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余命一週間 過去編
残された男
しおりを挟む「……くしょう」
広間にルキフェルが反響する。
返事はもう聞こえない。
「何バカなことを言っているんだよ!ふざけるな。ふざけるなよ!!シェリーだって、お前がいないと幸せになれないだろうが!俺がお前を殺したって、どんあ顔をしてあいつに言えばいいんだ!!何でお前がシェリーを悲しませることをしているんだよ、バカ野郎!」
初めてできた友達だった。
共に学んで、ご飯を食べて、同じ風呂に入った。近くのベッドで眠り、一緒にいたずらだってした。自分の悩み事はいつも彼に相談したし、おもしろいことがあったらすぐに彼と分かち合いたいと思った。
それだけじゃない。俺たちは、世界をひっくり返した共犯者だった。
そんな関係が永遠に続くと思っていた。いつまでも壊れないと、信じて疑わなかった。
「ちくしょう……。ちくしょう……。全部、お前が悪いんだ……」
額に突き刺した剣を引き抜くと、彼は血の池に倒れ込んだ。
モールスが死んだ。
シェリーに何て言えばいいのだろうか。俺たちはどこで間違えたんだろうか。
モールス・ミュルダールは、シェリーと同じくらい特別な人間だった。
貴族なんて腐った豚みたいな奴らばかりで、大嫌いだった。
だけど、お前がいたから、貴族だって捨てたものじゃないと思えた。孤独でいじめられていた灰色の学園生活から、お前が救ってくれたはずだろう。隣にモールスがいるだけで何でもできる気分になった。モールスさえいれば、世界を敵にするのも悪くないって思えた。だから、俺たちは、オルトロス家を滅ぼせた。
お前がいたから俺は……。
「お前……わざと外しただろう……。バカ野郎……」
お前の実力くらい俺が一番わかっている。
俺を見くびるな。お前のことは、何でもわかっている。わかっているつもりだった……。
もう肩を叩いて、一緒に悲しみを分かち合ってくれる親友はいない。一緒に魔術の討論をしてくれたり、お気に入りのあの店でビーフシチューを食べたり、剣を交えたりすることもできない。
俺が殺した。
正義感に満ちながらイフリートを殺した時よりも、ずっと自分の手が汚れて見える。
温かい涙がつたって、唇まで到達する。冷たくなった死体にも涙が落ちていく。
拭っても、拭っても、次から次へと溢れてくるから拭うことに意味なんてない気がした。
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