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最終章 作戦
第三十三話 止められるのか、止めていいのか
しおりを挟む柵の前で、崖の下を眺めている父さんと母さんを見つけた。
里菜はすぐ話しかけるか迷った、
話しかけて、逃げる勢いでそのまま崖へ飛び込まれたら最悪だ、
やけくそになってるかもしれない
充分可能性がある、
そんなことになったらもう終わりだ
また繰り返す
私はどんな顔して空へ帰ればいい、
なんとしてでも
二人を止めないと。
いや、
もう作戦とかそういうのを抜きにしたって
二人を止めたい
この十数年間私を育ててくれた大事な両親だ、
死んで欲しくないに決まってる。
どうやって止めよう
どうやったら落ち着いてくれる?
里菜は必死に考えたが分からない。
というか止めてもいいのだろうか…
いや、止めないといけないんだけどね…。
ずっとずっと、辛そうにしている両親を見てきた、
あの二人を見ると
死こそが唯一の救いなんだろうな、というのがよく分かる。
止めたら、怒られるかな
死なせてあげたほうがいいのかもしれない。
二人の抱えている根本的な問題を私が解決してあげられたらいいのに、
何を抱えてるんだ、
お金?
父さんが仕事変えた辺りからおかしくなったから
やはりお金?
お金が必要?
じゃあ私にはどうすることもできないよ。
宝くじで何億かドカンと当てて
これあげるから死ぬのやめな、
なんてかっこいい事言えたらな。
そんな事絶対あり得ないけれど、
それか私が死んで保険金を……
嫌だめだ
そんな保険に入ってたかどうかも定かじゃない。
やはり言葉で納得してもらうしかないんだ。
二人はずっと崖下を見つめている
びくともしない、
いつ二人が身を乗り出すが、
里菜は気が気じゃなかった。
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