支配の王冠~余命一年の悪役転生から始まるバトルロワイアル~

夜刀神さつき

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余命一週間 過去編

悲しいエンディング

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 エリュシオンは、真っ暗な部屋で剣を握りしめていた。何度も剣を捨てたいと願うが、剣は手から離れてくれない。

 キイイときしんだ音を立てて、扉が開いていく。

 俺の姿を見た何も知らないジギルは、安心したように微笑んだ。

 お前なんていなければいいのに……。そう言われながら育った。

 いつしか、自分なんていなければいいのにと思いながら……
 自分の居場所なんてどこにもなかった。
 ジギルと出会って自分が存在することを許された気がした。
 守ってやるなんて言われたことは、初めてだった。
 ずっとジギルの隣にいたかった。
 英雄の息子でも、嫌われものの魔族でも、リジル家の一員でもない。ただのエリュシオンとして、ジギルと一緒の時間も過ごして行きたかった。

 ジギルを守る騎士になりたかった。
 そして、いつかジキルのために死にたかった。

「あれ?エリュシオン。どうかしたの?その剣はどこで見つけたの?」

 そうジギルが話しかけてくれるが、何も返事ができないまま剣を握り締め一歩一歩ジギルに近づいていく。

「どうしたんだ?」

 お願いだから、俺を殺してくれ……。
 そう言いたいのに、口が縫い付けられたように何の言葉も出てこない。

「エリュシオンっ!!!」

 おびえたようにジギルが後ずさる。
 怖がらせるつもりなんてないのに……。
 そんな目で見られたくないのに……。
 それでも足は動いてしまう。

 ザクッと剣で心臓を切りつけた。
 
 こんなことのために、剣の腕を磨いたわけじゃないのに……。
 驚いたように彼は目を見開いている。

「どう、して……」

 ジギルの心臓から血が流れ落ちていく。
 その赤い血は、俺の手や剣を染め上げていく。
 その感触に耐えられなくなり剣を引き抜くと、ジギルはバタリと糸が切れた人形みたいに崩れ落ちた。絶望と驚きで揺れていた彼の瞳から、光が失われていく。

 床には血だまりが広がっていく。
 
 カランとした剣が落ちる音が響き渡る。
 一筋の光も見えないような暗闇で生きてきた。
 貴方は、俺の光だった。
 世界は、色づいて明るい方へと照らしてくれた。

『お前なんて生まれなければよかった』
 
 父親に言われた言葉を思い出す。
 そうだ。

 俺なんて生まれなければよかった。

 出会わなければよかった。
 いっそのこと、俺なんて生まれてこなければよかった。
 俺は、ジギルを守る騎士になりたかったのに……。

 俺が……ジギルを……殺した……。

 世界が真っ黒に染まる。
 もう光なんて一筋も見えない。
 自分で過去の自分を絞め殺したい。
 自分の胸に剣を突き刺して死にたくても、自殺をすることを禁じられているからできない。

 もう生きていく理由なんて見つからない。
 全てが絶望で染まった。

 俺が……殺した。
 誰よりも守りたかったはずなのに……。
 生まれてこなければ……よかった。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!!!」

 化物みたいに醜い断末魔の叫び声が生まれた。
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