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2巻
2-1
しおりを挟む第一章 念願のダンジョンに挑戦!
俺――遠藤和也は、漫画やアニメが大好きな極々普通の高校生だった。
だがある時、車に轢かれてあっさりと逝ってしまった……かと思えば、剣と魔法のファンタジーな世界に、侯爵家の長男として転生していたんだ。
シンという新しい名を得た俺は、五歳になった時に神様から祝福という特殊な能力を授かったんだけど……それがまさかの最低級位、F級の《テイム》だった。
最弱の魔物、スライムを従える程度のことしかできず、さらに魔力容量と魔力回路強度という魔法の根源となる才能も人並みだった俺は虐げられ、侯爵家から追放されてしまった。
ただ、俺の《テイム》はスライムしか仲間にできないけど、大量に従えることができたり、遠隔で指示を出せたり、視覚の共有ができたり、他にも色々とできることがあって、結構使えるんだ。
そして、祝福を鍛え、魔法を鍛え、剣術を鍛え――色々頑張った結果、案外強くなれたんだよね。
その力で俺は冒険者となり、自由に生きることを決めた。
冒険者を助けたり、陰ながら街を救ったり――そして俺を追放した侯爵、ガリアの不正を暴いて元家族のフィーレル一家を没落させたりと、まあ短い間で色々なことをしたよ。
そして今の俺はというと、街をのんびりと歩いている――
「はー、平和だなぁ……」
フィーレル一家が王都から派遣された騎士によって連行されてから、今日で一週間が経過した。
あれによって何か変わったなんてことはなく、俺はいつも通り冒険者活動に勤しんでいる。
うん。実に平和だ。
そんなことを思いながら歩いていたら、冒険者ギルドに到着した。
今日来た理由は依頼を受けるため――ではなく、冒険者ランクをDランクに上げてもらうため。
これは一週間前、ギルドマスターのジニアスさんに約束してもらったんだよね。
いやー、楽しみだ。
何せ、Dランク冒険者になったらダンジョンに入れるようになるんだよ。
ここ一週間、ダンジョン攻略に向けて、頑張ってポーションを集めたなぁ……
「ん~、変わらないね」
扉を開け、中に入った俺は、雑多な光景を前に、思わずそう口にした。
入った直後は、冒険者たちから視線を浴びたが、すぐに興味を失ったようにその視線は逸らされる。
一週間前、まだ最低のFランク冒険者であった俺は、ジニアスさんに直々に呼び出され、Fランクから一つ上のEランクに上げてもらった。一気にランクが上がると不自然ということで、EランクからDランクには、少しだけ期間を空けて上げることになった。
当時Fランク冒険者だった俺が、ギルドマスターであるジニアスさんに呼び出されたことは、そこそこ話題になってしまった。
でも大人しくしていれば、すぐに新しい話題によって俺への興味は消えていく。
ありがたいことだ。
その後、受付の列に並び、待つこと数分。
自分の番になった俺は、笑顔を見せる受付の女性に用件を伝える。
「ランクアップの件で来たんだけど……」
俺は銅色の冒険者カードを取り出すと、女性に手渡した。
それを女性はニコリと笑って受け取り、どこからともなく取り出した書類の確認を始める。
「……はい。問題ないですね。ギルドマスターから話も伺っていますし、これよりシンさんはDランクに昇格です。では、冒険者カードの更新をしますので、少々お待ちください」
そう言って、女性は俺の冒険者カードを持って、受付の奥へと行ってしまった。
「……や~、Dランクかぁ……」
女性に「Dランクに昇格です」と告げられたことで、ようやく昇格を実感できた俺は、拳を握りしめながら、喜びに打ち震える。
最初は、目立ちたくないからってランクアップの速度は程々にしようと思っていたんだけどなぁ……
でもまあ、短期間で昇格した前例も多いから、これくらいなら大丈夫だろう。
また何かして、Cランクに上がるとかだと流石にマズそうだから……それはなんとしても阻止するとしよう。
Cランクになるのは、最低でもあと二年は先にしよう。なんせ、俺はまだ九歳なんだから。
そうして考え事をしながら、待つこと三分。
女性が受付に戻ってきた。
「お待たせしました。こちらが新しい冒険者カードになります」
そう言って女性が差し出したのは銅色――ではなく、銀色のカード。
そこには俺の冒険者ランクであるDと、名前のシンの文字が刻まれていた。
ああ、そういやDランクになると、カードの色が銀色になるんだったな。
ちなみに、Aランクになると金色、Sランクになると黒色になる。
「ありがとう」
礼を言って、新しくなった冒険者カードを受け取った俺は、それをすぐにポケットの中にしまう。
「あと、ギルドマスターからこちらを……」
訝しげな表情をしながらそう言って、そっと女性が差し出したのは、一通の手紙だった。
なかなか上質な紙の封筒で、お偉いさんが書いたということが一目見て分かる。
「これは……?」
手紙を受け取った俺は、眉を顰めながら思わずそう問いかける。
だが、女性もよく分かっていないようで、「ちゃんと読んでおけとだけ聞いております……」と答えるだけだった。
内容の予想はつかないが、あとで確認しておけばいいだろう。
「分かったよ。それじゃあ」
用件を済ませた俺は、そう言ってすぐにその場を離れた。
そして、そのまま冒険者ギルドの外に出る。
「……さてと。次は、鍛冶師のガヌスさんのところへ装備を取りに行かないと」
装備の制作を依頼してから三週間が経過したため、そろそろ完成していることだろう。
金も十分な額を用意しているので、早速受け取りに行くか。
と、その前に……
「ちょっと手紙の内容気になるし、先に見ておくか」
もし急ぎの用事だった場合は、今後の予定を変えなくてはならない可能性だって出てくるわけだし。そう思いながら、人のいない路地裏に移動した俺は、壁に寄りかかるとそっと封を剥がした。
そして、中から一枚の手紙を取り出すと、内容に目を通す。
「ほうほうほう……は~、そーゆーことね」
手紙を一通り読んだ俺は、深く息を吐いた。
何を隠そう、この手紙の送り主は――ここグラシア王国の王太子、レイン殿下なのだ。
「いや~、なるほど。確かに、手紙が来てもおかしくはないよなぁ……」
俺がガリアの不正を暴いた時にレイン殿下はいずれコンタクトを取るって言ってたし、考えてみれば普通に予想が付くことだったな。
それで、肝心の内容は――
「二十日後に迎えを送るから、分かりやすい場所にいてほしい……か」
要約すると、そんな感じだ。
そして、そのあと俺は転移で王都へ送られ、色々と話す……って流れらしい。
王太子が街のそこら辺にいたら、騒ぎになるからね。
王侯貴族としてはよくあるやつだ。
「二十日後なら、ダンジョン探索をする予定を変更しなくてもよさそうだな」
ダンジョン探索は俺とスライムたちだけで行う都合上、物資的な問題で一度にそう長くは潜れない。予定では、四泊五日の探索を何度か行い、慣れてきたらもう少し伸ばす……といった感じだ。
その合間に、レイン殿下と会う予定が入っただけのこと。
「さてと。見るもの見たし、ガヌスさんのところへ行かないと」
手紙を再び封筒の中に戻し、リュックサックの中に入れた俺は、今度こそガヌスさんのところへ向かって歩き出すのであった。
◇ ◇ ◇
王城の自室で、私――レインは紅茶と菓子を嗜んでいた。
室内は静寂に包まれており――とても落ち着く。
祝福によって、人並み外れた感知能力を持つ私は、その弊害として、人の多い騒がしい場所が苦手だ。だが、王太子故にそういった我儘は言えない。
だからせめて今だけは、この短い静寂を思う存分楽しむとしよう。
「……レイン殿下。シュレインのギルドマスター、ジニアス殿へ無事手紙が届きました」
どうやらあの子――シンに宛てた手紙がジニアス殿に届いたようだ。
私は引き続き紅茶を嗜みながら、側に控える男――ファルスに視線を向ける。
「ファルス、ありがとう。君も席に座ってお茶でも飲んでくれ。それと、その堅苦しい口調もやめてくれ」
そして、限られた人にしか見せない親しい態度で、私は席を勧めた。
その誘いに、彼は「そうだな」と息を吐くと、丸テーブルを挟んで私と向かい合うように腰を下ろす。
そんな彼の肩には、従魔である鳥型の魔物――ファントムバードのミルスがいた。
「はい、どうぞ」
私は紅茶を注ぐと、彼に差し出す。
「やれやれ。毎度のことながら、王太子様に紅茶を淹れてもらうとは、俺は贅沢者だな」
ファルスは肩を竦めながら冗談っぽく言って、早速紅茶に口をつける。
「ははは、やめてくれよ」
そんな彼の言葉に、私は苦笑いを返した。
ファルス――ファルス・フォン・ジークニス伯爵子息とは、学園に入る前から付き合いがあり、彼は今、私の護衛を務めている。
そんな彼の祝福はA級の《テイム》。
今思えば、身近にファルスのような凄腕のテイマーがいたからこそ、逆にシンの祝福が《テイム》だと、シンが実際に使役するスライムを見るまで気がつかなかったのだろう。
「さて、とりあえず話を聞きたいわけだが……まとめるとどんな感じだった?」
「そうだな。ジニアス殿によると、あの化け物じみた潜入諜報能力だけではなく、戦闘能力も相当高いらしい。詳しくは本人に聞けと言われたがな」
「なるほど、ね。やはり戦闘能力も高いか」
元Sランク冒険者であるジニアス殿が強いというのだから、生半可な実力者……というわけでもないだろう。
すると、ファルスが口を開いた。
「それで、レイン殿下はシンをどうするつもりなんだ? 配下にするのか?」
ファルスのもっともな問いに、私は首を横に振った。
「いや、私との関係性をどうするかは、彼に一任するつもりだ。勿論、こちらから希望は出すけどね」
「へ~、そこまで相手に譲るのか。知られたら多方面から文句言われるぞ」
「だからこそ、ファルスにしか話していないんだよ。あの子は、自由に生きることを好む、生粋の冒険者気質のように思えたからね。権力で何かを強制しようものなら……最悪国の機密情報全部引っこ抜かれて、他国にバラ撒かれるよ?」
ガリアをあそこまで追い詰めたあの子なら、それぐらいなんの躊躇いもなくするだろう。
だが、それを好んでやるような質でないことも、分かる。
「……会う日が、楽しみだ」
私は口角を小さく上げると、そう呟くのであった。
◇ ◇ ◇
手紙を読み終えてから歩くこと十数分。
狭い路地裏を歩いた先に見えてきたのは、ガヌスさんが営む武器防具店だ。
武器防具店よりは、工房と言った方が正しいんじゃないかなぁ……と思う店内に足を踏み入れた俺は、少し歩いたところでガヌスさんの名前を呼ぶ。
すると、奥から「待っておれ!」と野太い声が聞こえてきた。
数分待つと、奥から無精髭を生やした筋肉質なおじさん――ガヌスさんが出てきた。
「三週間経ったから、様子を見にきたんだけど……どんな感じかな?」
「おう! バッチリだ。早速来てくれ」
俺の問いに、ガヌスさんは上機嫌に答えると、奥の工房へついてくるよう促す。
そんなガヌスさんのあとに続いて、俺は店の奥へと向かった。
「おお……」
やがて見えてきたのは、鍛冶場だった。
熱い炉、硬質な鍛冶台。そこら中にある素材と装備。
これぞ鍛冶場って感じがするよ。
そうして俺がいかにもな光景を前に目を輝かせていると、いくつか装備を持ったガヌスさんがこちらに歩み寄ってきた。
「ほれ。これが今回頼まれた品だ。早速装備して、確認してほしい」
ガヌスさんはそう言って、台の上に装備を置く。
脛当て、籠手、普段使い用の剣の三つだ。
俺は早速手に取ると、それらを全て身に着けた。
「おお……いいね」
体を動かしながら、俺は新しい装備の付け心地を実感する。
注文通り、脛当てと籠手は軽めで、九歳児の俺でも動きやすい。
腰に付けた剣の長さもちょうどよく、鞘が動きの邪魔になるなんてこともない。
流石はこの街――シュレイン屈指の鍛冶師。いい仕事をする。
「ふむ。その様子なら、サイズは問題なさそうだな。あとは剣だ。ほれ、これを斬ってみろ」
そう言って、ガヌスさんが台の上に置いたのは、騎士が装着するような、フルフェイスの兜だった。
「分かった」
内心、斬れるかなぁ……と不安に思ったが、それを指摘するのは剣の性能を疑うことに他ならない。それは、鍛冶師に対する侮辱行為だ。
よし。やるからには本気でやろう。
そう心に決めた俺は、鞘から剣を引き抜いた。
すると、黒光りする刀身が露わとなる。
これは……魔鋼だな。
魔鋼は、《鍛冶》の祝福で魔力を込めながら、鋼を鍛えることによって作られる素材だ。
俺は剣を振り上げる。
そして、刀身に魔力を流すと、勢いよく振り下ろした。
ザン!
そんな綺麗な音が、工房内に響き渡った。
「すげぇ……」
下まで剣を振り下ろした俺は、その体勢のまま、思わず感嘆の息を漏らす。
俺が既に持っている剣は、ミスリルという硬くて魔力をよく通す素材で作られており、素材そのものの稀少価値が高いので、勿論、ミスリル剣の方が性能はいい。
だが、魔鋼で、これほどの性能の剣を生み出すのは、素直に称賛だ。そんじょそこいらの鍛冶師では、こうはいかないだろう。
そんなことを思っていると、ガヌスさんがいきなり声を上げて笑い出した。
「はっはっは! 驚いたのはこっちの方だ。まさか台ごと斬っちまうなんてな」
ん? 台ごと斬る?
言っている意味が分からず、俺は不思議に思って眉を顰めながら、ゆっくりと顔を上げた。
するとそこには、兜とそれを載せていた台が、綺麗に両断されている光景が広がっていたのだ。
「……うそん」
魔鋼製の剣なら、全力でやればちょうど兜が両断できるぐらいだろ……と、思っていたさっきの俺の頬を殴ってやりたい!
ちょ、この台いくらするんだろ……
弁償という二文字が頭をよぎり、すっと顔が青ざめる。
俺が戦々恐々とする中、ガヌスさんが口を開いた。
「あー、別に弁償はしなくていいぞ? どうせその台は近いうちに買い替えるつもりだったしな。それに、これは俺がお前の腕を見誤っていたからこそ起きたんだ。お前に責任なんてものは微塵もねぇよ。だから、そんなこの世の終わりみたいな顔すんな」
「あ、ありがとう……」
よかった。ガヌスさんが心優しい人で。
今の懐状況で、弁償なんてできやしないからな……
最悪借金とかになってたかと思うと……うん。恐ろしい。
「にしても、いい剣の腕だな、お前さんは。その細腕であんな一撃が出せるとか、誰も予想できねぇって。魔力操作の技量も、俺の比にならねぇレベルだし」
「まあ、それは結構頑張ったから」
ポテンシャルがないのなら、並外れた練習量に裏打ちされた技量で補う。
それが、俺が強くなる上で導き出した一つの答えなのだ。
……《テイム》のポテンシャルに関しては、スライムしかテイムできなくて弱いと思ったら、視覚共有ができたり、テイムできる数が大量だったり、チートな部分もあってよく分からんけど。
「そうかそうか。んじゃ、話はこんぐらいにして、代金を払ってもらうぞ。代金は八万プルトぴったしだ」
おお、まさかこのクオリティで言った通りの代金になるとは思わなかったな。
俺が提示した予算内で、限りなく頑張ったというのが見て取れる。
ちなみにこの世界では、小銅貨一枚が一プルト。それ以降は、銅貨一枚が百プルト、小銀貨一枚が千プルト、銀貨一枚が一万プルト、小金貨一枚が十万プルト、金貨一枚が百万プルト、白金貨一枚が一千万プルトとなっている。日本円にすると、大体一プルト=一円くらいの感じだ。
「分かった。これを――」
俺はリュックサックの中から銀貨八枚を取り出すと、ガヌスさんに手渡す。
ガヌスさんはそれを軽く確認したあと、口を開いた。
「よし。毎度あり! 今後メンテナンスとかが必要になったら、またうちに来いよ! 格安で請け負ってやる」
「ああ、ありがとう」
製作者にメンテナンスをしてもらった方が確実なので、格安でなくとも来るつもりであったが……安くしてくれるというのならありがたい。
まだ収入が安定しているとは言いがたいからな。
現に今金欠だし……
「おし。じゃあな!」
「ああ」
そうして新しい装備に身を包んだ俺は、ガヌスさんと別れると、次なる目的地――シュレイン北西にあるダンジョン管理所へと向かうのであった。
「……お、見えてきた見えてきた」
二十分ほど歩いたところで、俺は目的地のダンジョン管理所に着いた。
外装は、よくある商会の本店みたいな感じだ。
「よし。入るか」
ここには二か所の入り口があり、ダンジョン探索をしにきた人が入るのは西側の扉だ。
東側の扉は、ダンジョン内で採取されたものの取引に来た人が入る場所――商人と貴族が入る場所だ。
俺は扉を開けて中に入る。
「えっと……あっちか」
入ると、そこには一つしかない酒場があった。ダンジョン探索を終えて帰ってきた冒険者たちでよく賑わっている。
そんな彼らを一瞥した俺は、右奥にある階段の方へと向かう。
階段の横には一人の男性職員がおり、俺がその階段の前まで来ると口を開いた。
「悪いけど、ここから先はDランク冒険者以上じゃないと入れないよ。しかも子供が一人で来るなんて……中に仲間がいるのか?」
やれやれといった様子で、男性職員は肩を竦める。
めっちゃ舐められているぞこれ……!
だが、それは俺の外見ゆえ、仕方のないことなのだ……
九歳の子供がダンジョンにいることは珍しい上、ぶっちゃけ一人で行くのはAランク以上の実力者か、ただのバカの二択なんだよね。
ダンジョン探索って基本一人じゃやらない。最低でも前衛後衛サポーターの三人は必要だ。
「Dランク冒険者だよ。信じられないなら、ジニアスさんに確認を取ってもらってもいい。あと、中に仲間がいるから安心してほしい。一人じゃない」
俺はポケットから冒険者カードを取り出すと、男性職員に見せつける。
中に仲間がいるというのは嘘だが、ここを通してもらうためには仕方ない。
「え、嘘!?」
男性職員は、目をあらんかぎりに見開いて驚くと、俺の冒険者カードをじっと確認する。
やがて、偽物でないことが分かったのか、バツが悪そうな感じで口を開く。
「わ、悪かったな。そのなりでDランク冒険者だとは思わなかった。通っていいぞ」
「ああ、通らせてもらうよ」
冒険者カードを返してもらった俺は、それをリュックサックの中にしまうと、地下へと続く螺旋階段を下り始めた。
「やー、もうじきダンジョンに入れる」
念願だったダンジョンに入れることに、俺は喜びの笑みを浮かべた。
そう。ダンジョンの入り口は、この階段を下り、更にそこから少し歩いた場所にある。
若干浮かれながら歩いていると、階段の両脇にある窪みの中に、様々なものが入っているのに気づいた。
「丸岩に矢、あとは設置型の罠か」
そこにあったのは、様々な武器。
何故そんなものがここにあるのか。それは、魔物の大量発生などの異常事態が発生して、ダンジョンから溢れ出した時に、ここで防衛するためだ。
街の中で魔物が暴れたら、大惨事どころの話じゃ済まんからな。
そんなことを思いながら、長い螺旋階段を下り続け――ようやく辿り着いた。
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