自殺志願者と生存志願者

きよ

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なかよくしよう①

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僕と彼女は少し間をあけ並んで歩いていた。

「あー、さっきはほんとに驚いたんだから。話しかけに言ったらいきなりガン無視されるんだから。」

彼女は話してみると人が近寄り難い雰囲気とはかけ離れていてとても話しやすかった。

「ごめんって。悪いと思ってるから。」

「いきなり、え?なんっていった?きいてなかった、ってさすがにひどすぎるでしょ。」

「本当に無視したかった訳じゃないから」

「勇気出して話しかけたのにいきなり無視されて私の学校生活終わったーって感じたよ」

「勇気出してって君にとってはあれくらい造作もないことでしょ」

「君にとって造作も無いことって、初対面のくせになんでそんなことわかるの。」

彼女の口調が少し強くなった気がした。まずい何か逆鱗に触れたか?

「いや、なんか所作があまりに堂々としていて美しかったからついそう思ったんだよ。」

美しいって言えば機嫌がとれるというなぞの思考が働いていた、だがそれが効果があったのか彼女の強い口調はきえた

「所作についても話しかけたのと同じで、勇気出してオドオドしないようにふるまっていただけ」

「なんでわざわざそんなことを?」

「転校って初日が大事でしょ、オドオドしている人に関わろうって人あんまりならないでしょ」

君のたくましいすぎる所作はむしろ人を寄せつけないだろうね、と言う言葉は心に秘めておいた

「別にオドオドしてたって誰も君を舐めたり恐喝したりしないと思うよ」

「誰がそんな心配する人がいるのよ。私はただなかよくなりたかっただけよ。...クラスのみんなと」

「そんなに所作を意識しなくても時間が経てばなかよ...」

言っている途中に思い出した、僕の感が正しければ彼女は春野明菜は近いうちに死ぬ、彼女には時間がないかもしれないのだった...

「なに?なんで言いかけたこと辞めるの?」

彼女が僕の顔をのぞき込んだ、僕は思わず顔を背けた、何となく今の表情を見せたくなかった。幸運なことに丁度教務室についた

「ここが教務室だよ、早く机を貰って帰ろう。失礼しまーす。机貰いに来ました。」

僕は颯爽と教務室に逃げた。

「さっき言いかけてたこと...彼は私にあまり時間がないって気づいていたのね。やっぱり予想通り彼は私ととても似ているのかなぁ。そうだといいな...」 

春野明菜のつぶやいた声は廊下に静かに消えていった。

「おーい、春野、雪下1人じゃさすがに可哀想だからだからお前も手伝ってやれよ」

「はい、今行きます、失礼します」

「あーきたきた、じゃあ雪下は机もて、春野は椅子な」

手にズシリと机の重りがのる。なぜかうちの高校の机や椅子はとても重い。なんでもこの重い机たちは強度が高く長々使えコスパがいいらしい。恐らく全生徒の敵である。椅子も重いだろうが机よりは軽いはずだと思い彼女に交換しろという目線を送った。ふいっ、と顔を見事に背けられた。その様子を見ていた担任が笑いながら

「この時期の転校生だからみんなとなかよくなれるか心配だったがもう雪下と仲良くやってるようだから安心だ」 

と言った。仲良くやっている?そんなことはない。仲良くすることは自殺志願者の僕にとっては不都合でおおよそ僕の予想が正しければ....彼女にとっても不都合な事なのだろうから...
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