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ロタン
ミゲル
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ミゲルは、何故か死がすぐ足元に迫っているような恐怖を感じていた。
人生は、退屈だった。
小さい頃から、欲しいものは何でも手に入った。魔術、剣術、勉強……何でも手にできた。できないことなんて何もなかったし、つまらないことでつまずいている雑魚の気持ちなんて一ミリたりとも理解できなかった。世界はまるで、空っぽの水槽を泳いでいるみたいに退屈な空間だった。
自分があまりにも優秀しすぎたせいだろうか。誰のことも対等な存在に見えなかった。まるで自分とは違う下等動物のように思えていた。だから、誰に対しても執着も、愛情も持つことができなかった。
ある日、父さんが戦死した。悲しいなんて感情は生まれなかったけれども、優しい息子らしく必死で悲しんでいるふりを演じた。
父さんが死んだことで、クリューサーオール家の地位が下がってしまうことが心配だった。それは、生まれて初めて知った敗北みたいに屈辱的なことだった。だから、退屈しのぎに世界を手に入れようと思った。イフリートを倒して、この世界の頂点につこうと……。そうすれば、この屈辱も報われる気がした。自分は特別な人間だとよくわかっていた。だから、絶対にそれを成し遂げられると疑ったことはなかった。
まずは、地位を確立して、イフリートに近づいた。
愚かなイフリートは、私の言葉にそそのかされて、どんどん愚王となり、評判ばかり落としていった。
作戦の下ごしらえは、完璧だった。けれども、手柄はあっさりとルキフェルに横取りされた。ルキフェルは、俺を上回る魔術を覚醒させ、支配の王冠を手に入れて更に強い魔力を手にした。腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えたが、自分がルキフェルに勝てないことがわかっていたから、いつか彼を倒せる時が来るまで待ち続けた。
そうだ。
自分はこんなところで、死ぬような人間じゃない。誰よりも特別な選ばれた存在だ。
いつか、ルキフェルを倒して全てを手にする。
こんなところで死ぬわけにはいかない。
「私は、この世界の頂点に立つ!」
両手を広げて、周囲にある全ての石を浮かばせる。あいつを殺さなければいけない。敵は、全て殺す。殺して、殺して、殺して、殺しまくるっ!!!
そして、それらを、ピンク頭をしている青年に向けて放った。
しかし、石の隙間を縫うように一つの銃弾が放たれる。
銀色の銃弾が心臓を射抜いた。
「あぐっ!!!」
バカな。
バカな、バカな、バカな……。
この石の隙間をくぐり抜けて、心臓までたどり着いただと……。
そんなバカな……。
血液が焼けるような激しい痛みを感じて、その場に倒れた。
呼吸が苦しくなっていく。
脳に酸素が回らない。
自分は……死ぬのか……。
目的を果たせないまま負け犬みたいに死んでいくのか……。
ああ、なんて無様な死に方だろうか……。
こんな時に、誰のことも思い浮かばない。誰かに伝えたい言葉の一つも出てこない。
親友だったアルベルトが「僕には……君が理解できない」と去っていったことが理解できる。
欠陥品だったんだ。
生産的なことにしか価値を見出せなかった。
ただダラダラと過ごしている時間が、ひどく無駄に感じられた。
楽しいはずなのに、楽しんでいるふりばかりしていた。
どうしてだろう。一人でいる時間だけ、ありのままの自分になれた。
どんなに逃げても、苦しいだけだ。逃げているから、幸せになれない。本当に心が満たされることがなかった。それは、全てを手にしていないからだと思っていた。
周りにいた全ての人間は駒だった。だから、誰のことも容赦なく切り捨てられたし、利用できないものに興味なんて持てなかった。妹のミシェル、親友のアルベルト、ユリア、アイゼア、ウォルフ、セレネー、ヨシュカ、アシュレイ、ルーガン……。
名前も顔も覚えているのに、結局、全てがチェスの道具みたいに見えていた。
若かった頃の自分が記憶に蘇る。
天才だ、選ばれた人間とちやほやされていた。誰もが私に憧れた。誰と比べても優越感が生まれた。
けれども、あまりにも世界がつまらなくて死んだ目をしていた……。
狂気を抱いて道を踏み外してから、初めて世界が輝いて見えた。世界も、人の命も、自分が遊ぶためのおもちゃだった。
もしも痛みを知った人間であったなら、誰かのことを大切にできたのだろうか。
ちゃんとミッシェルのことも愛せただろうか。自分が妹を利用したことを後悔できるような人間になれただろうか。
今更、そんなこと考えても遅いけれども……。
もう一度やり直せれば、誰かを愛せるような人間になれただろうか……。
いや、自分みたいな欠陥品は、無理だろうな。
夜空に浮かんだ一人ぼっちの月みたいに、自虐的な笑みが浮かんだ。
人生は、退屈だった。
小さい頃から、欲しいものは何でも手に入った。魔術、剣術、勉強……何でも手にできた。できないことなんて何もなかったし、つまらないことでつまずいている雑魚の気持ちなんて一ミリたりとも理解できなかった。世界はまるで、空っぽの水槽を泳いでいるみたいに退屈な空間だった。
自分があまりにも優秀しすぎたせいだろうか。誰のことも対等な存在に見えなかった。まるで自分とは違う下等動物のように思えていた。だから、誰に対しても執着も、愛情も持つことができなかった。
ある日、父さんが戦死した。悲しいなんて感情は生まれなかったけれども、優しい息子らしく必死で悲しんでいるふりを演じた。
父さんが死んだことで、クリューサーオール家の地位が下がってしまうことが心配だった。それは、生まれて初めて知った敗北みたいに屈辱的なことだった。だから、退屈しのぎに世界を手に入れようと思った。イフリートを倒して、この世界の頂点につこうと……。そうすれば、この屈辱も報われる気がした。自分は特別な人間だとよくわかっていた。だから、絶対にそれを成し遂げられると疑ったことはなかった。
まずは、地位を確立して、イフリートに近づいた。
愚かなイフリートは、私の言葉にそそのかされて、どんどん愚王となり、評判ばかり落としていった。
作戦の下ごしらえは、完璧だった。けれども、手柄はあっさりとルキフェルに横取りされた。ルキフェルは、俺を上回る魔術を覚醒させ、支配の王冠を手に入れて更に強い魔力を手にした。腸が煮えくり返るほどの怒りを覚えたが、自分がルキフェルに勝てないことがわかっていたから、いつか彼を倒せる時が来るまで待ち続けた。
そうだ。
自分はこんなところで、死ぬような人間じゃない。誰よりも特別な選ばれた存在だ。
いつか、ルキフェルを倒して全てを手にする。
こんなところで死ぬわけにはいかない。
「私は、この世界の頂点に立つ!」
両手を広げて、周囲にある全ての石を浮かばせる。あいつを殺さなければいけない。敵は、全て殺す。殺して、殺して、殺して、殺しまくるっ!!!
そして、それらを、ピンク頭をしている青年に向けて放った。
しかし、石の隙間を縫うように一つの銃弾が放たれる。
銀色の銃弾が心臓を射抜いた。
「あぐっ!!!」
バカな。
バカな、バカな、バカな……。
この石の隙間をくぐり抜けて、心臓までたどり着いただと……。
そんなバカな……。
血液が焼けるような激しい痛みを感じて、その場に倒れた。
呼吸が苦しくなっていく。
脳に酸素が回らない。
自分は……死ぬのか……。
目的を果たせないまま負け犬みたいに死んでいくのか……。
ああ、なんて無様な死に方だろうか……。
こんな時に、誰のことも思い浮かばない。誰かに伝えたい言葉の一つも出てこない。
親友だったアルベルトが「僕には……君が理解できない」と去っていったことが理解できる。
欠陥品だったんだ。
生産的なことにしか価値を見出せなかった。
ただダラダラと過ごしている時間が、ひどく無駄に感じられた。
楽しいはずなのに、楽しんでいるふりばかりしていた。
どうしてだろう。一人でいる時間だけ、ありのままの自分になれた。
どんなに逃げても、苦しいだけだ。逃げているから、幸せになれない。本当に心が満たされることがなかった。それは、全てを手にしていないからだと思っていた。
周りにいた全ての人間は駒だった。だから、誰のことも容赦なく切り捨てられたし、利用できないものに興味なんて持てなかった。妹のミシェル、親友のアルベルト、ユリア、アイゼア、ウォルフ、セレネー、ヨシュカ、アシュレイ、ルーガン……。
名前も顔も覚えているのに、結局、全てがチェスの道具みたいに見えていた。
若かった頃の自分が記憶に蘇る。
天才だ、選ばれた人間とちやほやされていた。誰もが私に憧れた。誰と比べても優越感が生まれた。
けれども、あまりにも世界がつまらなくて死んだ目をしていた……。
狂気を抱いて道を踏み外してから、初めて世界が輝いて見えた。世界も、人の命も、自分が遊ぶためのおもちゃだった。
もしも痛みを知った人間であったなら、誰かのことを大切にできたのだろうか。
ちゃんとミッシェルのことも愛せただろうか。自分が妹を利用したことを後悔できるような人間になれただろうか。
今更、そんなこと考えても遅いけれども……。
もう一度やり直せれば、誰かを愛せるような人間になれただろうか……。
いや、自分みたいな欠陥品は、無理だろうな。
夜空に浮かんだ一人ぼっちの月みたいに、自虐的な笑みが浮かんだ。
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