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アンジェロとの出会い②
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ヨヅキの次は、期待の受験生アンジェロの出番らしい。
名前を呼ばれたアンジェロとガルシア副隊長が中央に出てきた。ハンターの連中は、アンジェロに対して同情した様子だ。しかし、アンジェロは、強そうな敵と当たったというのに、自信に満ちた笑みを浮かべている。
やがて、シリウスの掛け声と共にアンジェロとガルシアの戦いが始まった。次の瞬間、アンジェロがガルシアの懐に入り込み、胸部を狙う。
「え……」
(速すぎる。彼が、瞬間移動したと思うくらい速い!)
ガルシアは、何とかアンジェロの攻撃を避けたが、珍しく彼の顔は険しくなっていた。そんな余裕のないガルシアをアンジェロが素早い攻撃で追い詰めていく。アンジェロの動きは、羽が生えているかのように軽やかで、蜂のように速かった。
「すごい……」
全身の皮膚が泡立つような衝撃が駆け巡る。
(なんて美しいのだろう……。ダンスでも踊るような無駄のない華麗な剣裁き、自信と強さが滲み出る傲慢な笑み、風でなびく金色の髪、ルビーを溶かしたようなキラキラとした瞳……。彼から目を反らすことができない)
ヨヅキは、息を呑み目の前の光景に夢中になる。
彼が戦う姿を見ていると、まるで初恋のような胸の高鳴りを感じた。
やがて、アンジェロは「俺の勝ちだ」と言いながら、ガルシアの首に木刀を突きつけた。彼は、副隊長のガルシア相手に、5分もかからないうちに大勝利を収めたのだ。
「アンジェロ!!!最高だ」
「お前、すごいな」
「ハンター相手に勝つ受験生なんて初めて聞いたぞ」
「天才だ!!」
あっという間に彼は、他の受験生に囲まれた。唯一、ハンターを倒すことができた彼は、すっかりヒーロー扱いだ。そんな彼だけ、スポットライトを当てられたように眩しく見えた。
ジョンとの賭けに負けたヨヅキは、1本あたり半月分の給料もするような酒をおごったが、その日は機嫌がよかった。
(夢に見たような期待の新人が現れた。彼は、この特殊任務課の救世主になるに違いない)
そう確信しながら、スキップしたいくらい高いテンションで帰宅した。
夜になっても、彼のことを思い出してなかなか眠ることができなかった。
入ったばかりの新人は使い物にならなかったし、すぐ死んだり、辞めたりする奴も多かった。だけど、アンジェロは、明らかに特別な選ばれた人間だ。
これから、素敵な未来が待っている気がして、胸が高鳴っていた。
吸血鬼は、人間よりも強いから、特殊任務課は死亡率が高い。だけど、彼のように優秀な人間が入ってきてくれたら、死亡率だって下がるかもしれない。
(あんな素敵な人間が入ってくれて本当によかった。これから変わっていく特殊任務課が楽しみだ。彼のような人間と組めたら、どれほど心強いだろう。彼は、どうして吸血鬼ハンターを目指したのだろう。何が欲しいのだろう。彼のことが知りたい。彼と仲良くなりたい)
もうすぐ、アンジェロと仕事ができる。かわいい後輩ときっと仲良くなれるに違いない。そう思うと遠足を楽しみにする子供のようにワクワクした。
かわいい後輩と仲良くなる理想の未来……。
そんな未来は、木端微塵に粉々にされることになる。
アンジェロが入職した日「やあ。君も一緒に特殊任務課に入った子だね」と言いながら、彼に笑顔で近づいた。
「初めまして、ヨヅキ・ローレンスだ」
そうにこやかに挨拶をしたが、アンジェロは機嫌悪そうに「は?」と睨んできた。
それだけではなく「ヨヅキか。試験のときに見たけれど、弱そうだったな」とバカにし出した。
それを聞いたヨヅキは、理想の彼が死んでしまったような激しいショックを受けた。
(はああああああああああああああああああああああああああ!?ちょっと上手いからって先輩である俺をバカにす
るだと!アンジェロがこんなにクソ野郎だったなんて……)
昨日描いたアンジェロの姿がガラガラと崩れていく。胸に広がっていくのは、激しい損失と怒りだった。怒りに任せて、胸倉をグッと掴み上げる。
「は?何だと?お前、何様のつもりだ?」
ぶちぎれたヨヅキは、アンジェロに喧嘩をふっかけた。そのまま始業式前に木刀でやりあったが、ヨヅキは秒殺されてバカにされた。その結果、アンジェロに対する嫌悪感がさらに積もっていった。
* *
彼は、初めて会った時から、本当に嫌な奴だった。ヨヅキのことをバカにしてマウントばかり取ってきた。まるで、世界を自分のものとでも思っているような傲慢で感じ悪い少年だった。
だけど、あれは、仮面を被った姿だったのだろうか。本当の自分の気持ちを隠すための偽りの姿だったのだろうか。吸血鬼であることを隠すために、へらへらしていたのだろうか。
彼とは、長い時間を過ごして、いろんな姿を見てきたはずなのに、アンジェロのことがわからない。もっとアンジェロのことを知りたい。彼の気持ちと向き合いたい。ちゃんと謝罪をしたい。
次に会ったときは、今とは違う関係が築けるだろうか。
(アンジェロにまた逢うことができますように……)
満月に向かって祈りを込めた時……。
「吸血鬼だあああああああああああああああああ!!!みんな助けてくれえええええええええええええええ!」
夜を切り裂くように、絶望に満ちたヘンリーの声が聞こえてきた。
(一体何が起きた?ハンターの本部に吸血鬼が襲撃だなんて、前代未聞だ。でも、それなら相当自分に自信がある吸血鬼かもしれない。襲ってきたのは、1人ではないのか?俺も助けに行って生き残れる保証はない。だけど、早くヘンリーを助けに行かないと……)
急いでコンパクトミラーを服の下にしまい、近くにあった剣を手に取る。普段使用していた剣は、この間、アンジェロに折られていたが、予備の剣も持ち合わせていた。
廊下に出ると、辺りは、いつもより気温が低く、不気味な雰囲気で包まれている気がした。
名前を呼ばれたアンジェロとガルシア副隊長が中央に出てきた。ハンターの連中は、アンジェロに対して同情した様子だ。しかし、アンジェロは、強そうな敵と当たったというのに、自信に満ちた笑みを浮かべている。
やがて、シリウスの掛け声と共にアンジェロとガルシアの戦いが始まった。次の瞬間、アンジェロがガルシアの懐に入り込み、胸部を狙う。
「え……」
(速すぎる。彼が、瞬間移動したと思うくらい速い!)
ガルシアは、何とかアンジェロの攻撃を避けたが、珍しく彼の顔は険しくなっていた。そんな余裕のないガルシアをアンジェロが素早い攻撃で追い詰めていく。アンジェロの動きは、羽が生えているかのように軽やかで、蜂のように速かった。
「すごい……」
全身の皮膚が泡立つような衝撃が駆け巡る。
(なんて美しいのだろう……。ダンスでも踊るような無駄のない華麗な剣裁き、自信と強さが滲み出る傲慢な笑み、風でなびく金色の髪、ルビーを溶かしたようなキラキラとした瞳……。彼から目を反らすことができない)
ヨヅキは、息を呑み目の前の光景に夢中になる。
彼が戦う姿を見ていると、まるで初恋のような胸の高鳴りを感じた。
やがて、アンジェロは「俺の勝ちだ」と言いながら、ガルシアの首に木刀を突きつけた。彼は、副隊長のガルシア相手に、5分もかからないうちに大勝利を収めたのだ。
「アンジェロ!!!最高だ」
「お前、すごいな」
「ハンター相手に勝つ受験生なんて初めて聞いたぞ」
「天才だ!!」
あっという間に彼は、他の受験生に囲まれた。唯一、ハンターを倒すことができた彼は、すっかりヒーロー扱いだ。そんな彼だけ、スポットライトを当てられたように眩しく見えた。
ジョンとの賭けに負けたヨヅキは、1本あたり半月分の給料もするような酒をおごったが、その日は機嫌がよかった。
(夢に見たような期待の新人が現れた。彼は、この特殊任務課の救世主になるに違いない)
そう確信しながら、スキップしたいくらい高いテンションで帰宅した。
夜になっても、彼のことを思い出してなかなか眠ることができなかった。
入ったばかりの新人は使い物にならなかったし、すぐ死んだり、辞めたりする奴も多かった。だけど、アンジェロは、明らかに特別な選ばれた人間だ。
これから、素敵な未来が待っている気がして、胸が高鳴っていた。
吸血鬼は、人間よりも強いから、特殊任務課は死亡率が高い。だけど、彼のように優秀な人間が入ってきてくれたら、死亡率だって下がるかもしれない。
(あんな素敵な人間が入ってくれて本当によかった。これから変わっていく特殊任務課が楽しみだ。彼のような人間と組めたら、どれほど心強いだろう。彼は、どうして吸血鬼ハンターを目指したのだろう。何が欲しいのだろう。彼のことが知りたい。彼と仲良くなりたい)
もうすぐ、アンジェロと仕事ができる。かわいい後輩ときっと仲良くなれるに違いない。そう思うと遠足を楽しみにする子供のようにワクワクした。
かわいい後輩と仲良くなる理想の未来……。
そんな未来は、木端微塵に粉々にされることになる。
アンジェロが入職した日「やあ。君も一緒に特殊任務課に入った子だね」と言いながら、彼に笑顔で近づいた。
「初めまして、ヨヅキ・ローレンスだ」
そうにこやかに挨拶をしたが、アンジェロは機嫌悪そうに「は?」と睨んできた。
それだけではなく「ヨヅキか。試験のときに見たけれど、弱そうだったな」とバカにし出した。
それを聞いたヨヅキは、理想の彼が死んでしまったような激しいショックを受けた。
(はああああああああああああああああああああああああああ!?ちょっと上手いからって先輩である俺をバカにす
るだと!アンジェロがこんなにクソ野郎だったなんて……)
昨日描いたアンジェロの姿がガラガラと崩れていく。胸に広がっていくのは、激しい損失と怒りだった。怒りに任せて、胸倉をグッと掴み上げる。
「は?何だと?お前、何様のつもりだ?」
ぶちぎれたヨヅキは、アンジェロに喧嘩をふっかけた。そのまま始業式前に木刀でやりあったが、ヨヅキは秒殺されてバカにされた。その結果、アンジェロに対する嫌悪感がさらに積もっていった。
* *
彼は、初めて会った時から、本当に嫌な奴だった。ヨヅキのことをバカにしてマウントばかり取ってきた。まるで、世界を自分のものとでも思っているような傲慢で感じ悪い少年だった。
だけど、あれは、仮面を被った姿だったのだろうか。本当の自分の気持ちを隠すための偽りの姿だったのだろうか。吸血鬼であることを隠すために、へらへらしていたのだろうか。
彼とは、長い時間を過ごして、いろんな姿を見てきたはずなのに、アンジェロのことがわからない。もっとアンジェロのことを知りたい。彼の気持ちと向き合いたい。ちゃんと謝罪をしたい。
次に会ったときは、今とは違う関係が築けるだろうか。
(アンジェロにまた逢うことができますように……)
満月に向かって祈りを込めた時……。
「吸血鬼だあああああああああああああああああ!!!みんな助けてくれえええええええええええええええ!」
夜を切り裂くように、絶望に満ちたヘンリーの声が聞こえてきた。
(一体何が起きた?ハンターの本部に吸血鬼が襲撃だなんて、前代未聞だ。でも、それなら相当自分に自信がある吸血鬼かもしれない。襲ってきたのは、1人ではないのか?俺も助けに行って生き残れる保証はない。だけど、早くヘンリーを助けに行かないと……)
急いでコンパクトミラーを服の下にしまい、近くにあった剣を手に取る。普段使用していた剣は、この間、アンジェロに折られていたが、予備の剣も持ち合わせていた。
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