地球人のふり

はに

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第9章 様々な困難

44話

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疲れ果てたキヨに追い討ちをかけるような出来事が起こった。









地球で新種のウイルスが発見され、
感染が拡大し始めたのだ、







ウイルスが直接キヨに影響しているわけではない、

人間ではないキヨが、
そのウイルスに感染するのかどうかも分からない、






では何故キヨは


新種のウイルスによって苦しめられる事になったのか、




それは人間の行動にあった、



人間は皆、感染を防ぐためマスクをしている、






つまり口を隠しているのだ、







キヨは、人間の言葉を上手く聞き取ることが出来ず、

口の動きの一部から、
単語を予想したりしていた、





それができなくなるのだ、


それだけでなく、
マスクで声がこもり、更に言葉は聞き取りにくくなった。










「駒井さん!その残業の@%$#は、$@#〒§の∀⇔△☆を※々〆£%……」







え?


なんだって?






全く分からない、



何を言っているのか分からない、





マスクで隠れ、


元々分かりにくかった表情も読み取りにくくなった、







分からない






分からないよ






なに言った?





私に言った?






怒ってる?







笑ってる?










仕事以外にも影響があった、







スーパーで買い物をしていても、
店員さんの言葉が分からない、



今この人は何言った?





袋はどうするか、と聞いたのか?

ポイントカードの事を聞いたのか?

全く分からない。







キヨの日常が
どんどん破壊されていく、



人間との意思の疎通ができない、




でも、どうにかして聞き取らなければ仕事ができない、






キヨは必死に耳を澄ませた。






キヨの「聞こえない」は2種類あった、







1つは、サンコ星人の特徴の1つ、
聴力の良さが影響して、
周りの小さなノイズにかき消され、周りの声が聞こえなくなる。




もう1つは、難しい単語を使わないサンコ星人故に、脳の思考回路が追い付かないのか、
声を聞き取れても、言葉が聞き取れない。





この2つの"聞こえない"は
口を読むことでどうにかなっていた、




しかしマスクをしている以上
それはできない。







なんとかしなければ、






キヨは思った、





どうにかして
人間の声を聞き取らなければ

声を大きくしてもらうしかないのか、


いやそんなの頼めない、





キヨは来る日も来る日も考えた、







そしてキヨは、とあるアイテムにたどり着いた。







耳に装着する、集音器、


その名の通り
音を集め、大きくしてくれる。






高額な補聴器とは違い、
ノイズも全て大きくしてしまうが、

間違いなく人間の声は大きくなっている。





キヨは集音器を付け、初めて出勤した時、感動を覚えた。






聞こえる!


聞こえる!





皆こんな話してたんだ!







これで、周りの音にかき消され、
声を聞き取れないのは解決した、






しかし、言葉が聞き取れないのはどうしようも無かった、

集音器に集められた音が、きちんと耳に入ってきても、

その音を言葉として認識するのがキヨには難しい、



どれだけボリュームを上げても

言葉を聞き取るのだけは解決しない。






ああ……

マスクが無ければな……






キヨは会社で先輩と話している時
何度もそう思った。






しかし嘆いてはいられない、


他に方法が無いのだから
このまま頑張るしかないのだ、



バレないように集音器を装着し、

少しでも音を沢山拾うんだ、




そして後は勘で行こう、





話の流れを掴むんだ、






周りの人々が協力し合いながらウイルスと戦ってる中、





キヨは孤独にマスクや言葉と戦い続けた。











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