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ロタン
第2回戦3
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あっという間に次の試合の時間になった。
「さあさあ、なんとフレデリクは、身長2メートル越えの大男!!果たして対するベネット・クロスフォードはどう対応するのか」
タンクトップ姿の大男は、力こぶを作り筋肉を見せつけて声援に「ふんっ」と鼻息を荒くした。わあああああああああああと会場が盛り上がる。
ベネットは、黒髪にカシスレッドの瞳をしていた。真夏なのに全身を覆う黒いフードと黒いマスクで隠した不気味な男である。あんな大男と対戦させられるなんてかわいそうに……。どう考えても、フレデリクの勝ちだろう。
「さあ、試合開始!!!」
「俺がお前をぶっ潰してや……」
そう大声が響いた途端に、フレデリクが地面にバタリと倒れた。
「え?何が起きたんだ……」
びっくりして倒れたフレデリクを見つめるが、彼はピクリともしない。会場の人々もざわざわとしだした。
「フレデリクの首に小さな蜘蛛のような虫が止まった。恐らくそれが原因だろう」
動体視力がよほどいいのか、ギャレットは原因に気がついていたみたいだ。
「ほら、審査員。早く俺の勝利を宣言してください」
ベネットはニヤニヤしながら、そうけしかける。
「しょ、勝者は、ベネット・クロスフォード!」
しかし、そう宣言されても、会場では拍手が起きないでブーイングで埋め尽くされた。
「卑怯者!!!」
「ちゃんと戦え!」
「実力では勝てないから卑怯な手を使ったに違いない」
そんな風に罵る言葉で埋め尽くされていく。
けれども、ベネットはそんな言葉を気にもとめずに、堂々と去っていった。
一瞬であの大男を倒すなんて、恐ろしい男だ。彼が優勝するかもしれない。
そういえば、僕たちも大量の虫に襲われたことがある。もしかしたら、彼の仕業なのだろうか。だとしたら、正体がバレないように気をつけなければいけない。
「さあ、気を取り直して次の対戦者だ。次は、優勝候補ウォルフ・スタットとクリストバル・オスワルドだ。ウォルフはルジアの騎士だ。クリストバルは赤の騎士団だ。さあ、東と西の対決!どちらが勝つのか」
「いけー!クリストバル!!ルジアに負けるな」
「頑張れ、クリストバル!!」
会場全体が地元のクリストバル応援の雰囲気になる。どうやら、ルジアから来たウォルフにはアウェーな雰囲気であるようだ。
「さあ、試合開始!!」
先に動きたのはウォルフだった。彼は、2本の鎌状の刀を使用して、遊ぶように笑いながら攻撃をしかけた。
対するクリストバルは鞭のようなしなる武器で対抗していく。
「あれは何だ?」
「あれは、ラスクア。皮膚や服に触れる電流が流れていく特殊な魔道具だ」
「なるほど」
クリストバルは真剣に戦っているのに、ウォルフは余裕そうにラスクアの攻撃をさばいていく。
「おいおい、もっと本気になれよ。俺を楽しませてくれ」
「くそったれがっ」
クリストバルの額には汗がべっとりと滲み、呼吸もどんどん荒くなっていく。けれども、ウォルフは涼しい顔で戦い続けた。
「君、つまらないな」
ついにウォルフはそう呟くと、鎌に炎がともった。一気にとびかかり、クリストバルの腹部を刺した。しなやかな野生動物みたいな動きだった。
「勝者、ウォルフ・スタット!!」
歓声と共に、「彼が優勝しそうだ」「余裕じゃないか」との声で埋め尽くされた。
「……強いな」
「そうだね。経験も豊富だ。俺は賭けるならウォルフに賭けるね。彼なら、ベネットにも勝てるかもしれない。炎の魔術師だしね」
「僕だってウォルフかな」
「あれ?エリュシオンは?」
「ははは」
あいつは、確かに強いけど、未知数なんだよ。案外、次くらいで負けているかもしれない。負けたら、お前はまだ若いと誉めてやろう。
「さあさあ、なんとフレデリクは、身長2メートル越えの大男!!果たして対するベネット・クロスフォードはどう対応するのか」
タンクトップ姿の大男は、力こぶを作り筋肉を見せつけて声援に「ふんっ」と鼻息を荒くした。わあああああああああああと会場が盛り上がる。
ベネットは、黒髪にカシスレッドの瞳をしていた。真夏なのに全身を覆う黒いフードと黒いマスクで隠した不気味な男である。あんな大男と対戦させられるなんてかわいそうに……。どう考えても、フレデリクの勝ちだろう。
「さあ、試合開始!!!」
「俺がお前をぶっ潰してや……」
そう大声が響いた途端に、フレデリクが地面にバタリと倒れた。
「え?何が起きたんだ……」
びっくりして倒れたフレデリクを見つめるが、彼はピクリともしない。会場の人々もざわざわとしだした。
「フレデリクの首に小さな蜘蛛のような虫が止まった。恐らくそれが原因だろう」
動体視力がよほどいいのか、ギャレットは原因に気がついていたみたいだ。
「ほら、審査員。早く俺の勝利を宣言してください」
ベネットはニヤニヤしながら、そうけしかける。
「しょ、勝者は、ベネット・クロスフォード!」
しかし、そう宣言されても、会場では拍手が起きないでブーイングで埋め尽くされた。
「卑怯者!!!」
「ちゃんと戦え!」
「実力では勝てないから卑怯な手を使ったに違いない」
そんな風に罵る言葉で埋め尽くされていく。
けれども、ベネットはそんな言葉を気にもとめずに、堂々と去っていった。
一瞬であの大男を倒すなんて、恐ろしい男だ。彼が優勝するかもしれない。
そういえば、僕たちも大量の虫に襲われたことがある。もしかしたら、彼の仕業なのだろうか。だとしたら、正体がバレないように気をつけなければいけない。
「さあ、気を取り直して次の対戦者だ。次は、優勝候補ウォルフ・スタットとクリストバル・オスワルドだ。ウォルフはルジアの騎士だ。クリストバルは赤の騎士団だ。さあ、東と西の対決!どちらが勝つのか」
「いけー!クリストバル!!ルジアに負けるな」
「頑張れ、クリストバル!!」
会場全体が地元のクリストバル応援の雰囲気になる。どうやら、ルジアから来たウォルフにはアウェーな雰囲気であるようだ。
「さあ、試合開始!!」
先に動きたのはウォルフだった。彼は、2本の鎌状の刀を使用して、遊ぶように笑いながら攻撃をしかけた。
対するクリストバルは鞭のようなしなる武器で対抗していく。
「あれは何だ?」
「あれは、ラスクア。皮膚や服に触れる電流が流れていく特殊な魔道具だ」
「なるほど」
クリストバルは真剣に戦っているのに、ウォルフは余裕そうにラスクアの攻撃をさばいていく。
「おいおい、もっと本気になれよ。俺を楽しませてくれ」
「くそったれがっ」
クリストバルの額には汗がべっとりと滲み、呼吸もどんどん荒くなっていく。けれども、ウォルフは涼しい顔で戦い続けた。
「君、つまらないな」
ついにウォルフはそう呟くと、鎌に炎がともった。一気にとびかかり、クリストバルの腹部を刺した。しなやかな野生動物みたいな動きだった。
「勝者、ウォルフ・スタット!!」
歓声と共に、「彼が優勝しそうだ」「余裕じゃないか」との声で埋め尽くされた。
「……強いな」
「そうだね。経験も豊富だ。俺は賭けるならウォルフに賭けるね。彼なら、ベネットにも勝てるかもしれない。炎の魔術師だしね」
「僕だってウォルフかな」
「あれ?エリュシオンは?」
「ははは」
あいつは、確かに強いけど、未知数なんだよ。案外、次くらいで負けているかもしれない。負けたら、お前はまだ若いと誉めてやろう。
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