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一章
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名古屋市東区に広大な敷地を有する『国立新薬研究所』は、中部圏に初めて設立された医薬医療品専門の研究所である。その研究所の駐輪場に、ベージュ色のカッターシャツに黒のジャンパーを着込み、焦げ茶色のストレッチパンツにスニーカー姿の男性が、ロードバイクから降りて玄関へと向かった。
「すみません。朝比奈優作と言います。糸川所長と会う約束をしているのですが、取り次いでいたたけませんか」
受付の女性に声を掛けた。
「はい、承っております。ご案内しますので・・・・」
立ち上がって対応しようとした。
「あっ、所長室ですよね」
女性を制した。
「そうですが」
「分かっていますので、1人で大丈夫です」
そう言い残してエレベーターへと向かった。
「失礼します」
ドアを3度ノックし『どうぞ』の声を聞いて扉を開け部屋へと入っていった。
「待ちくたびれたわよ」
白衣を着た糸川絹子所長が壁に掛かった丸くて大き目の時計を指差した。
「途中で迷子になった女の子が泣いて、一緒にお母さんを探していたものですから」
テーブルを前にして大きなソファーに腰を下ろした。
「そんなこと・・・・・」
朝比奈の前に腰を下ろした。
「えっ、まさか、ほっとけば良かったってことですか」
大袈裟に驚いて見せた。
「別にあなたがしなくてもいいってことよ。人助けもいいけど、私はあなたと違って暇じゃないんですよ」
呆れ顔で返した。
「とても忙しい所長さんが、暇を持て余している青年に何のご用事なんでしょう。勿論、電話では済まない事なんでしょうね」
詫びることはなく反対にイヤミで返され、糸川は相談をどうしようか一瞬躊躇した。
「実は、この研究所に以前勤めていた如月碧って子が、公立がんセンターに移って白血病の患者を担当しているんだけど、薬などによる化学治療や放射線の照射に、造血幹細胞の移植を待つ小中高生が十数名居るそうなの。その子達はそれぞれテレワークなどで個別に授業は受けているんだけど、一度全員を集めて特別授業を開きたいと依頼があって、医学や薬についての講義を引き受けたのよ」
「それはいいことですね。学年は違っても皆んなで話を聞くということは大切ですからね。その特別授業の手伝いをお願いしたいってことなんですね」
やっと呼び寄せた目的が分かって納得していた。
「それがね、そのつもりで準備もしていたんだけど、急に明日の午前中に政府の要請でどうしても東京に出向かなくてはならなくなったのよ」
「それは残念ですね」
「そっ、そうなのよ。何度も点滴したり、放射線治療も体に負担をかけ、どうしても気分が落ち込むから皆んな楽しみにしているみたいなのよね」
小さく頷きながら朝比奈を見た。
「えっ、まさか、僕1人で特別授業を受け持てってことですか、それも明日にですか。ない、ない、ない」
それはないとばかりに顔を左右に振った。
「娘から聞いたけど、朝比奈君は教員免許も持っているんだぞーなんて言ってたそうじゃないの」
逃さないわよとばかりに朝比奈の顔を見詰めた。
「あの、確かに、小中学校の教員免許は持っていますけど、どんな資格を持っているか聞かれて答えただけで、別に自慢した訳じゃないですよ。それに、僕の場合は一度も教壇に立ったこと、全く経験の無いペーパー教師なんですよ」
1つ溜息を吐いた。
「別に正規の授業をする訳じゃないわ。よく、オリンピック選手や各分野のアスリートが公演なんかもしているでしょ。そんな秩序や常識を気にするなんてあなたらしくないわね」
オリンピック選手やアスリートと同等に持ち上げた後での非常識人へ急降下、褒めているのか貶しているのか朝比奈は首を傾げた。
「入院している子供たちのことを考えれば特別授業は必要だとは思いますが、所長の部下の方など他にいないんでしょうか。僕が適任とは思えないんですけど」
最後の抵抗を試みた。
「明日なのよ。皆んな忙しいのよね」
本当に残念そうに大袈裟に肩を落とした。
「暇なのは僕くらいしか思い浮かばなかったってことですね。分かりました、所長の顔を潰さないように精一杯務めさせていただきますが、苦情が噴出しても仕方ないとの覚悟はしていてくださいね」
朝比奈は仕方なく受ける決心をした。
「ありがとう。恩に着るわ」
今度は安堵の溜息をついた。
「今日の明日、所長も強引ですが、政府も相変わらずですね」
糸川のことを少し同情して引き受けようと気持ちが変わったのかもしれない。
「新薬についての説明、特にワクチンの開発の進展状況を報告に行くことになってね。明日までに政府の素人にも解るような資料を作らなければならないのよ」
腕を組んで憤慨していた。
「無理難題を押し付けてくるのでしょうね」
テレビに映し出される顔ぶれを思い浮かべた。
「最終的には、何の為に新薬研究所を作ったんだってね。まず、医薬品の特許には、新しい化学構造の物質が医薬品に使用できることを発見した際に与えられる『物質特許』、既存の医薬品の製造方法を発見した際に与えられる『製法特許』、錠剤からカプセル剤など既存の医薬品を新しい製剤によって処方すると有効であることを発見した場合に与えられる『製剤特許』、既存医薬品の新しい効能や効果を発見した場合に与えられる『用途特許』の4種類があり、特許期間は最長で25年だけど、この中で特に重要で最も価値が高いのはどれだと思う」
分からないだろうと言う表情で尋ねた。
「それは勿論『物質特許』ですよね。取得すれば、開発した医薬品を独占的に製造販売をすることができる。後発医療メーカーはその新薬と同じ有効成分で効能効果、用法用量が同一で新薬に比べて低価格な医薬品、いわゆる『ジェネリック医薬品』を発売することになりますが、『物質特許』の期間が切れてもほとんどは他の特許権を取得しますので、全く同じ製法・製剤・用途では利用できないからですよね」
左の顳かみを叩きながら答えた。
「何で知ってるの」
驚いて目を見開いた。
「何を言っているんですか、所長が教えてくれたことですよ。驚くなら、よく覚えていたわねですよ」
糸川の表情の変化を楽しんでいた。
「そっ、そうなのよ。その制約がある為に、全くの新薬を開発するのには何年もの期間がかかるし、奇跡的にできたとしても直ぐには使えない。特に安全を重視する日本においては、審査にも何年もかかるから本当に大変なのに、政府のお偉いさんは何も解ってくれない。毎年毎年、予算を削られる一方。何とかマスクの維持に何億円も使ったり、給付金の経費に何百億も計上するくらいなら、少しはこちらに回して欲しいわ」
今度は諦め顔に変わった。
「そうですね。仕事もしないのに、百万円を文通費として支払う法案を作った人間の考えることですから、中々常識が通じないですよね」
小刻みに顔を動かして頷いた。
「驚いた、あなたに常識を語られるとは思わなかったわ」
朝比奈の言葉は糸川に薄笑いをもたらした。
「それで、公立がんセンターには、明日の何時に向かえばいいんですか」
話を変えて尋ねた。
「あっ、そうそう、特別授業は午前の10時からだけど、打ち合わせもあるからできれば1時間前には到着して欲しいね」
今日のこともあり心配だった。
「信用してください。今度は遅れないようにちゃんと公共交通機関を使いますから」
糸川の心を読んでいた。
「ああっ、それから、その時にこの薬を如月さんに渡して欲しいの」
糸川は立ち上がり、自分の机に置いてあった小袋を手にした。
「これは何の薬ですか」
小袋から取り出した小瓶を見て尋ねた。
「研究所で開発したアレルギー抑制剤よ」
座り直して答えた。
「彼女何かのアレルギーを持っているのですか」
「同じ部署にいる同僚が、酷いアレルギー持ちで困っているようで相談を受けたので、新薬を試しに使ってもらうことになったのよ」
「分かりました、ちゃんと忘れずにお渡しします」
薬を小袋に戻しジャンパーのポケットに押し込んだ。
「それからもう1つ、重要な話があるわ」
「えっ、まだ何かあるのですか」
「胸に手を当ててよく考えてみてる」
「うーむ」
早速右手を胸に当てたが何も思い浮かばなかった。
「えっ、本当に思い当たらないの」
「はい、今のところは」
「やっぱり、諦めさせた方が良いかもね」
娘の顔を頭に浮かべて顔を振った。
「一体何のことですか」
胸に当てていた手を下ろした。
「娘の美紀のことよ。最近全く会えないって、あなたが避けているんじゃないかって愚痴ってたわ」
「えっ、そうなんですか。別に避けている訳じゃないけど、僕は大学などの夜の警備員の仕事に、コンビニも深夜の勤務が多くて時間的に合わないんですよ。それに、美紀は今仕事、とっても頑張っているみたいだから折角の休みの日に付き合わせるのは悪いと思ってね。時々こんな突拍子もない仕事も入ってきますからね」
朝比奈は睨み返した。
「それで、美紀とはちゃんと付き合う気はあるの」
少し身を引いて尋ねた。
「ちゃんと、と言う意味がよく分かりませんが、特に喧嘩をすることもなく、穏やかに、穏やかに、接しているつもりです」
糸川の鋭い眼差しに今度は朝比奈が身を引いた。
「すみません。朝比奈優作と言います。糸川所長と会う約束をしているのですが、取り次いでいたたけませんか」
受付の女性に声を掛けた。
「はい、承っております。ご案内しますので・・・・」
立ち上がって対応しようとした。
「あっ、所長室ですよね」
女性を制した。
「そうですが」
「分かっていますので、1人で大丈夫です」
そう言い残してエレベーターへと向かった。
「失礼します」
ドアを3度ノックし『どうぞ』の声を聞いて扉を開け部屋へと入っていった。
「待ちくたびれたわよ」
白衣を着た糸川絹子所長が壁に掛かった丸くて大き目の時計を指差した。
「途中で迷子になった女の子が泣いて、一緒にお母さんを探していたものですから」
テーブルを前にして大きなソファーに腰を下ろした。
「そんなこと・・・・・」
朝比奈の前に腰を下ろした。
「えっ、まさか、ほっとけば良かったってことですか」
大袈裟に驚いて見せた。
「別にあなたがしなくてもいいってことよ。人助けもいいけど、私はあなたと違って暇じゃないんですよ」
呆れ顔で返した。
「とても忙しい所長さんが、暇を持て余している青年に何のご用事なんでしょう。勿論、電話では済まない事なんでしょうね」
詫びることはなく反対にイヤミで返され、糸川は相談をどうしようか一瞬躊躇した。
「実は、この研究所に以前勤めていた如月碧って子が、公立がんセンターに移って白血病の患者を担当しているんだけど、薬などによる化学治療や放射線の照射に、造血幹細胞の移植を待つ小中高生が十数名居るそうなの。その子達はそれぞれテレワークなどで個別に授業は受けているんだけど、一度全員を集めて特別授業を開きたいと依頼があって、医学や薬についての講義を引き受けたのよ」
「それはいいことですね。学年は違っても皆んなで話を聞くということは大切ですからね。その特別授業の手伝いをお願いしたいってことなんですね」
やっと呼び寄せた目的が分かって納得していた。
「それがね、そのつもりで準備もしていたんだけど、急に明日の午前中に政府の要請でどうしても東京に出向かなくてはならなくなったのよ」
「それは残念ですね」
「そっ、そうなのよ。何度も点滴したり、放射線治療も体に負担をかけ、どうしても気分が落ち込むから皆んな楽しみにしているみたいなのよね」
小さく頷きながら朝比奈を見た。
「えっ、まさか、僕1人で特別授業を受け持てってことですか、それも明日にですか。ない、ない、ない」
それはないとばかりに顔を左右に振った。
「娘から聞いたけど、朝比奈君は教員免許も持っているんだぞーなんて言ってたそうじゃないの」
逃さないわよとばかりに朝比奈の顔を見詰めた。
「あの、確かに、小中学校の教員免許は持っていますけど、どんな資格を持っているか聞かれて答えただけで、別に自慢した訳じゃないですよ。それに、僕の場合は一度も教壇に立ったこと、全く経験の無いペーパー教師なんですよ」
1つ溜息を吐いた。
「別に正規の授業をする訳じゃないわ。よく、オリンピック選手や各分野のアスリートが公演なんかもしているでしょ。そんな秩序や常識を気にするなんてあなたらしくないわね」
オリンピック選手やアスリートと同等に持ち上げた後での非常識人へ急降下、褒めているのか貶しているのか朝比奈は首を傾げた。
「入院している子供たちのことを考えれば特別授業は必要だとは思いますが、所長の部下の方など他にいないんでしょうか。僕が適任とは思えないんですけど」
最後の抵抗を試みた。
「明日なのよ。皆んな忙しいのよね」
本当に残念そうに大袈裟に肩を落とした。
「暇なのは僕くらいしか思い浮かばなかったってことですね。分かりました、所長の顔を潰さないように精一杯務めさせていただきますが、苦情が噴出しても仕方ないとの覚悟はしていてくださいね」
朝比奈は仕方なく受ける決心をした。
「ありがとう。恩に着るわ」
今度は安堵の溜息をついた。
「今日の明日、所長も強引ですが、政府も相変わらずですね」
糸川のことを少し同情して引き受けようと気持ちが変わったのかもしれない。
「新薬についての説明、特にワクチンの開発の進展状況を報告に行くことになってね。明日までに政府の素人にも解るような資料を作らなければならないのよ」
腕を組んで憤慨していた。
「無理難題を押し付けてくるのでしょうね」
テレビに映し出される顔ぶれを思い浮かべた。
「最終的には、何の為に新薬研究所を作ったんだってね。まず、医薬品の特許には、新しい化学構造の物質が医薬品に使用できることを発見した際に与えられる『物質特許』、既存の医薬品の製造方法を発見した際に与えられる『製法特許』、錠剤からカプセル剤など既存の医薬品を新しい製剤によって処方すると有効であることを発見した場合に与えられる『製剤特許』、既存医薬品の新しい効能や効果を発見した場合に与えられる『用途特許』の4種類があり、特許期間は最長で25年だけど、この中で特に重要で最も価値が高いのはどれだと思う」
分からないだろうと言う表情で尋ねた。
「それは勿論『物質特許』ですよね。取得すれば、開発した医薬品を独占的に製造販売をすることができる。後発医療メーカーはその新薬と同じ有効成分で効能効果、用法用量が同一で新薬に比べて低価格な医薬品、いわゆる『ジェネリック医薬品』を発売することになりますが、『物質特許』の期間が切れてもほとんどは他の特許権を取得しますので、全く同じ製法・製剤・用途では利用できないからですよね」
左の顳かみを叩きながら答えた。
「何で知ってるの」
驚いて目を見開いた。
「何を言っているんですか、所長が教えてくれたことですよ。驚くなら、よく覚えていたわねですよ」
糸川の表情の変化を楽しんでいた。
「そっ、そうなのよ。その制約がある為に、全くの新薬を開発するのには何年もの期間がかかるし、奇跡的にできたとしても直ぐには使えない。特に安全を重視する日本においては、審査にも何年もかかるから本当に大変なのに、政府のお偉いさんは何も解ってくれない。毎年毎年、予算を削られる一方。何とかマスクの維持に何億円も使ったり、給付金の経費に何百億も計上するくらいなら、少しはこちらに回して欲しいわ」
今度は諦め顔に変わった。
「そうですね。仕事もしないのに、百万円を文通費として支払う法案を作った人間の考えることですから、中々常識が通じないですよね」
小刻みに顔を動かして頷いた。
「驚いた、あなたに常識を語られるとは思わなかったわ」
朝比奈の言葉は糸川に薄笑いをもたらした。
「それで、公立がんセンターには、明日の何時に向かえばいいんですか」
話を変えて尋ねた。
「あっ、そうそう、特別授業は午前の10時からだけど、打ち合わせもあるからできれば1時間前には到着して欲しいね」
今日のこともあり心配だった。
「信用してください。今度は遅れないようにちゃんと公共交通機関を使いますから」
糸川の心を読んでいた。
「ああっ、それから、その時にこの薬を如月さんに渡して欲しいの」
糸川は立ち上がり、自分の机に置いてあった小袋を手にした。
「これは何の薬ですか」
小袋から取り出した小瓶を見て尋ねた。
「研究所で開発したアレルギー抑制剤よ」
座り直して答えた。
「彼女何かのアレルギーを持っているのですか」
「同じ部署にいる同僚が、酷いアレルギー持ちで困っているようで相談を受けたので、新薬を試しに使ってもらうことになったのよ」
「分かりました、ちゃんと忘れずにお渡しします」
薬を小袋に戻しジャンパーのポケットに押し込んだ。
「それからもう1つ、重要な話があるわ」
「えっ、まだ何かあるのですか」
「胸に手を当ててよく考えてみてる」
「うーむ」
早速右手を胸に当てたが何も思い浮かばなかった。
「えっ、本当に思い当たらないの」
「はい、今のところは」
「やっぱり、諦めさせた方が良いかもね」
娘の顔を頭に浮かべて顔を振った。
「一体何のことですか」
胸に当てていた手を下ろした。
「娘の美紀のことよ。最近全く会えないって、あなたが避けているんじゃないかって愚痴ってたわ」
「えっ、そうなんですか。別に避けている訳じゃないけど、僕は大学などの夜の警備員の仕事に、コンビニも深夜の勤務が多くて時間的に合わないんですよ。それに、美紀は今仕事、とっても頑張っているみたいだから折角の休みの日に付き合わせるのは悪いと思ってね。時々こんな突拍子もない仕事も入ってきますからね」
朝比奈は睨み返した。
「それで、美紀とはちゃんと付き合う気はあるの」
少し身を引いて尋ねた。
「ちゃんと、と言う意味がよく分かりませんが、特に喧嘩をすることもなく、穏やかに、穏やかに、接しているつもりです」
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