【完結/改稿済】転生して妖狐の『嫁』になった話

那菜カナナ

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第1章:ド助平チートと美形妖狐

07.秘匿のモフリスト

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「私の名は六花りっかだ」

「リカさん」

「えっ?」

 妖狐さんの目が点になる。なっ、何で?

「あぁ! 六花さんですね! すみませ――」

「いいや! リカでいい! リカで頼むよ!」

「さっ、流石に呼び捨ては……」

「じゃあ、リカさんで!」

「ああ……はい……」

「~♪ リカさん、リカさん♪」

 めっちゃ喜んでる。鼻歌まで歌っちゃってるし。訳分かんないけど……まぁ、いいか。

「ん?」

 リカさんの後ろで何かが揺れてる。あれは髪の毛か? いや、髪にしては塊感が強いような……!? 尻尾だ。銀色のふっくらとした尻尾が右に左に揺れている……!!!

「ふほぉ~~っ♡♡」

 もふもふって、こんなにも心くすぐるものだったのか!? しっ、知らなかった。思えば俺の前世じんせいはもふもふとは無縁だった。実家はペットNGなマンション。親戚も、友達も飼ってなかったし。ああ゛っ!!! 今更後悔したって仕方がない。今世だ。今世で思いっきり楽しもう。まずは手始めに……。

「…………」

 リカさんの尻尾に目を向ける。じっとりと舐め回すように見つめて……っ!!? いやいやいやっ!!! ダメだ! ダメだ!! ダメだ!!! 冷静になれ。そんなんセクハラと同義だろ。失礼にも程が……。

「…………」

 目が離せない。どうしても目で追ってしまう。リカさんのふわふわもふもふな尻尾を。果たして俺は、自分のこの果てしない欲望に抗うことが出来るのだろうか?

「次は君の番だね」

「っ!」

「君の名前は?」

 背中がぴんっと伸びる。切り替えてけ、俺。

仲里なかざと 優太ゆうたです!」

「仲里は家名かな?」

「はい!」

「じゃあ、優太で。改めてよろしくね」

「はい! こちらこそ!」

 顔がゆるゆるになってく。我ながら浮かれまくってんな。

「さて、それじゃ行こうか」

「っ!」

 いよいよか。里の妖さん達は俺を受け入れてくれるかな?

「……あ」

 待てよ。他の妖さん達も……その……吸うのかな? 俺のおっぱいは『みんなのおっぱい』になる?

『次はワシじゃ~』

『おう、ガキぃ! 足んねぞ! もっと出せや!!』

『やっ! もう……無理……っ』

 次から次へと妖さん達が押し寄せてくる。吸われまくった乳首は真っ赤に。その周囲には無数のキスマークが付いていて。

「うう゛……っ」

 うっ、受け入れろ! それが俺の役目。俺の仕事なんだから!!!

「優太、私の手を取って」

「はっ……はい……」

「?」

 言われるままリカさんの手を取った。白くて綺麗だけど、俺のよりも一回り以上大きい。っ!? よく見たら手だけじゃない。身長もだ。俺が172だから……下手したら2メートルあるかも。おまけにマッチョときたもんだ。お胸も広いし、前腕もガッチリしてる。もやしな俺とは大違いだ。羨ましさが過ぎて泣けてくる。

「開界」

 リカさんが呪文(?)を口にした直後、白い光が広がり出した。

「っ!」

 フラッシュバックする。死んだ時の記憶が。見上げるほど大きなトラックが俺の目の前に迫ってきて。

「大丈夫。何も恐れることはないよ」

「リカ……さん……?」

 微笑みかけてくれる。包み込むようにそっと優しく。

「あっ……」

 涙が出てきた。ほっとしたんだろう。ああ……俺、やっていけるかも。これから先も。リカさんと一緒なら。

「ようこそ。歓迎するよ」

 森が消えて、新しい景色が広がっていく。俺の新しい人生が今、始まる。


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