地球人のふり

はに

文字の大きさ
39 / 67
第8章 明けない夜

37話

しおりを挟む





数日後、
咲の式が行われた、




親族のみで行われる予定だったが、



幼稚園の頃から仲がよかった
幼なじみのメンバーは、特別に参加を許可された。
















式場に行くと、




懐かしいメンバーがいた、







しかし、
愛はキヨを見ようともしない、


歌は気まずそうに手を振るのみ、


春は「鬼電してごめんね」と謝っただけ、


依人は「大丈夫?」と声をかけてくれたが、
キヨが頷くのを見ると、そのまま咲の両親と話しに行った。








幼なじみメンバーは
みんなバラバラになったよ、咲、




私は1人になっちゃったよ。




棺の中の咲を見つめ
心の中で呟いた。





棺の中の咲はガリガリで顔色も悪かった、


この間会った時から数日しか経ってないのに、
いきなりこんなに痩せるはずがない、

きっとあの日は、
服やメイクを使って隠していたんだろうな…。





そんなことを考えながらも
キヨの目に涙は無かった。







それどころか、とても最低な事を考えていた。


















…羨ましい…。











地球で暮らすのに向いている、
正真正銘の地球人でも、
きっとこの先何年も生きていたら、色々落ち込む事もあるだろう、色んな事があって、辛い思いもするだろう、

でも、咲は
それら全てを経験しなくていいのだ、





全てから解放されたような、
穏やかな表情で眠る咲。












いいなぁ……


…咲は……





いいなぁ……!…











そうだ……








死んじゃえばいいんだ










私だって












死んじゃえばいいのか。












そう考えたキヨは、




虚ろな目で
式場から立ち去った、







そのまま歩き続け、



式場から少し離れた橋にたどり着いた。









この高さなら………









死ねる…。










下を流れている川も勢いが凄い、





このまま流されて、


海に着く頃にはもう私はこの世にいないだろう、





もう夜で辺りも暗い、
あまり人が寄り付かない場所なので
誰もいない、


誰かがキヨを見つけて
うっかり助けてしまうことも無いだろう。








キヨは下を覗き込んだ、








簡単だ、






ここから落ちれば
全て終われる。










しかしキヨは勇気が出ない、









死んだらどうなるのだろう、







昔母が言っていた、





人は死ぬと天国に行く、
でも自殺は悪いことだから、
自殺をすると地獄に行くんだよ。







人は死ぬと、天国か地獄に行くらしい。








では、




人ではないキヨは?









人間ではない自分が死んだら
どこへ行くのだろう



行く場所がなく、
永遠にさ迷い続けるのか、




それとも何かたどり着くべき場所があるのか、









分からない……







怖い………







キヨは震えるだけで
なかなか一歩を踏み出せない、





色々考えながら飛び降りるのを躊躇していると、


背後から物音が聞こえた。








…誰だ…?





こんな時間にこんな所に来るなんて普通じゃない、




変質者…?







誰だっていいや





いっそそのまま私を突き落としてくれないか、




むしゃくしゃした誰かがたまたま私の後ろに立っていて、
誰でもよかった、なんて言って私を突き落としてくれればいい。





自分で飛び降りる勇気がないキヨは
誰かに突き落としてもらうのを待つしかない。










徐々に近づいてくる足音、



何をされるか分からず、怖かったが、




キヨはそのまま動かず、目を閉じた。


















「…ここから飛び降りる気ですか?」









キヨの後ろにいた人は




キヨに向かって話しかけた。







声のする方を見ると、









そこには汗だくになって息を切らしている。











依人がいた。























しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある

柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった 王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。 リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。 「わかりました。あなたには、がっかりです」 微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】子爵令嬢の秘密

りまり
恋愛
私は記憶があるまま転生しました。 転生先は子爵令嬢です。 魔力もそこそこありますので記憶をもとに頑張りたいです。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?

水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。 日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。 そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。 一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。 ◇小説家になろう、ベリーズカフェにも掲載中です! ◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています

処理中です...