【完結/改稿済】転生して妖狐の『嫁』になった話

那菜カナナ

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第2章:馴れ初め

21.問題発生

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! オメェ本当に筋がいいなぁ! その調子で頼むぜ!」

「はっ、はい! 任せてください」

 翌日。俺は予定通り屈強河童かっぱさん達の手伝いをしていた。担当しているのは脱穀作業。『千歯扱せんばこき』を使ってひたすらもみ(お米の原形)を取りまくっている。

 処女を喪失したにもかかわらず、体は不思議とノーダメージ。むしろ軽いぐらいだ。これもまた俺の能力の影響なのか? それともリカさんが何かしてくれたのかな?

優太ゆうた

「っ!!?」

 リカさんだ。俺の後ろに立ってる。触れてもいないし、それなりに離れてもいる。なのにリカさんの体温やにおいをダイレクトに感じてしまう。思い出してるんだ。昨日の晩のことを。鮮明に、ねっとりと。

『リカさん……っ、あ……♡』

『愛してるよ、優太』

 ~~っ!!!! ダメだ。全身が、脳が沸騰する!!!!

「大活躍しているみたいだね――」

「すみません! これ! 今日中に片付けちゃいたいんで!!!」

「えっ? あ、うん。ごめんね」

 声、沈んでた。明らかに沈んでた。ごめんなさい。ほんっっっとごめんなさい。だけど、ダメなんです。平静でいられない。授乳の時とは訳が違う。あの時は『仲間』だった。色々言い訳も出来た。でも、今は『恋人』。

「はっはっは! 何だオメェ、その生娘みてぇな反応は!」

「無理もねえさ。これほどの美丈夫にお目にかかる機会なんざ、早々ねえだろうからな」

「ははっ……」

 。リカさんの方から話すって言ってたから、俺はそれを待っている状態だ。

『里のみんなは基本反対しないと思う。ただ、大五郎だいごろうはどうかな』

『あ~、第一印象サイアクでしたもんね』

『いや……ちょっと。まぁ、話してみるよ。後のことは私に任せて』

 リカさんはそう言ってた。色々って何だろう? そもそもリカさんと大五郎さんってどういう関係なんだ? 『旧知の仲』って感じだけど対等ではなさそう。主従関係? 家臣とか、執事とか? ……ありえる。リカさんってあの通り気さくで親しみやすいけど、謎の気品があるんだよな。

「旦那ァ! 今日もいい汚れっぷりだねぇ!!」

「じゃかしぃわボケが!」

 畑エリアの方から大五郎さんがやって来た。河童さんの言うように、大五郎さんの体は土塗れになっている。聞いた話によると、あの大きくて立派な車輪の体を使って畑を耕したり、うね作りをしてくれているのだとか。感謝してもしきれない。

「あ゛?」

 ヤバ!? 思いっきり目が合った。ギョロリとした大きな目で睨みつけてくる。凄まじいまでの嫌われよう。俺、ちゃんと認めてもらえるのかな?

「大五郎」

 気付けばリカさんは大五郎さんの隣へ。ケラケラとおかしそうに笑いながら、黒い車輪の体に触れる。

「湯浴みに行くんだね。手伝うよ」

「滅相もございませ――う゛ぉおおおっ!?」

 大五郎さんの体がふわふわと浮き始めた。俺は思わず目を疑う。大五郎さんの体は直径4~5メートルはある鉄の車輪で、中央部分には巨大な人の顔がついてる。最低でも1トン……いや、2トンはするだろうに、それをあんなふうに軽々と。リカさんってやっぱスゲェんだな。戦ったりしたら相当強いんじゃないか?

「よーし、作業再開だ。みんな頑張っていこう!」

 のっぺらぼうの茂吉もきちさんの号令を受けて作業を再開させていく。色々と考えなくちゃいけないことを、そっと脇に置きながら。

「おつかれさまでした!」

「おう! また明日も頼むぜ」

 屈強河童さん達に見送られながら作業場を後にする。さて、こっからが問題だ。家に帰ったらリカさんと2人っきりになる。まずは昼間のことを謝って、そんでもって自然な感じで会話が出来たらいいんだけど……無理だろうな。きっと。

 っていうか、今日もするのかな? こんな状態で抱かれたりしたら、俺どうなっちゃうんだ? ますますおかしくなっちゃうんじゃ?

「おっ、お風呂ありがとうございました」

 半ばかき込むようにして夕飯を食べて、そのあと直ぐにお風呂に入った。リカさんは事務仕事? をしていたみたいだ。筆を置いてぐんっと大きく伸びをする。

「さて、それじゃあ私も入ってこようかな」

「ぜっ、ぜひ!」

「疲れたでしょ? 私に構わず寝ちゃっていいからね」

「っ! ありがとうございます!!」

 今日はシないってことか。よっ、良かった。俺がほっとしている間にリカさんは浴室へ。残った俺はのそのそと歩いて寝室に入る。

「ぎゃうっ!」

「っ!?」

 何だ今の!? なっ、鳴き声? 振り返るとそこには一匹の狐がいた。銀色の凄く綺麗な狐が。


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