支配の王冠~余命一年の悪役転生から始まるバトルロワイアル~

夜刀神さつき

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悪役転生

死鬼の大群

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 不意に廊下から、誰かが走ってくる音が聞こえてくる。
 血の匂いや、鼻を突き刺すツーンとした死臭がここまで漂ってくる。

「グルルルルルルルルルル」

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「グググググググググググググググググググググググググググググググググ!!!!!」

「ギガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ!!!」

「グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」

 獣の唸り声みたいな声がすぐ近くまで聞こえ来る。
 ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。怖い。怖すぎる。頭の中が、死鬼に身体をちぎられながら食われ死んでいく嫌な想像で埋め尽くされていく。

「どうやら奴らが来たみたいですね」

 恐ろしい化け物が迫ってくるというのに、エリュシオンは、晩御飯の話題でもするかのように平然としている。こいつは、どこかおかしいのだろうか。頭のねじがぶっ飛んでいるのだろう。

 慌てて何か武器はないかと周囲を見て、ベッドの近くあった黒い柄の剣を掴んで、鞘から出して構える。それでも手がブルブルと震える。

「お前は……死鬼が怖くないのか」

「全然。それよりも、貴方が怖がっている姿を見られて嬉しいです」

 こいつううううううううううううううう!!!感性が狂っていやがる。とんでもない男だ!今すぐ死鬼の群れにでも放り込んでやりたいっ!

 ハデスは、何でこんな奴を最後まで残したんだよ!!

「ド、ド、ド、ドアを閉めないと」

「もう遅いですよ」

 ドアが誰かに押されたかと思うと、涎を滴らせた数十匹の化け物が飛び込んできた。

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!」

「グルルルルルルルルルルルルルルルル!!!!!」

「グアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア
ア!!!」

「グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!」

 ボロボロの服を着た死鬼からは、気絶しそうになるくらい悪臭が漂ってくる。そいつらは、僕らを見て目をらんらんと輝かせた。死鬼には、面玉がかけていたり、飛び出している奴もいて相当グロい。き、気持ち悪い……。そして、嬉しそうに関節を曲げながら手を伸ばしてきた。

「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。でたあああああああああああああああああああああああああ!!!!!」

 思わずおしっこが漏れそうになるくらい怖いいいいいいいい。

 恐怖のあまり足ががくがくと震える。

「1、2、3、4……13いや、20以上。多いですね。ハデス様?何を怖がっているんですか?あんな化け物よりもあなたの内面の方がずっと怖いじゃないですか」

「そういう冗談を言えるお前の方が怖えよ!!!」

「シャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 死鬼の一匹がようやく獲物にありつけると、嬉しそうに僕に飛びかかってくる。汚い涎が僕の顔に飛んできた!

「ひいいいいいいいいいいいいいい」

 ダメだ。怖すぎて身体が動かない。
 
 このまま殺されるっ!!

 そう固まっていると、襲い掛かってきた死鬼を、エリュシオンが白い靴を履いている長い左足で蹴り飛ばした!!!すごい威力で蹴られた屍鬼は、10メートル以上ぶっ飛んで壁に跡をつくった。そして、ピクピクしながら床にドーンと打ち付けられた。

「すごっ」

 エリュシオン……。前言撤回する。お前が、ハデスが残した最後の一人で本当によかった。
 そう思っていると、呆れたようにため息をつかれた。

「そんなことを言っていないで、魔術を使ってください」

「ああ、そうだな」

 幸いなことに、ジギルとして生きていた頃も、僕は、ハデスと同じ火の魔術師であった。持続可能な魔力は蠟燭の炎程度、一瞬だけなら大きな魔力も使用することができた。使い方はよくわかっている。

「フローガ!!!」

 叫んだ途端に、激しい炎が死鬼にぶつかっていった。

「ぎゃおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「うがあああああああああああああああああああああああああああ」

「ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ」

「イギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」

 死鬼は、断末魔の悲鳴をあげながら燃えていく。
 そして、勢いの止めらない炎は、壁にぶつかり辺りが燃えていく……。壁に移った炎はドアに広がり出口を塞いでしまった。そして、床は炎の海ができたように、メラメラと燃えている。
 辺りは死体が焼けこげる異臭で満たされる。

「あ……。あ、あ、あ、あああああああ……」

 もう入口から出ることは不可能だろう。炎がどんどん近づいてくる。

「さすが、ハデス様です。随分派手にやりましたね。死鬼と心中するつもりですか」

 彼は、やらかしてしまった僕をバカにするように憎たらしい笑みを浮かべて、パチパチと手をたたき拍手まで送ってきた。
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