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ルジア
ヒーロー登場
しおりを挟む王座には、長い足を組んで頬杖をついて一人の男が座っていた。
周囲には、20人ほどの屍鬼が槍を持って置物みたいに構えている。屍鬼達は、腹を空かせているかのように「がるるるるるるるるるるる」と涎をたらしながら悲鳴をあげているが、縫い付けられたようにその場を動こうとはしない。
男は、宝石みたいに綺麗なプラチナブランドの髪がだらりと伸びている。金色の瞳は、ドラゴンみたいに爛爛と怪しげに光り輝いている。鼻は、カリューカ山のように隆線みたいに綺麗な形で、唇、鎖骨も目を奪われそうになるほど、美しい。
深い青の光沢ある高級感溢れる服装が、彼の魅力をあげている。
そして、頭上には支配の王冠と呼ばれる金の蔦で作成されたような古代の雰囲気がする王冠がつけられている。
こいつが……悪の皇帝ルキフェル・ダナトラスか……。
選ばれた人間のように滲み出る迫力のあるオーラに、圧倒されそうだった。服の下で鳥肌が立った。
「ハデス・ダインスレイブか……。久しぶりだな」
低く滑らかな声でそう話しかけられた。
正面に敷かれたレッドカーペットをゆっくりと歩きながら、男に近づいていく。
「ふん。僕を殺そうとしておいて、よく平気で挨拶できるな」
「そうだな。ただ、お前が懐かしいとも思うよ」
「懐かしい?」
予想外の言葉が出てきて、眉をひそめた。
「ああ。意外なことに、俺の知己で、お前が一番長生きしている」
そのハデスでさえ、もう自殺していない。そう思うと、ルキフェルが何だかかわいそうに思えた。
「知己がそんなに死ぬなんて、お前、死神みたいだな」
「ハデスもな。親族全員殺したと聞いたよ。君らしいね」
「……」
初期の頃、エリュシオンが僕を気持ち悪がっていた理由がよくわかった。そんな人間がある日、僕みたいになったら、誰でも気持ち悪がるだろう。
「お遊びはここまでだ。あの時の続きをしよう。全力で殺し合おうぜ」
「ああ」
ルキフェルが黒い炎をまとわりつかせた長い剣を回しながら近づいてきた。きっと、ルキフェルのことだから、僕を殺そうと思えば魔術でもっと簡単に殺せるだろう。だけど、最後の情けか、自らの手で剣を用いて殺すつもりなのかもしれない。
集中して、剣を握りしめて、ルキフェルの剣の軌道を意識しながら切りかかってきた相手に答える。
カンッとした金属同士がぶつかる鈍い音が響いた。
ギャレットも参戦しようとするが、彼は、死鬼に囲まれて防戦一方になっている。
打ち合いの後に、鋭く剣で突きの動きをされ肩が剣でえぐられた。
「うぐっ……」
「なあ、死ぬ前に白状しろよ。シェリー・ギブソンを殺したのはお前だろう」
苦痛に耐えながら、何とか剣を両手で握りしめる。毒でも塗ってあったのか、切られたところから激痛が走り抜ける。
違う……。最後の情けなんかじゃない……。
こいつは、ゆっくりと僕をなぶり殺していくつもりだ。
シェリー・ギブソンなんて聞いたことない。ハデスが殺したかもどうかわからない。だけど、今はこう答えるしかない。
「僕じゃない」
「嘘つくな」
今度は、反対側の肩が攻撃された。
「白状しろよ。時間はたっぷりあるからな」
美しい皇帝は、残虐な笑みを浮かべながら剣を振りかぶった。
「ぐあああああああああああああああああああああああああああああああっ!!」
右足に剣が突き立てられ、激しい痛みに耐え切れなくなって断末魔のような叫び声があがる。
這いつくばってルキフェルから何とか距離を取ろうとするが、ルキフェルは余裕そうにゆったりとした足取りで近づいてくる。
「きゃああああああああああ!!」
ユリアの声だろうか。女の金切り声が聞こえる。
「離しなさいよ!この無礼者!!」
「ハデス様から離れろ。でなければ、この女を殺す」
エリュシオンは、ユリアの首元に剣を突き付けながら、登場した!!なんて登場の仕方だ!!
「ユリアっ!」
さすがのルキフェルも焦っているようだ。これじゃあ、どっちが悪役だかわからなくなりそうだ。
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