地球人のふり

はに

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第11章 次の使命

55話

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「清は…子供が欲しいから子供を産むんじゃないんだね……」

「違う……!欲しいよ!」

「でもさっきから清は、作らないといけない、とか何かのために必死に妊娠しようとしてる、何が目的かは聞かないでおくけど…、
俺とは多分…子供が欲しい理由が違うんだね」





そう言って陸は悲しそうな顔で笑った、


そしてそのまま部屋を出ていった、




キヨは1人部屋に取り残された、





どうしよう…………


終わった…………







余計な事言わずに純粋に子供が欲しいんだ、と言い続けていればよかった。





私がサンコ星に戻るために
子供を産みたい、


こんな感情隠し通せばよかった。









キヨは心底後悔した。







夜になっても陸は帰ってこない、



連絡しても返事が来ない。






もう陸とは完全に終わったと察した。







もう子供は無理だろう…
結婚生活を続けるのも……、






キヨは1人で、
今後について考えた、






どうしよう、

どうやって子供を産もう、



陸と別れてまた新しい人ができるのか?


私ももう後数年で30、

出会いは少ないのではないか、




仮に出会って結婚できたとしても、
すぐ妊娠できるとは限らない、

歳を重ねるごとにむずかしくなっていく、




やっぱりなんとかして、
陸に謝って
このまま人口受精に協力してもらうしかない…
そうしないと私は子供が産めない…

早く子供を産んで、
早く星に帰らないといけないのに…。













「………あれ……」







ここでキヨは、ふと気づいた。












「…私がサンコ星に戻った後…子供と陸はどうなるんだろう……」










キヨがサンコ星に戻る、
これがどういう感じかは分からない、

ふっといきなり消えるのかもしれない、
存在自体がなくなり
皆の記憶からも消えるかもしれない、
キヨが消えると同時に、キヨから産まれた子供も消えるかもしれない、
世間から見たら、死んだという状態になるのかもしれない、





なんにせよ、キヨがサンコ星に戻ると言うことは、


皆の前からキヨが消えるということだ、





もし、子供を無事に産めて、
サンコ星に戻れるとしたら、





自分の勝手な都合で、
完全な親のエゴで

無理やり産み出した子供から

母親を奪うことになる、


陸からは妻を奪うことになる。


子供の事も全て陸に押し付けることになる、





一人で騒いで
陸を利用して
勝手に必死になって
勝手に産んで
産んだからもうおしまい、さようなら。








これってなんかヤバくないか?






キヨは一気に青ざめた、






私は今

なんて自分勝手な都合でこの世に命をうみだそうとしてるのだろう、



何度も死のうとしたり、
軽い気持ちで子供を産もうとしたり、



キヨは命を軽く見すぎな気がした。







ヤバい





私はヤバい







これはダメだ、





サンコ星うんぬん関係なく子供を産めるようになるまで産んじゃだめだ……




いや、違う
そもそも子供を産んじゃだめだ……



子供を産む以外でサンコ星に帰る方法を考えるんだ、
誰にも迷惑をかけない方法。





何故私は

自分にとっての一番の幸福、
あなたが心の底から幸せや愛情を感じた時、


それが結婚して子供を産むことだと決めつけたのだろう、





結婚して子供を産むことが普通の幸せだという地球の価値観にすっかり染められていた、



その選択肢以外にもあるだろう、



幸せはそれだけじゃないだろう。







キヨは完全に目が覚めた。
























その日の夜、




陸が離婚届を持って帰ってきた。








清の考えが変わらないなら
一緒にいられない
子供を作れない






そう言われた。








キヨは、子供はもう諦め、
陸と2人で本当の幸せを探そうと一瞬考えたが、






自分が陸を利用した、
自分がサンコ星に帰るために
陸の人生をめちゃくちゃにすることもなんとも思っていなかった。





その罪悪感が消えなかった、




もう陸とは一緒にいられない、








キヨは素直に離婚届にサインをした。





























離婚してから数週間、




キヨは陸の家から出た、


最小限の荷物だけ持ち、
後は捨て、




向かったのはヨルの所だった、

まさか実家には戻れない



離婚したと言った時両親は言葉を失っていた、

直接会ったら何を言われるか。











「ごめん…ヨル……私ダメだった…」


「………お嬢様……」






キヨが結婚すると聞いて
心底安心した表情で喜んでいたヨルも
ショックを受けていた。







「すぐ、出ていくから
住むとこ見つけたら、すぐ、出ていくから」


「そんな急がなくてもいいです、
とにかく、落ち着いてください」




何度も心を病んでいたキヨを知っているヨルは、

キヨがまたよからぬ事を考えてるのではないかと心配しているようだった。








キヨは自分が病んでるのか分からなかったか




死にたくないけど生きたくもないかな、
という感じ






自分が何をしているのか分からなくなり、
空っぽに戻った感じ。







「とにかく住むとこ探さなきゃ……」









私はもう、1人で生きていこう、


1人で使命を全うして



誰にも迷惑かけずにサンコ星に戻るんだ。










キヨは、今住んでる町から遠く離れた場所へ引っ越すことを決めた。









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