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第2章:馴れ初め
24.プロポーズ
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「ん? あ゛っ!? えっ、エッチのお誘いじゃないですよ!! 俺が言いたいのはその……っ、俺の心音、聞いてみませんか? って話で!」
「どうして?」
「落ち着くって聞いたことがあるんです。お母さんのお腹の中にいた時のことを思い出すらしくて」
「母上の……」
「現に俺も寝ちゃってたでしょ? 初めて会った日に、リカさんのお胸の中で」
リカさんはパチクリと瞬きをした後で、ふっと笑い出した。色々と思い出したんだろうな。居た堪れないけど、ここは我慢だ。
「分かった。ぜひお願いするよ」
「やっ、やった!」
了承を得た俺は はいはい で移動して布団の上へ。2つの布団をくっつけて ごろんっ と横になった。
「どうぞ」
「うん」
返事をするなり紺色の羽織を脱ぎ始める。思い起こされるのは昨晩の記憶。甘くて激しい夜の記憶だ。
「~~っ」
しっかりしろ、俺! 今は癒しモード。エロスイッチは完全オフだ!!
「それじゃあ、お邪魔するね」
「っ!!! はっ、はい!!!」
白い着物姿のリカさんが俺の隣に。そのまま横になって、胸の中に入ってきた。リカさんの頬っぺた&耳が俺の胸に埋まる。
「……っ」
心拍数が跳ね上がっていく。ヤバい! 早く鎮めないと。ひとまず深呼吸をしてみる。けど、何も変わらない。むしろ悪化する一方で。
「ほんとだ。落ち着くね」
「う゛……本当に落ち着きます?」
「落ち着くよ」
「……心臓の音、うるさくないですか?」
「ふふっ、確かにちょっと速いかもね」
「ぐっ!!」
「でも、それはそれで嬉しいから」
頬を擦り付けてくる。甘えてくれてるんだ。素直にそう思えた。胸の奥がきゅ~~っとする。こういうの『愛おしい』って言うのかな? 守りたい。支えたい。これからもずっと。
「優太」
「何ですか?」
「結婚しよっか」
「…………………………………………はい?」
今、何って言った? 思わずリカさんの方に目をやるとバチリと目が合う。リカさんは微笑んでいた。だけど、金色の瞳は物凄く真剣で。
「……っ」
どうしよう。嬉しい。ヤバいよな。まだ出会って3日なのに、昨日から付き合い始めたばっかなのに……俺の答えはもう決まってて。
「私のお嫁さんになってくれますか?」
ダメ押し。そんでもってフライングだ。リカさんの顔にはもう『幸せ』って書いてある。俺の答えを確信してるんだ。ちょっと悔しいけど、でもそれ以上に嬉しくて。
「っ、はい。俺で良ければ」
「ありがとう」
キスをしてきた。ちゅっと優しく唇に。至近距離で見つめ合って、俺は堪らず目を伏せる。
「リカさんって、ほんと急ですよね」
当てつけ……というか、言い訳だ。ただ一言「はい」と返すことしか出来なかった。気の利いたことの1つも言えなかった。そんな自分の醜態を誤魔化すための。身勝手だけど、せめてこのぐらいは許してほしい。何たって今のは、一世一代のプロポーズだったんだから。
「ごめんね。私はどうにも浅慮で」
「えっ?」
大きな耳がぺたりと萎む。あれ? 実は割とコンプレックスだったり? わわっ……!! 途端に猛省。咳払い1つに切り替える。
「けど、ちゃんと責任を取ってくれるじゃないですか!」
「……いや」
「この里がその証明みたいなもんでしょ」
「……それは」
「だから、信じられる。唐突なプロポーズでもOK出来たんですよ」
「…………」
元気を取り戻すどころか、余計に沈んでいく。謙遜してるのかな。全然ダメ。至らないことばかりだって。
「自信を持ってください。リカさんは凄いですよ」
「……ありがとう」
リカさんの背中をそっと撫でる。リカさんはされるがままだ。求めてくれてるんだ。そう解釈した俺は、思いつくままにおでこにキスしたり、「大好きですよ」って囁いてみたり。リカさんのためって思ったら自然と動けた。これもまた愛の力か。
――転生して3日目、俺はリカさんと結婚することになった。文字通りのスピード婚。だけど、俺は本気だ。
これから先もリカさんを支えていく。帰る場所であり続ける。どんな苦難が待ち受けていたとしても、俺は絶対にリカさんの手を離したりしない。絶対に。何があっても。
「どうして?」
「落ち着くって聞いたことがあるんです。お母さんのお腹の中にいた時のことを思い出すらしくて」
「母上の……」
「現に俺も寝ちゃってたでしょ? 初めて会った日に、リカさんのお胸の中で」
リカさんはパチクリと瞬きをした後で、ふっと笑い出した。色々と思い出したんだろうな。居た堪れないけど、ここは我慢だ。
「分かった。ぜひお願いするよ」
「やっ、やった!」
了承を得た俺は はいはい で移動して布団の上へ。2つの布団をくっつけて ごろんっ と横になった。
「どうぞ」
「うん」
返事をするなり紺色の羽織を脱ぎ始める。思い起こされるのは昨晩の記憶。甘くて激しい夜の記憶だ。
「~~っ」
しっかりしろ、俺! 今は癒しモード。エロスイッチは完全オフだ!!
「それじゃあ、お邪魔するね」
「っ!!! はっ、はい!!!」
白い着物姿のリカさんが俺の隣に。そのまま横になって、胸の中に入ってきた。リカさんの頬っぺた&耳が俺の胸に埋まる。
「……っ」
心拍数が跳ね上がっていく。ヤバい! 早く鎮めないと。ひとまず深呼吸をしてみる。けど、何も変わらない。むしろ悪化する一方で。
「ほんとだ。落ち着くね」
「う゛……本当に落ち着きます?」
「落ち着くよ」
「……心臓の音、うるさくないですか?」
「ふふっ、確かにちょっと速いかもね」
「ぐっ!!」
「でも、それはそれで嬉しいから」
頬を擦り付けてくる。甘えてくれてるんだ。素直にそう思えた。胸の奥がきゅ~~っとする。こういうの『愛おしい』って言うのかな? 守りたい。支えたい。これからもずっと。
「優太」
「何ですか?」
「結婚しよっか」
「…………………………………………はい?」
今、何って言った? 思わずリカさんの方に目をやるとバチリと目が合う。リカさんは微笑んでいた。だけど、金色の瞳は物凄く真剣で。
「……っ」
どうしよう。嬉しい。ヤバいよな。まだ出会って3日なのに、昨日から付き合い始めたばっかなのに……俺の答えはもう決まってて。
「私のお嫁さんになってくれますか?」
ダメ押し。そんでもってフライングだ。リカさんの顔にはもう『幸せ』って書いてある。俺の答えを確信してるんだ。ちょっと悔しいけど、でもそれ以上に嬉しくて。
「っ、はい。俺で良ければ」
「ありがとう」
キスをしてきた。ちゅっと優しく唇に。至近距離で見つめ合って、俺は堪らず目を伏せる。
「リカさんって、ほんと急ですよね」
当てつけ……というか、言い訳だ。ただ一言「はい」と返すことしか出来なかった。気の利いたことの1つも言えなかった。そんな自分の醜態を誤魔化すための。身勝手だけど、せめてこのぐらいは許してほしい。何たって今のは、一世一代のプロポーズだったんだから。
「ごめんね。私はどうにも浅慮で」
「えっ?」
大きな耳がぺたりと萎む。あれ? 実は割とコンプレックスだったり? わわっ……!! 途端に猛省。咳払い1つに切り替える。
「けど、ちゃんと責任を取ってくれるじゃないですか!」
「……いや」
「この里がその証明みたいなもんでしょ」
「……それは」
「だから、信じられる。唐突なプロポーズでもOK出来たんですよ」
「…………」
元気を取り戻すどころか、余計に沈んでいく。謙遜してるのかな。全然ダメ。至らないことばかりだって。
「自信を持ってください。リカさんは凄いですよ」
「……ありがとう」
リカさんの背中をそっと撫でる。リカさんはされるがままだ。求めてくれてるんだ。そう解釈した俺は、思いつくままにおでこにキスしたり、「大好きですよ」って囁いてみたり。リカさんのためって思ったら自然と動けた。これもまた愛の力か。
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これから先もリカさんを支えていく。帰る場所であり続ける。どんな苦難が待ち受けていたとしても、俺は絶対にリカさんの手を離したりしない。絶対に。何があっても。
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