布が肩から背中からずり落ちる。
「あんまり放っておくと、浮気するかもよ」
「できる?」
軽く言われて、彼女は思わず口をゆがめる。冗談、と男はそれにまた軽く返す。
「嫌なひと」
「悪いね」
そう言いながら男は、ベッドの上にちょん、と座り込む彼女に近づくと、その大きな両手で頬をくるみ、軽くキスをする。
「やあよね。これで許してもらえると思ってるんだから」
「違う?」
「違わないけど」
「今度はゆっくりさせてもらうよ」
ゼルダはそれには答えずに、むき出しの両肩を軽くすくめた。
扉が閉じられた後も、彼女はしばらくそこを見つめていた。
やがて彼女は、ふい、と手を挙げると、柔らかい枕をいきなりその扉に投げつけた。
ぱん、と大きな音がして、枕は扉にぶつかり、撃たれた鳥の様にその場に落ちた。
いつだってそうだ、と彼女は思う。彼女が一年ほど前に出会い、そしてつきあうようになったあの男は、いつもああだ。
マーティ・ラビイと名乗っているあの男が、一体何の仕事をしているのかゼルダは知らない。
別に知らなくても、そういう付き合いはできる。できると思っていた。
自分はもう少女ではないし、実際、結婚も一度経験している。自分一人で生きてくことの楽しさも自由も知っている。別れた男は、自分のその一人の時間を大事に思う気持ちをどうしても理解できなかった。
だけど一人でやってくだけでは、少し寂しい。時には人肌が恋しくなることもある。だから時々の夜を過ごす相手は欲しい。
そんな気持ちを抱えていた時に、出会った相手だった。
隠居して、南の都市へと越してしまった父母のあとを、なりゆきで継いで経営している古書店だが、仕事は嫌いではない。元々は趣味の範疇にはなかった古書だが、やってみると案外楽しく、そして、めまぐるしく変わる流行とは無縁でやっていけるあたりが彼女は気に入っていた。
まあそう売り上げが格別良い、ということはないが、一応このハルゲウにも一つある大学の関係者にはひいきにしてもらっているし、学生達もよく活用してくれる。
だから、その男が入ってきた時には、大学でスポーツのコーチでもしているのかな、と彼女は思った。そのくらい、その男の体つきは、見事なものだった。
この地域にしては珍しい程によく焼けた肌にしても、筋肉質の腕にしても、広い肩にしても、普段机に向かっていることが多い男達を見慣れた目にはひどく新鮮だった。
それに加えて、明るい色の髪、太い眉、大きな目。その彫りの深い、濃い顔立ちに、彼女は一目で引きつけられていた。
まあ一目惚れというものである。正直彼女も、そんな自分の気持ちに驚いたくらいである。学生時代以来だった。何年も感じたことがない。相手がこちらを見ると、心臓が躍り上がるような気持ちになるなど。
だから、その男が、いきなりレジ・カウンターに、数冊のペーパーバックを手にしてきた時には、かなり焦ったものだった。
そしてついこう訊ねてしまった。
「フラヴュ、お好きなんですか?」
それは彼が持っていた薄いペーパーバック三冊に共通した作家の名前だった。すると彼はこう答えた。
「どうですかね。ぱらばらとめくって、文体がいい感じだったから、見覚えがあるかもしれないと思ったけれど」
不思議な言い回しだ、と彼女は思った。見覚えがあるなら、それは読んだことがあるんじゃないだろうか。だけどその疑問はとりあえず彼女は胸の奥にしまって、彼にこう続けた。
「読んでいい感じでしたら、まだ棚には何冊かありますよ」
「じゃあその時にはまた来ますよ」
彼はそう言い、にっこりと笑った。彼女の心臓はまた飛び跳ねた。
男が立ち去った後、彼女は自分の身体が一気に汗をかき、それが扉を開けた瞬間にさっと吹き込む風によって引くのが判った。自分の汗のにおいが感じ取れるくらいだった。
彼女は期待はしなかった。が、またあの姿を見られたらいいな、という気持ちではいた。そんな出会いに、期待はしないことにしていたのだ。
だがどうやら、過大な期待をしないと、どうやら天は救いの手をさしのべるらしい。男はそれから二日後に来た。
本の話から始まり、やがてお茶に誘い、食事をするようになり、食事がランチからディナーになり…… ディナーがベッドになった。
男はマーティ・ラビイと名乗った。ありふれた名前だ、と思う一方で、何となく違和感の様なものも彼女は感じていた。
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