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プロローグ
しおりを挟む白狐
白狐と呼ばれるその狐は、青い毛皮に身をまとい、草木の朽ちる晩秋ごろに、木枯らしと雪の花を引き連れやってくる。
田や畑はもう収穫されて、黄金色の草木は消え去られた。
冷たくひんやりとした風が頬をなでる。今年も冬がやってきたのだ、白狐と共に。
この小さな集落では、木枯らしを白狐と呼ぶ。木枯らし自体のことを白狐とも言うが、普通は木枯らしがやってくることを白狐が来たと呼んでいるそうだ。
北秦はもうすっかり枯れている。そんな集落の片隅で、僕はこう言った。
「白狐を撫でてやりたいな、北秦を抱えた手で…」
そんなことは誰にだってできない。白狐本人にさえ出来ない。神にさえできない。
なぜなら、白狐は10月過ぎに生まれて9月前に死ぬから。正確には死んではないんだろうけど、誰の目にもつかない場所で、それこそ、土の中かもしれないし、山奥の洞穴かもしれないし、水の中かもしれないけど、冬眠しているんだ。
木枯らしといえば、11月ごろの季語で、11月ごろに咲く花といえば、ツワブキなんかがあるけれど、あんな感じの花じゃなく、北秦のようなあの感じがいいんだ。はつらつとし、でもどこかに哀愁がある。あの花じゃなきゃ、ダメなんだ。
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