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集結
しおりを挟むジョン、ニコラスとヘルとの戦いは、なかなか決着がつかなかった。
3人は、廊下から大広間に移動して器物を破損しながらめちゃくちゃな戦いを繰り返していた。ヘルは、何とか1人を殺そうとするが、その隙に背後をもう1人から狙われるため、戦いづらそうにしていた。ジョンとニコラスも、身の危険を感じるとすぐにヘルから距離をとっていた。
このまま永遠に戦い続けるかのように思えたが、「何をやっているんだ?母さん」という男の声が響き渡った。
その瞬間、ジョンとニコラスの顔が絶望で染まる。
ヘルは、背後にいた黒髪の男を見つけると「ルミティス!」と顔を輝かせた。
「あいつら、逃げてばかりで、なかなか殺せないのよ」
「はっ。雑魚のくせにあがくなんて。でも、俺は3匹殺したぜ」
その言葉で、ジョンとニコラスはショックのあまり凍り付いた。
「さすが長男だわ」
ヘルは、パチパチと手を叩きながらルミティスを褒めた。
「もう2匹も俺に任せろ」
「私も手伝うわ」
そして、ルミティスの背後から「私にも手伝わせてくれ」というミクトランの声が響き渡る。
「あなた♡」
ヘルは、ミクトランに甘えるように抱き着いた。
「待たせたな、ヘル。もう大丈夫だ」
ミクトランも、ヘルを抱きしめながら、ハチミツのように甘い声を出す。
その様子を見て、ジョンは「くそっ」と悪態をつきながら、近くの壁を叩いた。
(俺の判断ミスだ。こんなことなら、リスクをとってヘルを殺すように努力するべきだった)
「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。もうダメだああああああああ。俺達は、どうせここで死ぬんだ」
ニコラスは、もう全てを諦めたかのように発狂し出した。ジョンも、慰めの言葉が出てこない。
その時……
「お前ら、生きているか?」
闇を切り裂くようにヨヅキの言葉が、背後から響き渡った。
「ヨヅキ」
ジョンの前には、ヨヅキから後光がさしているように光り輝いて見えた。
「ジョン!お前も生きていたのか」
「……俺は、生き残るため、二人で逃げながら戦っていただけだ」
情けなくて目を反らすが、ヨヅキはホッとしたように「お前が生き残ってくれて嬉しいよ」と言ってくれた。
「俺は、ヨヅキに借りを返す前に死ぬわけない」
「そうだな。お前に貸したお金、まだ一回も返ってきてないよな」
そんな風に軽口を叩いているが、状況が絶望的なのはわかっていた。
こちらは3人で、向こうは3人。人数は、同じだが吸血鬼は、人間の身体能力を遥かに上回る。稀に1VS1で殺せるものもいるが、ここまで生き残った吸血鬼は、かなりの実力者だろう。
どうやって戦えばいいのか……。こちら側は、1人でもかけたら勝利は絶望的だ。
ふいにヨヅキの背後から、茶髪の男が近づいてきた。
「うぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!吸血鬼だ!もうひとり来たああああああああああああああああああああああああああああ!」
ニコラスはついに白目を剥いたが、男は「違う。シリウスだ!バカ野郎!!!」と怒鳴りつけた。
「すすすすいません。眼鏡がなかったから……。隊長!俺達は、どうすればいいんですか」
ニコラスの悲痛な声が響き渡る。
「ここにいるのは、この4人か」
シリウスは、静かに辺りを見渡しながら状況を整理する。
(向こうにいる吸血鬼は、3人。男だ2人に、女が1人。こいつらの誰かが、ガルシアとイーゴリのペアを殺したと考えると、相当強いものが紛れている。この場にいるハンターは、俺、ヨヅキ、ジョン、ニコラスだけ。残りの者は、死体を確認したわけはないが、全員、殺されたのだろう)
シリウスは、少しだけ目を閉じた後、再度周囲を見渡して、重たそうにゆっくりと口を開いた。
「吸血鬼ハンター隊長としてお前らに命じる」
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