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*100 年が明けました *
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はっきり言おう。俺は徹夜ができる人間じゃない。徹夜を経験したのは、後にも先にも1回だけ。その1回で、俺に徹夜は無理だと骨身にしみたね。
年を越して、2時間余り。イイ感じにお酒が入ってることもあって、さっきからあくびを連発し、俺の瞼は限界を迎えようとしていた。
「そろそろ、帰るか?」
エルに聞かれて、こっくりうなずく。
「相変わらず、体力ないんだねえ。スバルは」
「ガキよりちょっとマシってくらいだよな」
ほっとけ。オルレアとマートルに呆れられたが、しょうがないだろう。日本で体力を維持しようと思ったら、意識して運動しないとダメなんだよ。
「エルナトがいるから大丈夫だとは思うけど、気を付けて帰ってね」
こっくりうなずく俺。
「酔っ払いは少ねえだろうけど、気をつけてな」
「ああ、じゃあな」
「オヤスミー」
なんとか別れの挨拶をして、俺はエルに支えてもらいながら、帰り路を歩く。「背負ってやろうか」と言われたが、それは丁重にお断りした。瞼は限界だけど、意識はあるんだ。
広場から渡り鳥亭までは、歩いて20分くらい。町は静かだと思いきや、そうでもなかった。うっすらと目を開けて町の様子を見れば、明かりがついている部屋も少なくない。そういう部屋は、複数のシルエットが浮かび上がっていて、笑い声なんかが漏れ聞こえていた。
「なんか、変なカンジー」
「何がだ?」
ちょっと歩いたおかげか、ちょっと頭が起きてきた。とはいえ、眠いことに変わりはなく、俺は目を閉じたまま、エルの体にぴったりとくっついて歩く。彼は彼で、俺の腰に腕を回して体を支えてくれている
「去年の今頃は、彼氏ができるなんて夢にも思ってなかったのにな~って。しかも、その彼氏がこんなに頼りになってかっこいいなんて──!」
「俺だって、番に会えるなんて夢にも思ってなかったさ。それが、こんな料理上手のかわいいカレシだなんてな」
「かわいいか? 俺」
「かわいいぞ」
って言いながら、エルは俺の頭にちゅっとキス。ハズイからやめてって言ったら、誰も見てねえよって、笑われた。26時を過ぎた今の時間なら、バルの閉店時間までいた客が、道を歩いていても不思議じゃないが、今日は人っ子一人いない。
ただ、みんなが寝静まっているわけではなく、2階より上に明るい窓がいくつかあり、そこから楽しそうな笑い声が聞こえてくる。家族で年越しパーティーしているんだろう。
かと思えば、クローズドのプレートがかかっている食堂の中から、賑やかな声や笑い声が聞こえて来たりしている。食堂のスタッフが年越しパーティーでもしているのだろうか。
その疑問は、下宿であるベルガラの渡り鳥亭に帰って来て判明した。俺と同じ下宿人たちが集まって、営業終了した食堂で酒盛りをしていたのである。
「よぉ、スバル。どうだ、飲んでいかねえか?」
「アルデミランもどうだ?」
ジョッキを持ち上げた、下宿人仲間に誘われるも、
「ごめん。眠気が限界」
「と、言うわけだ。部屋まで送ったら、一杯だけ付き合う」
すまんねえ。俺はエルに半ば抱きかかえられるような形で、部屋に帰った。もちろん、ベッドに入ったら、秒で寝た。
んで、目が覚めたら、朝どころか昼に近い時間だった。エルは、隣で爆睡中。それを見た俺は、二度寝することにした。
結局、起きたのは昼を過ぎてから。エルが言うには、こっちのお正月は、大体こんなものらしい。朝まで飲んで騒いで、昼頃まで寝る。ただし、小さい子供がいる場合を除く。
んで、食堂で酒盛りをしていた下宿人たちは、実家に帰れない、あるいは帰る実家がない人たちなんだそう。1人で酒盛りは寂しいので、閉店後の食堂でみんな集まって騒いでいたらしい。普段は閉店後の食堂での酒盛りは禁止なのだが、年越しだけはどこのペンシオン・バールでも許可しているそうだ。
「広場には行かない?」
「まあ、町のヤツから誘われないと行かないかもな」
広場の年越しは、地元の人たちのお祭りみたいなもの。だから、地元の人から誘われないと行かないんだとか。これは、この町に限らず、どこの町でも同じらしい。
「へ~。そうなんだ」
夜は物騒だから、用心するに越したことはないもんな。
年を越して、2時間余り。イイ感じにお酒が入ってることもあって、さっきからあくびを連発し、俺の瞼は限界を迎えようとしていた。
「そろそろ、帰るか?」
エルに聞かれて、こっくりうなずく。
「相変わらず、体力ないんだねえ。スバルは」
「ガキよりちょっとマシってくらいだよな」
ほっとけ。オルレアとマートルに呆れられたが、しょうがないだろう。日本で体力を維持しようと思ったら、意識して運動しないとダメなんだよ。
「エルナトがいるから大丈夫だとは思うけど、気を付けて帰ってね」
こっくりうなずく俺。
「酔っ払いは少ねえだろうけど、気をつけてな」
「ああ、じゃあな」
「オヤスミー」
なんとか別れの挨拶をして、俺はエルに支えてもらいながら、帰り路を歩く。「背負ってやろうか」と言われたが、それは丁重にお断りした。瞼は限界だけど、意識はあるんだ。
広場から渡り鳥亭までは、歩いて20分くらい。町は静かだと思いきや、そうでもなかった。うっすらと目を開けて町の様子を見れば、明かりがついている部屋も少なくない。そういう部屋は、複数のシルエットが浮かび上がっていて、笑い声なんかが漏れ聞こえていた。
「なんか、変なカンジー」
「何がだ?」
ちょっと歩いたおかげか、ちょっと頭が起きてきた。とはいえ、眠いことに変わりはなく、俺は目を閉じたまま、エルの体にぴったりとくっついて歩く。彼は彼で、俺の腰に腕を回して体を支えてくれている
「去年の今頃は、彼氏ができるなんて夢にも思ってなかったのにな~って。しかも、その彼氏がこんなに頼りになってかっこいいなんて──!」
「俺だって、番に会えるなんて夢にも思ってなかったさ。それが、こんな料理上手のかわいいカレシだなんてな」
「かわいいか? 俺」
「かわいいぞ」
って言いながら、エルは俺の頭にちゅっとキス。ハズイからやめてって言ったら、誰も見てねえよって、笑われた。26時を過ぎた今の時間なら、バルの閉店時間までいた客が、道を歩いていても不思議じゃないが、今日は人っ子一人いない。
ただ、みんなが寝静まっているわけではなく、2階より上に明るい窓がいくつかあり、そこから楽しそうな笑い声が聞こえてくる。家族で年越しパーティーしているんだろう。
かと思えば、クローズドのプレートがかかっている食堂の中から、賑やかな声や笑い声が聞こえて来たりしている。食堂のスタッフが年越しパーティーでもしているのだろうか。
その疑問は、下宿であるベルガラの渡り鳥亭に帰って来て判明した。俺と同じ下宿人たちが集まって、営業終了した食堂で酒盛りをしていたのである。
「よぉ、スバル。どうだ、飲んでいかねえか?」
「アルデミランもどうだ?」
ジョッキを持ち上げた、下宿人仲間に誘われるも、
「ごめん。眠気が限界」
「と、言うわけだ。部屋まで送ったら、一杯だけ付き合う」
すまんねえ。俺はエルに半ば抱きかかえられるような形で、部屋に帰った。もちろん、ベッドに入ったら、秒で寝た。
んで、目が覚めたら、朝どころか昼に近い時間だった。エルは、隣で爆睡中。それを見た俺は、二度寝することにした。
結局、起きたのは昼を過ぎてから。エルが言うには、こっちのお正月は、大体こんなものらしい。朝まで飲んで騒いで、昼頃まで寝る。ただし、小さい子供がいる場合を除く。
んで、食堂で酒盛りをしていた下宿人たちは、実家に帰れない、あるいは帰る実家がない人たちなんだそう。1人で酒盛りは寂しいので、閉店後の食堂でみんな集まって騒いでいたらしい。普段は閉店後の食堂での酒盛りは禁止なのだが、年越しだけはどこのペンシオン・バールでも許可しているそうだ。
「広場には行かない?」
「まあ、町のヤツから誘われないと行かないかもな」
広場の年越しは、地元の人たちのお祭りみたいなもの。だから、地元の人から誘われないと行かないんだとか。これは、この町に限らず、どこの町でも同じらしい。
「へ~。そうなんだ」
夜は物騒だから、用心するに越したことはないもんな。
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