自殺志願者と生存志願者

きよ

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運命の日⑦

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そうか、そうか、そうか会心のひらめきだった。万人がむかえる受動の死。それを能動に帰ることが出来ればいままで受動的に暮らしてきたものの全てのツケを払えるのではないか...そう自殺をすればいいんだ。自殺は言わば究極の能動的な行為なんだ。

「ふっふははは」

気づくと笑いが漏れていた。ああ、音楽は凄いな僕に真理を気づかせてくれた。おじいちゃん見ててよおじいちゃんの願いどおり能動的な行動をしてみせるから。だからどうかみて...

「雪下さん!!」

はっ、店員さんの声でヴァイオリンをひくてをとめた、

「どうしたんですか、急にあらあらしくなって」

店員はなぜか怯えていた。

「ごめんなさい、でも、本当にヴァイオリンを引いてよかった。スッキリしました。ありがとうございました。」

僕はそういうと弓だけ持ってでていった。

「なんだったんだろう、とても怖かった。」

店員さんは小さく呟いた。

外に出た僕は驚いた。店から出ると同時にどうも周囲のひとたちから嫌悪の目線を向けらているようだった。きっと相当ひどいヴァイオリンで周りのひとたちを不快にさせたのだろう。周りの人たちがザワザワとしている中を僕は歩き抜けていった。衝撃的なことに嫌悪どころか泣き出している女学生さえいた。どれだけ悪い音だったのだろう。むしろ興味さえそそられる状況だった。だが、その時の僕は自分のヴァイオリンの音に興味を感じることはあまりなかった。それよりももっと興味がわくことがあったからだ。

「自殺かあ」

初めて自分から自発的にやりたいと思ったことだった。究極の能動的な行為、これをやり遂げた時僕はどれほどの気持ちにつつまれるだろう。家に帰ったら早速自殺の準備に取り掛かった。周辺の片付けをして色々して。気づけば数日たっていた。とても充実した日々だった。自殺を決めてから充実した日々をおくり準備を整えた。そして11月10日第一回目の遺書を書き終えた...


*        *        *
手に持った弓を見ながら思い出していた。いつの間にか時間は7時をすぎていた。

「おっと、もうこんな時間か学校に行く準備をしなくちゃ」

急いで朝食を作り始めた。
学校にいって彼女に会えるのは楽しみだった。ただすごさせられる日常に変化を与えてくれた彼女。僕のことを理解してくれる彼女。僕の自殺日時を変更まで至らせた彼女。....あれ?なにか強く頭にひっかかった。昨日は急に理解者が現れてくれたから喜んだけどこれはおかしいぞ。だってこの喜びたちは全て彼女からされたこと...つまり受動的なことじゃないのか?僕が昔嘲笑った物じゃないのか?頭に疑問が浮かんだんだ、だがこの喜びは間違いと言うにはあまりに強すぎた。僕はなんで自殺の原因までなった受動的行為に対して喜びを受けているんだろう?なぜかはわからなかった、もう一つなぜかは分からないことに彼女に会いたいという気持ちが高まっていた。

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