支配の王冠~余命一年の悪役転生から始まるバトルロワイアル~

夜刀神さつき

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イリス山

リュカ

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 少年は、リュカ・ハルミトンという5歳の少年で、ディナヴィアの商人の息子らしい。親戚はまだディナヴィアにいるらしく、同じくディナヴィアを目指し始めた僕たちと一緒に旅をすることになった。

 生い茂る森をひたすら、3人で歩いていく。道は非常に歩きにくいため、エリュシオンが先頭に立って剣を振るいながら道を切り拓いていく。

 天使みたいにかわいいリュカは、転生後の苦労にまみれすさみきった人生の中で一番の癒しとなっていた。

「お兄さんの名前は何て言うんですか」

「ハデスだ」

「ハデスさま!いい名前ですね」

 何故かリュカは頬をバラ色に染めた。
 ああああああああああああああああああああああああああ。
 か、かわいい。かわいさのあまり心臓を射抜かれてしまいそうなくらいかわいい。かわいすぎて気絶してしまいそうだ。

 エリュシオンは、そんなリュカを生ゴミにやって来るゴキブリを見るような目で見ている。

「お前がいるとリュカが怖がるから、少し離れていていい」

「俺が近くにいないと誰が貴方を守れるんですか」

「ここには、リュカと僕しかいないから大丈夫だ」

「ですから、そのリュカがハデス様を襲わないとは限らないでしょう」

 ……こいつまじかよ。
 こんなか弱い天使を疑うとか、人間の血が流れているとは思えない。

「ねえ、ハデスさま」

 リュカは上目遣いをしながら、嬉しそうに話しかけてくる。
 何だ、ただの天使か。
 萌えすぎてはげてしまいそうだ。

「ぼく、大きくなったらハデスさまとけっこんしたいです!」

 なんてかわいい生き物なんだ。
 しかし、鉄仮面のように感情に乏しい男は、このプリンセスのかわいさを理解していないようだった。

「君が大人になる頃には、ハデス様はおじさんになっています」

「黙れ、この下僕が!」

「しかし、事実です」

 こいつには、人間の血が流れていないかもしれない。

「ぼく、ハデスさまとけっこんできないの?」

 今にも泣き出しそうなくらい目をうるうるとさせ、頬をプクッとさせるリュカ。
 うっ。あまりにもかわいすぎて三回くらい死ねそうだ。

「けっこんは……お前が大きくなったら考える」

「じゃあ、大きくなるまで、ぼくも、ハデスさまのごえいになりたい!」

「貴方には剣が扱えますか。敬語が使えますか。文字が書けますか。ふん。全部、できないでしょう」

 ……そこには、5歳児と真剣に張り合う醜い男の姿があった!

「エリュシオン……何やっているんだ……」

「リュカ様に現実を諭しているだけですが」

 5歳児をいじめていた大人は、しゃあしゃあと答えた。
 だめだ、こいつ。早く何とかしないと……。

「大抵、子供の頃の夢なんて叶わないものです。5歳児のときに描いた現実味のない夢なんてなおさらですよ」

「だからって、子供相手にひどすぎるだろう!」

「5歳というのは、もうすでに人間の自我が芽生えている頃です。ハデス様は、子供の皮を被った醜い本心まで見破らなければいけません」

「え、えーん。えーん」

 エリュシオンの容赦のない言葉にリュカが泣き出してしまう。

「ほら、見ろ。お前がいじめるからリュカが泣き出してしまっただろう」

「いや。あれは、どう見てもうそ泣きです。ああやって、貴方の気を引きたいだけでしょう」

 こんな天使を疑うなんて、何て下劣な人だろう。僕は、必死にリュカの髪を撫でる。

「よしよーし。ごめんね。エリュシオンおじいちゃんが、あなたをいじめて」

「お、おじいちゃん!俺は、まだ二十歳です!」

 エリュシオンは、むっとした様子で反論してきた。

「いいか!お前なんてリュカから見たら、おじいちゃんだろう!」

「そういう貴方の方が年を取っていますが」

「うっ……」

 そんな風に突っ込まれて返す言葉がなかった。
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