反射スキルで、世紀末な異世界を駆け上がる

桐生デンジ

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第三話 東へ進め

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 あぁ……喉が渇いた……。
 こんな広い砂漠に取り残されて……落ち着いて考えれば詰んだも同然だよな――「異能」があっても人間に出会うことができなければ何の意味も無いだろう。
 生き物もろくにいないから、食べ物だってどうしたものか……お。

 ズボンのポケットの中に飴が一つ、入っていた。
 ……飴なんてどこでもらったかな。きっと誰かのお裾分けをもらったのを、忘れているだけだろう。だいぶ気温で溶けてしまっていたが、腹の減っていた俺はぺりぺりとセロハンをむき、べたべたした甘い塊を口の中に放り込んだ。

 なんともいえない味だが――少し空腹がおさまった俺は、地面に座り込み、ジャケットを脱いでネクタイを外した。
 そのままぼーっとしていると眠くなってきたので、俺は睡魔に身を任せて――熱い砂の上で、夢の世界へと落ちて行った。

***

「よお。また会ったな、スイ」

 お前は確か……声から推測するに、この世界の神だったな。

「ああ、名前を言い忘れていたな。気軽に、コンラッドと呼んでくれ。ところでよお、スイ、だんだんと『鏡花水月』の使い方が分かってきたようだな。お前の考えている通り、その能力は魔力とお互いに負の感情を抱きあうことによって発現するらしい――他にも、バリアーの形を変えたり、お前の周りをすべてそのバリアーで囲って、周りからすりゃミラーボールみたいな風にして、身を守ることもできるようだな」

 コンラッドは、ずんぐりむっくりして髭を生やした、中年男性のような見た目をしていた。汚い深緑のぼろきれのような服を着ていて、少ししゃがれた声に合ったような外見だ。
 ミラーゾーンの変形か……いつかはできるようになるのだろう。

「異能にも色々あってよ、魔力を活かすものが多いことには変わりないんだが、その力に対しての『歩み寄り』と『遠ざけ合い』……その二つのどちらかの性質を持つ異能、その内でも『歩み寄り』に属する異能がほとんどなんだ。スイ、お前のような『遠ざけ合い』の異能を持っている奴を見たのは本当に久しぶりだ」

「そうなのか……まあ、『鏡花水月』は上手く使える気がするよ……それにしても、お前はなぜ夢の中に出てきてまで、俺に語り掛けてきているんだ?」

 この世界の神であるというのだから、それなりにやることはあるのだろう。
 それなのに俺だけに構う時間なんて、設けてしまってもいいのだろうか。

「ははは、俺はお前に興味があるんだよ、スイ。それに、お前は俺のダチの世界から預かった大事な客人だ。それなりにもてなしはさせてもらうつもりだぜ――まあそうだな、本題に移らせてもらうよ。俺はお前を安全な場所に転移させようと思ったわけなんだが、どうやら人里から離し過ぎたようでな――悪いが、数日間は砂漠を抜けられないかもしれん。申し訳ない気持ちはあるんだが、さすがに俺の力で転移させちまうと、えこひいきみたいだからよ、代わりにアドバイスをやる。一番早く砂漠を抜けるルートは、東へひたすら進むことだ……伝えたかったことはそれだけだよ。じゃあな、俺はいつでもお前を見守っているよ――――」

***

 ……夢の中に例の神が出てきた。
 コンラッドといったな……そう簡単に人の夢の中になんて出られるものなのかとも思うが、俺はあいつの世界の中にいるわけだし、そうおかしいことでも無いか。

 それより、せっかくもらったアドバイスを活かさなければ。
 東へひたすら進めと言っていたな。そっちの方角に何があるのか知らんが、他にあても無いし、コンラッドの言う通りにしてみるか……。

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