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第二章 ダンジョン都市ティリアン

第九話 この辺はそんなに強くない

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「よっと」

 俺はフロアボスのいる部屋の扉を開き、中に入った。

「え~と……あいつかな?」

 前と全く同じ造りの部屋の中央には一体の魔物がいた。
 全身を騎士のような鎧で覆っており、顔は兜で隠していた。
 右手には剣を持っており、一見人のように見えなくもないのだが、〈鑑定〉をすることであれは人ではないと分かった。
 ー--------------
 名前 リビングアーマー LV.32
 体力 5000/5000
 魔力 0/0
 攻撃 2500
 防護 4200
 俊敏性 1000
 弱点
 ・光属性
 スキル
 ・超速再生LV.4
 防具に人の魂と魔力が集まることで生まれる。
 剣の技量はそれなりに高い。
 ー--------------
 と表示された。

「なるほどね……」

 この耐久力に超速再生が加わるのは厄介だ。
 ただ、いくら再生力が高かろうと、一撃で仕留めてしまえば問題はない。

「コホオオオ……」

 リビングアーマーは低い唸り声を出すとガシャガシャと音を立てながら近づいてきた。

「じゃ、死ね」

 そう言いながら、俺は素早く近づくと、白輝の剣でリビングアーマーを縦方向に両断した。

「ゴ……ホ……」

 リビングアーマーは両断されるとそのまま地面に倒れた。そして、断面から魔石が見えた。

「じゃ、後は魔石を回収して……ん?」

「ゴ……ホ……」

「え?まだ生きてるの? ……あ、でもまあ理解できなくはないか」

 〈鑑定〉でステータスを見た時に、リビングアーマーの生まれ方がスケルトンと似ていることを思い出した。スケルトンのようにバラバラになっても完全再生出来るというわけではなさそうだが、それでも、これほどのしぶとさを見せているのはそれが関係しているのだろう。

「まあ、直接魔石を取れば流石に大丈夫だろ」

 そう言うと、俺は鎧を白輝の剣で細切れにしてから魔石を拾い上げた。

「これでどうかな……お、死んだか」

 魔石を拾い上げたのと同時にリビングアーマーは塵となり、消えた。
 そして、それと同時に部屋の奥に扉が出現した。

「よし、では行くか」

 そう言うと、俺は部屋の奥に行き扉を開いて部屋の外に出た。






「十一階層もそんなに強くないなぁ……」

 出てくる魔物は棍棒を持ったオーク、LV.20ぐらいのリビングアーマー、そして、そこに六から十階層で出てきた魔物が少し混ざっているといった感じだ。
 ただ、十一階層に下りてから罠の数が急激に増えた。
 地面を踏んだら矢が飛んでくる罠が十一階層だけで三十個もあった。
 更に、それの強化バージョンとして、地面を踏んだら天井から槍の雨が降ってくる罠もあった。
 ただ、〈身体強化〉と〈風強化ブースト〉を使って高速で走っているので、そもそも当たらない。

 俺はこの調子で十一階層からニ十階層までを五時間ほどで走り切った。
 所々で戦いながら走ったので、もし、何もせずにただひたすら走ったのなら三時間ほどで走り切れる距離だ。
 因みに、ここに来るまでの階層にフロアボスはいなかった。しかし、二十階層にて、ようやくフロアボスがいる部屋の前に来た。

「さてと……どんな魔物が出るんだろうな」

 そう言うと、俺は扉を開け、中に入った。

「んーと……今度はあいつかな?」

 部屋の中央にいたのは岩の甲羅で覆われた体長七メートルほどの巨大な亀だった。
 〈鑑定〉をしてみると、
 ー--------------
 名前 岩亀ロックタートル LV.43
 体力 8000/8000
 魔力 1500/1500
 攻撃 800
 防護 11000
 俊敏性 100
 弱点
 ・水属性
 魔法
 ・土属性
 全身が岩の甲羅で覆われており、高い耐久力を持つ。
 口から大きな〈土弾ロックバレット〉を飛ばしたり、尾の先についている岩を振り回して攻撃する。
 ー--------------
 と表示された。

「……例えるなら生きる戦車と言ったところか」

 我ながらいい例え方をしたと思いつつも、俺は岩亀ロックタートルに〈氷槍アイスランス〉×四十を撃った。

「グガアア!!!」

 ロックタートルは咆哮を上げると、口から、人の頭と同じくらいの大きさの〈土弾ロックバレット〉をいくつか撃ってきた。
 それにより、俺が撃った〈氷槍アイスランス〉の内、五個は破壊されてしまった。しかし、それでも残り三十五個が岩亀ロックタートルを襲う。

「グギガアアア!!!」

 ロックタートルは俊敏性が低いので、避けることは出来ず、全身に〈氷槍アイスランス〉をくらった。
 今ので甲羅はほとんど破壊出来たが、流石の耐久力と言うべきか、岩亀ロックタートルは生きていた。
「ま、流石に次は耐えられないだろ。〈氷槍アイスランス〉×二十!」

 身を守る甲羅がほとんど破壊されている岩亀ロックタートルにこの魔法を耐えられるはずもなく、そのまま息絶えて、塵となった。

「じゃ、行くか」

 そう呟くと、俺は岩亀ロックタートルの魔石を回収した。
 その後、部屋の奥に出現した扉を開いて、部屋の外に出た。
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