2つの糸

碧 春海

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十一章

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 次の日、朝比奈は午後一番で中央署に向かうことにした。一度は友紀を誘うつもりで家に寄ってみたが、母親の体調が万全ではなく、友紀が父親の通夜の準備を仕切っていて忙しそうだったので、声も掛けずに車へと戻った。朝比奈は、中央署の駐車場に車を止めて玄関へ向かうと沖田が待っていてくれた。
「沖田さん、昨夜はお世話になりました」
 朝比奈は沖田に近づいて声を掛けた。
「いいえ、それでは早速車を見に行きましょうか」
 沖田は中央署の裏にある車庫へ朝比奈を案内した。
「あの車です」
 沖田はグレー色のセダンの車を指差した。
「沖田さん、この車は発見された時のままなんですか」
 車に近づき中を覗き込んだ。
「はい、レッカー車で運んできましたのでそのままの状態ですよ」
 何を調べようとしているのか見当が付かなかった。
「内田さんは運転席に座って、というかシートを倒したままで寝た状態で亡くなっていたのですか」
 運転席の扉を開け亡くなったと思われるように寝そべった。
「ちょっと、何をするんですか」
 朝比奈の行動に驚いて慌てて止めようとした。
「やっぱりそうでしたか」
 シートを元に戻してハンドルを握った。
「えっ、どういうことですか」
 沖田の制止を全く無視して行動につい声が大きくなった。
「沖田さん、一度このシートに座ってみてください」
 朝比奈は車から降りると沖田に席を譲った。
「何なんですか」
 意味が分からないままも素直に席に腰を下ろした。
「ハンドルをしっかり握ってみてください」
 言われるまま、少し身体を前に進めてハンドルを握った。
「そうですよね。僕の場合は丁度良かったのですが、沖田さんには座席を少し前にずらさなければ、ハンドルやアクセルそれにブレーキの操作がしづらいですよね。僕の身長は185cm、沖田さんの身長はどれくらいですか」
「174cmです」
「解剖所見で確認して頂ければ分かりますが、内田秀夫さんは172cmだったのです。沖田さんとほぼ同じ身長、僕には丁度良い座席でも沖田さんや内田さんには後ろすぎる。つまり、この車を運転するのは不自然なのですよ」
 朝比奈は座席を少し前にずらした。
「この車を運転していたのは内田さんではなく、朝比奈さんに身長がちかい人物が現場まで運んできたという訳ですか」
 車から降りて沖田が尋ねた。
「この前お願いしていた、遺書は持ってきていただけましたか」
 朝比奈は右手を差し出した。
「あっ、部屋に用意してあります」
 沖田は朝比奈を案内して小会議室に入った。
「これです」
 机に置いてあった茶封筒の中からビニール袋に入った短冊のような紙を朝比奈に渡した。
「近藤警部が言われたように、本当にこれだけだったんですね。ねえっ、沖田さん。こんな遺書を見たことありますか」
 実際に手に取ってじっくりと見た。
「まぁ、人それぞれですから、色々な形の遺書があってもおかしくはないと思いますよ。それに何も残さないで、衝動的に自殺することもありますからね」
 朝比奈から戻された遺書をもう一度読み直してみた。
「そうなんですよ。僕も遺書が無いなら返ってスッキリできるのですよ。でも、死のうと思ったことがないので分かりませんが、もし僕が遺書を残すとすれば、こんな短いしょぼい文面ではなく自殺の理由を永遠と書き綴りますけどね。沖田さんならどうです」
「私は・・・・・」
 暫く考えてしまった。
「ああっ、もう1つ頼んでいた凶器の鑑定書を見せていただけませんか」
 話を変えて右手を差し出した。
「凶器となったマリア像に付いていた指紋は、亡くなっていた内田秀夫のものでした」
 先程の茶封筒の中からファイルに入った書類を取り出して朝比奈に手渡した。
「この書類に因りますと、内田秀夫さんの指紋しか検出されていませんね。警察は覚悟の自殺だから、凶器の指紋は拭き取らなかったと考えているのでしょうが、内田さんの指紋だけしかないのも不自然ですね。それに・・・・・・・まぁ、それは後のお楽しみとして、白犬ヤマタの宅配便については調べていただけましたか」
 言葉を濁して尋ねた。
「あっ、はい、朝比奈さんには聞いてはいたのですが、捜査本部は既に内田秀夫さんが娘さんを殺害して自殺したという線で決着するつもりで、朝比奈さんのように内田秀夫さんの自殺を疑っているものは、捜査本部の中には誰一人いません。今は一応、少数で裏取りの捜査をしているところです。だから、そんな宅配のことまでは手が回りませんよ」
 あなたのお蔭で大変なんですと付け加えたい気分の沖田だった。
「いや、自殺を疑い始めた人は一人は居ると思いますけど」
 朝比奈は沖田を指差した。
「確かに、朝比奈さんの話を伺う限り自殺を疑う要素はありますが、立場上今更そんなことを提言することは難しいかと・・・・・・・」
 沖田は朝比奈の意見を受け入れていたものの困惑していた。
「分かりました。宅配便の件は僕がなんとか調べてみますので、僕がお願いしていたテーブルの6人についてだけは調べてくれませんか。身長も解かれば助かります」
 縦社会の警察の機構と今の状況を理解して、沖田には最小限の依頼をした。
「何とか調べてみます。でも、どうして朝比奈さんは、そんなに内田さんの自殺に拘っているのですか。座席の件も違和感は感じますが、内田さんが足を伸ばす為に後ろにずらしたのかもしれません。凶器にしても、内田さんが触れるまでは綺麗に拭いてあっても誰も触れていなかったのかもしれませんよ」
 朝比奈の意見に納得はしていても、捜査本部の皆を説得できる決定的な証拠ではないと思っていた。
「まぁ、警察の見立てどうりだったらそれでいいじゃないですか。でも、もし冤罪だったとしたらどうでしょう。反論したくても、本人は亡くなっていますから、誰かが代わりに真実を証明しなくてはいけないと思うんですよ。祖父も父も姉までも検事という道を選び、
性格的に曲がったことが嫌いで、特に父からは『義に死すとも不義に生きず』と会津武士の高潔な心を教えられてきました。不器用な父はその為に随分出世が遅れましたが、僕はその背中を見て育ち今でも尊敬しています。それに今回の事件は友人の死に関係しているのですよ。確かに、僕には警察のように逮捕権や捜査権はありません。でも、大学教授や金田一耕助の孫のように事件を推理することはできます。それに僕はコナン検定1級なんですよ」
 朝比奈はポケットに入っていた認定カードと満点合格者限定のステッカーを見せた。
「できる限りの協力はします」
 そういうのが精一杯だったが、認定カードやステッカーは羨ましく感じていた。そんな沖田を残して朝比奈は、先ずは国友の滞在先のホテルに寄ってみた。先日から連絡が取れないので直接訪ねたのだが、ホテルにも戻っていないとのことだった。気になって、愛知精機の本社に確認してみたが、予想していた通り取り次いではもらえなかった。
(別な方から当たるしかないか)
 朝比奈は仕方なく、名古屋ニューグランドホテルから依頼されていた、挙式披露宴の広告宣伝の仕事を兼ねて車で向かうことにした。宣伝の内容については殆んど書き上げていたけれど、メインとなるキャッチコピーを決めるだけになっていたが、そのイメージコピーが最も重要なのに、事件のことばかり考えていて候補作どころか全然思い浮かばない状態であった。しかし、そろそろ進行状況をホテルの担当者に知らせないと流石に不味いとも思っていた。つい先日のことではあったが、名古屋ニューグランドホテルへと車を走らせる朝比奈は、人生の儚さをひしひしと感じていた。時間は違えど、街角に風景は変わっていないのに、朝比奈の心の中はあの日とは天と地、晴天と暗雲程に違っていた。落ち込む気持ちのまま、ホテルの地下駐車場へと車を滑り込ませ、1階のロビーへと上がっていった。ロビーは平日にもかかわらず、宿泊客などで混雑していた。朝比奈が忙しそうに動き回るスタッフに声を掛けそびれていると、後ろから肩をポンと叩かれた。
「お客様、何かお困りでしょうか」
 驚いて振り向くと紺のブレザーをセンスよく着こなした背の高い男性が微笑んだ。
「あっ、びっくりした。矢野専務驚かさないでくださいよ」
 矢野の顔を見て2度驚いた。
「仕事の方は進んでますかって聞くまでもなく、朝比奈さんはそれどころじゃなかったようですね」
 矢野は事務所まで朝比奈を案内して席を用意した。
「どうして矢野専務は、僕が警察に連れて行かれたことを知っているのですか」
 席に着くと周りに聞こえないように小さな声で尋ねた。
「昔から、壁に耳あり、障子に目あり。こういう仕事をしているとマスコミ関係にコネもできますからね」
 同じように小さい声で答えた。
「流石に、矢野専務は顔が広いですね。まぁ、その件は警察の勇み足で何とか解放されましたけど、ホテルの方は影響はありませんでしたか。亡くなったのが挙式を挙げたばかりの新婦だったのですから」
 お茶を持ってきた女性が頭を下げて立ち去ったのを確認して、普通の声で話し掛けた。
「今のところは挙式のキャンセルは無いけど、新規の契約申し込みが前年や先月に比べて減ったという報告は受けてるよ。ただ、新婦を殺害したのは実の父親で、その父親は自殺したとの情報も入ってきているので、それがどのようにマスコミで流されるかによってはキャンセルが増えてくるかもしれないな」
 頭が痛いといった表情だった。
「ちょっと確認したいのですが、友美さんは美容室の女性に聞いて、誰にも会わないように教会へ行く方法を尋ね、非常階段を利用したそうなのですが、彼女を呼び寄せたのは父親に間違いないようです。それはこの男性なのですが、見覚えはないですか」
 友紀さんからスマホに送られてきた父親の画像を矢野に見せた。
「ああ、この人は内のホテルが依頼している警備会社の内田さんだと思います。えっ、内田さんが、その新婦を殺害した犯人だったのですか。あっ、そう言えば、亡くなった新婦は内田友美さん。彼女のお父さんだったのですか」
 スマホの画面から朝比奈へと視線を移した。
「確かに、父親であるのは間違いないのですが、矢野さんが仕入れた情報通りに、内田さんが娘さんを殺害したとは限りませんよ」
「えっ、私でも、つい先程聞いたばかりなのに、朝比奈さんはどうしてそんなことまで分かるのですか」
 流石に驚いていた。
「矢野専務程ではありませんが、僕もマスコミ等色々な仕事に関係していますので親しい人も多くいるんですよ。それに、亡くなった内田友美さんは高校時代の後輩で、結婚相手の国友は同級生だったので、事件のことが気になっていたんです。そうか、友美さんのお父さんは、このホテルの警備員をしていたのですね。因みに、昨年のクリスマスイブのイベントの時も警備をされていたのでしょうか」
 左の顳かみを叩きながら尋ねた。
「調べなければはっきりとは分かりませんが、内田さんはとても真面目な方で、警備会社からも信頼されていましたので週に5日の勤務で働いていらして、特に混み合う金土日祝日は休むことはなかったと思いますよ」
 朝比奈の動作が気になった。
「そうか、そうか、多分その時に、警備員のお父さんは娘の婚約のことに気づき、挙式の日も調べられていたのでしょうね」
 自分1人勝手に納得していた。
「あの、そういう事情でしたら、事件に関わるのは仕方ないとしても、こちらが依頼している仕事もお願いしますよ。まだ仕上がっていないと聞いていますけど」
 何か話に付いて行けなくて話題を変えた。
「すみません。後一歩のところで完成しますので、もうしばらくお待ちください。あっ、ちょっとこの後会う人がいますので失礼します」
 朝比奈は、慌てて立ち上がり頭を下げると、急いで1階のロビーの一角にある白犬ヤマタの宅配便へと向かった。
「こんにちは、お疲れ様です」
 朝比奈は受付作業をしている女性に声を掛けた。
「ああっ、朝比奈さん、お久しぶりです。今日はどうされたんですか、しばらくお休みだと係長から聞いていますけど」
 朝比奈の後輩の井上まひろが顔を上げた。
「ちょっと事情があってね」
「やっと結婚が決まったのですか」
 少し残念そうに尋ねた。
「まさか、白犬ヤマタでアルバイトをしている男と結婚したいと思う女性なんかいないよ」 
 顔の前で右手を左右に振った。
「分からないですよ。バリバリのキャリアウーマンで、私が養ってあげるっていう女性がいるかもしれないですよ」
 疑う表情で朝比奈を見た。
「そんな女性と知り合うきっかけがないってことだよ。もしそんな奇特な女性が居たら是非紹介してもらいたいね。いや、いや、そんなことはどうでもいいけど、つい先日の15日は、ここの配達受付の担当は誰だったか分かるかな」
 素早く話題を変えた。
「えっ、15日ですか、その日は成人式の日や挙式などでとても賑わっていたんでよく覚えていますよ。私と井上主任と佐藤さんの3人で担当していましたよ」
 混雑していたその日のことを思い出していた。
「申し訳ないけど、その日の発注リストを見せてくれないかな。確か1週間は担当事務所で保管してあるよね」
 顔の前で両手を合わした。
「あっ、はい、でも何に使うのですか。信用はしてますけど、先輩も知っているように一応個人情報ですから、お客様の連絡先等は教えられない決まりですよね」
 困惑気味に答えた。
「大至急必要なんだ。後で係長には連絡しておくからさ」
 朝比奈も強引に押し込んだ。
「分かりました。本当にちゃんと連絡しておいてくださいよ」
 まひろは渋々事務所まで案内した。早速、リストを見せてもらったが、確かに多くの品物の配送依頼があったが、1品だけ配達先が不明ということで戻ってきた商品があり、その品物を見せてもらうと、朝比奈が引き出物にもらったクリスタルシークインペアビアグラスだった。
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