Ｗhat goes around,comes around

プロローグ

　９月３０日、母が天国へと旅立ちました。大腸にポリープが発見されたのですが、本人は残りの人生を息子の私と一緒に暮らす道を選び、その日から家での介護が始まりました。初めは体も動き、週に３日のデイサービスも受けられていましたが、認知症の症状も現れ私のことも分からなくなっていました。昭和初期生まれの母は頑固で負けず嫌い、喧嘩も絶えなく疎ましい存在の時も有りました。存在感が大きい故に、亡くなった時の虚脱感は想像以上でした。今回は、母もそうでしたが、多くの死亡の原因になっているガン、特に今回は血液のガンと呼ばれる白血病を取り上げてみたいと思います。
　まず、血液の中には赤血球、白血球、血小板と言う3つの血球があり、これらの血球が作られる過程で遺伝子の異常、簡単に言えば遺伝子に傷がついて発生し、白血病細胞と呼ばれるがん細胞が作られ、骨髄性白血病、急性リンパ白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、成人Ｔ細胞白血病、骨髄異形成症候群、各種のリンパ腫に分けられます。遺伝子を傷つける主な原因としては、我々の廻りに結構沢山あります。代表的なものが、タバコに含まれる発がん物質です。その他としては、健康診断に浴びる放射線、さらに自然界にもある薬などです。また、ある種のウイルスも遺伝子に働いてがんを発生させます。
　白血病を発症すると、正常な血球が減少することによる息切れ、動悸、倦怠感、あざ、出血斑、鼻血、貧血、発熱などの症状と異常ながん細胞が各臓器に運ばれていくことによる腹部の腫れ、しこり、痛み、歯茎の腫れや痛み、腰痛、関節痛、吐き気、嘔吐などの症状が出現します。ただ、慢性の白血病ではゆっくりと進行する為、初めのうちはこれらの症状がほとんど表れない場合もあります。ただ、急性の白血病は急激に進行する為、迅速に適正な処置を行う必要があります。
　その急性白血病の治療法ですが、抗がん剤などによる化学療法や放射線照射によるものがありますが、それに加えて同種造血幹細胞移植は強力な治療で白血病細胞を減らし、患者さんの免疫細胞を抑えた後、白血球の型であるＨＬＡが患者さんと一致した他人（ドナー）から採取した造血幹細胞を患者さんの体内に移す方法です。血液生産の回復の他、ドナーの細胞が患者さんの体内の白血病細胞を攻撃する作用が期待されます。本来、ＨＬＡとは、人が持つ白血球の型で、ＨＬＡには多くの型がありますが、しかし、簡単にＨＬＡが一致すると言っても、造血幹細胞ではＨＬＡ－Ａ・ＨＬＡ－Ｂ・ＨＬＡ－Ｃ・ＨＬＡ　－ＤＲを合わせる必要があります。人はＨＬＡ－Ａ・ＨＬＡ－Ｂ・ＨＬＡ－Ｃ・ＨＬＡ　－ＤＲを２セット持っており、合計８抗原が一致することが最良です。両親から１セットずつ遺伝的に受け継ぐ為、ＨＬＡが完全に一致する確率は兄弟姉妹間では４分の１ですが、
非血縁者間では極めて低くなります。ドナーを検索する際、血縁者にＨＬＡが一致したドナーがいない場合は、骨髄バンクへ登録し非血縁ドナーを探すことになります。