二兎に追われる者、一兎に絞るのは難しい。

イカタコ

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ツンデレクラスメイトを部屋にお迎え

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 俺が玄関の鍵を開けると、彼女は部屋に入るなり俺のベッドに飛び込んだ。
 まったく...そんなことしたらパンツが見えちゃうぞ…見えてるけど。
 派手な見た目の女子が白いパンツって、ギャップが良いですね。
 「そういえば、着替え持ってんの?」
 彼女のチラ見えしたパンツを見て、ふと思った。
 「下着なら、コンビニで買った」
 「あ、そう。夕飯は食べたの?」
 「うん」
 俺はもう既に飯も風呂も済ませてあるので、手間が省けてよかった。
 「てか、風呂入らないの?」
 「入るに決まってんじゃん。けど、アンタのシャンプー使ったら髪が痛みそう…」
 まったく、わがままなやつだなー。
 俺が使ってるのは、女子が愛用してそうなシャンプーではないなあ。
 「きれいになるだけマシだと思って」
 「仕方ないなー」
 彼女はゆっくりと起き上がり、風呂場へと向かった。

 しばらくして、シャワーを浴びる音が聞こえ始めた。
 冷静になって思ったけど、女子が俺の家のシャワーを浴びているのか...。
 このあとお決まりの展開に持って行っても良いのかもしれない…。
 お決まりの展開って、なんだろうな。
 「あいつ、ちゃんとタオルの場所わかるかな…」
 決してシャワーシーンを覗くために行くわけではない! 善意でタオルを用意してあげるために行くのだ!
 気になった俺は、洗面所に向かった。

 洗面所に潜入すると、風呂場の扉に女子の姿がモザイクのように映っていた。
 おぉー! この光景、最高だな!
 そして床に目をやると、そこには下着があった。薄いピンクのブラとパンツが。
 さきほど見えたパンツとは違う色だ。
 おそらくこれから履くものだろう。
 となると、さっき履いてたやつはどこに? まあいいや。
 下着に関する謎の考察をしていると突然シャワーの音が止まり、扉が開いた。
 俺は突然のことにびっくりしてしまい、その場で硬直してしまった。
 そして、風呂から出てきた女子と目が合った。
 「な、なんでいるのよ!」
 女子は俺と目が合うなり、大声を上げて胸を隠した。
 「タ、タオルを用意しておいてあげようと思って来ただけだから!」
 「だったらはやく出てってよ!」
 「ごめんなさい!」
 俺は事が起きてしまって手遅れな状況ながらも、急いでその場から離れた。
 ついでに言うと「見られるのがイヤなら扉閉めればよかったのに!」などと、開き直りに似たことを思うなどした。

 それにしても、今見の裸少しだけ見えちゃったよ…。控えめながらも、きれいな山脈だったなあ。
 髪も体も濡れててエロかったし…。
 部屋に戻ってから、俺は消えてしまわないように先ほどの光景を思い返していた。
 「ねえ、ちょっと~」
 しばらくすると、風呂場のほうから声がした。
 「なんだー?」
 「今日着てた服で寝たくないから、アンタの服、貸してくんない?」
 「べつにいいけどー」
 今見が俺の服を着るのか。"彼シャツ"的なやつかな? これは萌える...!
 「洗面所の入り口のところに置いといてー。見たら〇すからー」
 下着姿もしくは裸を見たいけど、なにされるか分からないからこわいな...。
 「はいはい、わかってますよー」
 とはいっても、さっきしっかりと目に焼きつけて脳にインプットしたのでヨシとする。

 「どうせ、さっき見たでしょ」
 入り口に服を置こうとしたそのとき、洗面所入口の向こう側から、ボソッと聞こえてきた。
 目が合ったから、そりゃ気づくよね...。
 「み、見てねえよ。すぐに目そらしたんだから…」
 念のため、ウソをついておく。
 「信用できない」
 まあ、そりゃそうだろうな...目が合ったんだから...。
 信用されてない俺は、すぐに部屋へと戻ることにした。

 「ねー、ドライヤーないのー?」
 またも風呂場から俺を呼ぶ声がした。
 俺は普段、頭を乾かすのはタオルで済ませているので、そんな便利なものは持っていない。
 「悪いけど、持ってないんだ。タオルで我慢してくれ」
 「もぉー、仕方ないわねー」
 がっかりした声が聞こえてきた。
 当たり前のように思ってたけど、今見が俺のタオルを使ってるのか…。
 わざわざ具体的に言うと、彼女は俺のタオルで体や髪を拭くのか。
 気持ち悪いと思われるかもしれないが、こんな状況に居合わせたら大喜びするに決まってる。
 なぜなら、俺んちに泊まりに来た女子は、可愛いのだから。

 「ねえ、のど渇いたんだけど」
 しばらくして、風呂上がりの少女が部屋に入ってきた。
 頭にタオルを巻いてほっそりした体に俺のダボダボした服を着た姿は、新鮮味があってめちゃくちゃ可愛かった。
 もちろん、下はちゃんと俺が貸した体操着のスボンを履いている。
 「冷蔵庫にお茶とコーラが入ってるから、好きなの飲んでいいよ」
 「コップはどうすればいいの?」
 コップは俺の分しかない。
 どうすればいいんだ...。
 「コップは俺の分しかないよ」
 「…仕方ないから使わせてもらうね」
 え、気にしないタイプの人なのかな?
 彼女はコーラをコップに並々注ぐと一気に飲んだ。
 お~! 俺のコップが!
 なんかもう、今日は変態なことしか浮かばないわ。ホントよくない。
 「ねえ、アタシどこで寝ればいいの?」
 「あー、ベッドで寝なよ」
 「石口はどうするの?」
 「俺はソファで寝ることにするよ」
 「ふーん」
 なにか言いたそうにしながら、今見はベッドの上に乗った。
 彼女はたまにさっきのような反応をするが、なにを考えているのか分からない。
 男として、寝床に関する回答は今ので間違ってないと思うんだけどな...。
 「アタシ、疲れたからもう寝るね」
 「ああ、わかったよ」
 「...今日は泊めてくれてありがと…おやすみ」
 彼女は小さな声でそう呟くと、布団をかぶった。
 「お、おう。おやすみ…」
 い、今見が、俺にお礼だと...?
 普段の彼女なら口にしないであろうセリフに驚きつつ、俺は電気を消してソファで寝ることにした。
 とはいっても、ソファは寝心地が悪く、いつも使っている枕は今見が使っているため、眠りたくても眠れなかった。
 枕が変わると眠れないタイプです。
 こうして、風呂場でラッキースケベな展開がありながらも、寝る頃になるとただ就寝するだけの寂しいお泊まり会となりましたとさ...つづく。
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