支配の王冠~余命一年の悪役転生から始まるバトルロワイアル~

夜刀神さつき

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アーム

急展

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 彼女になんて話そう。君のスピーチは最高だったと伝えるか。それとも、お疲れ様なんて言葉をかけて終わらすか。

 あいつが作る世界はどんなものになるんだろう。きっと、誰も見たことのない明るいものになるに違いない。
 夢が鳴り止まない。期待で胸が張り裂けそうだ。
 ドキドキと高揚する気分を抑えられないまま、スピーチを終えたネプトとバルドルが入っていったドアを開けた。

 そして、そこにあった光景を見て凍り付いた。

「え……」

 最初に目に入ったのは、白い腕だった。

 バラバラになったネプトと、バルドルだった。
 
 濃厚な血の匂いがするような真っ赤な記憶。

 少女と少年は、切り刻まれた野菜みたいにバラバラになっていた。

「誰がお前たちを殺した?答えろっ!!頼むから答えてくれ!!なんで……。お前が夢を見せてくれたはずなのに、お前が先に死ぬんだよ」

 濃厚な魔術の香りがする。

 この重たく空気がよどんだ感じになるのは、黒魔術だろうか。黒魔術を使用できる人間は、世界中の人間でルキフェル一人だけだ。おそらくネプトに恐れを覚えたルキフェルが、二人を殺したに違いない。

 もっと、3人で旅を続けたかった。
 いつまでも、少女が夢を叶える瞬間を追い続けていたかった。ネプトの瞳がきらめく瞬間に見とれていたかった。
 バルドルとバカみたいな喧嘩をしたかった。兄貴がいたらこんな感じだろうかと想像していた。
 3人で笑いたい。3人でいると、奴隷だった自分がただのどこにでもいる人間になれたようで楽しかった。

 ずっと、泥沼を這いずり回るように生きてきた。
 2人であってから、初めて何かを欲しがることを覚えた。
 夢を追いかけること、希望を持つこと、繋がれた手の温かさ……、気がついたら、二人と出会う前の冷たい人間に戻れなくなっていた。

 自分如きが2人に釣り合わないことは一番よくわかっていた。
 いつか、2人を守るために死にたかった。
 俺が死んだとき2人が泣いてくれたら、どれほど幸せだろうと想像していた。

「……俺一人だったら、夢の叶え方なんてわからないだろうが。ばかやろう……」

 床に流れた血と涙が混ざり合っていく。

「……ろしてやる。殺してやる!!」

 喉が壊れそうなくらいの大声で、呪うように叫ぶ。

「絶対に二人を殺した奴を殺してやる!!」
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