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後編
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あれから半年ほど経った。
俺が愛していると言って抱くとリセリーは乱暴にしてくれと泣く。
「愛される資格なんてないんです」
俺はあいつが望んでいるようにあいつを抱けなかった。代わりに俺は体と心で想いを伝えた。優しくすればするほど体を震わせて喜ぶのに事が終わるころにはあいつはずっと泣いていた。
何度も俺が『リセリーは奴隷として売られて俺が買った時点でもう罪を償った。俺が奴隷紋を強化したのはリセリーと離れたくなかったからだ』と想いを伝えるとあいつは泣いて喜んだ。
だが、リセリーの中で罪悪感は増していく。最初に会った時のように罵ってくれと泣く。
俺はリセリーに幸せになって欲しかった。だから、愛し、優しくした。
だが、それではリセリーは苦しむばかりだ。
愛しても苦しくて辛くて衝動的にあいつを罵り、叩き、犯してしまった。その度にリセリーは涙を流しながら、リセリーだけが望む罰を受け入れた。追い詰められて何も考えられなくなることをあいつは喜んでいた。
優しくするとリセリーは心で喜びながらも罪悪感で壊れる。
痛めつけると俺は一時的な興奮を得られるが後は虚無と苦しみが押し寄せて耐えきれなくなってくる。
どちらが正解なのか分からない。
お互いに狂った獣のように交わって、泣いて、抱きしめ合う。
殺してやれば楽になるのかもしれない。でもあいつがいない世界で俺は生きてはいけないと思う。このままだと脅迫が現実になる日が近い気がする。
◆◆◆◆◆
何日過ぎたかは忘れたが、異国の聖女は力を失ったという新聞が号外で配られた。リセリーもそれを見ているだろう。
◆◆◆
夜中に目を覚ますと隣には誰もいなかった。
いつもならここで「ごめんなさい」という泣き声が聞こえてくるはずなのに。
「リセリー?」
名前を呼ぶが返事はない。
起き上がり、リセリーを探したがどこにもいない。
家の中を探しても見つからなかった。
外も探した。奴隷紋の力であいつの場所を突き止めると近所の小さな川が流れている橋の上にいた。膝を抱えて座り、体を小さくして見つからないようにしていたのだろうか。
「リセリー」
「……ご主人様」
「お前は何をしているんだ」
「……川を見ていました」
「……そうか」
「……ご主人様」
「なんだ」
「……私を殺してください」
「……」
「……私は生きている資格なんてありません」
「……」
「……私のせいで幼馴染は死にました。私がいるせいで
私の家族や友人は不幸になりました。聖女様は私が生きているから神様の罰を受けて……」
リセリーが膝を抱えて座っている横に立った。
リセリーが見上げる。月明かりが俺達を照らした。リセリーの瞳からは涙が流れ続けている。
俺はリセリーの隣に座って肩を抱き寄せた。
リセリーが俺に寄りかかってきた。甘い香りが強くなる。
「お前のせいじゃない。お前は聖女を騙った幼馴染や親に騙されていたんだ。悪いのはあいつらのほうだ」
「でも、私が馬鹿正直に信じてしまったから。あの時に止めていれば誰もあんなことには」
「そうだとしてもだ。聖女達側にももっと早くから打てる手があったはずなのに何もしなかったんだぞ」
「私が聖女様に意地悪をしなければ誰もこんなことにはならなかったんです!」
「聖女に何をしたか、そんなことどうだっていい!あいつらはお前を殺すつもりだったんだ!あいつらは殺されても仕方がない」
「なんで……?皆が私を殺そうとするの?」
奴隷商人の言葉。たまに入ってくる聖女のニュース。リセリーは過去を含めて自分の知らないところで自分の身に何が起きているのか全く理解していなかった。
◆◆◆
太っていてもお人好しで、明るく活発でおせっかいだったリセリー。
両親は金や権力に弱いごく普通の貴族。親としても良い親ではなかった。
幼馴染は繊細でか弱く、いつもリセリーの後ろを歩いて守られていた。
それが一変するのが聖女と外見の特徴が同じだった幼馴染の企みからだった。自分が聖女だと子供のような嘘をつき、皆の気を引いた。小さな回復魔法が使えるせいでそれは信憑性が増し、周囲が聖女かどうか禄に調べず祭り上げた。
リセリーも幼馴染のためにと思って悪い方向にそのお人好しを発揮してしまった。
後に引けなくなった嘘つきの幼馴染と聖女の威光を借りたがった取り巻き。しかし本物の聖女が分かった途端に真の聖女へ嫌がらせを開始し、口車に乗せられたリセリーもそれに加担してしまった。
悪事がバレはじめるとその全ての責任を行動力のあるリセリーに押し付けようとした。そうなる前に彼女が国外追放になったのは、皮肉にも自分の両親が落した隠し帳簿を拾ったリセリーが、それを落とし物だと届けだしたことから彼女の両親の悪事が発覚したからだ。
一家は国外追放を命じられたが国外でやっていけるわけもなく一家は離散。リセリーが奴隷商人に捕まって移動している間に幼馴染達は聖女へ行なってきた悪事を裁かれて処刑された。
俺はリセリーを抱きしめて泣いた。
「お前は何も悪くない。お前は利用されただけだ。俺の力を使って亡くなったお前の幼馴染達に聞いたんだ」
「え?」
「ネクロマンシーの力で幼馴染たちの霊と話をしたんだ。俺には死んだ人間と会話できる能力がある。それで全部教えてもらった」
「……ご主人様、どうして」
「リセリーを救ってやりたかったからだ。俺がリセリーを買った時からずっとお前のことを見ていた。お前はいつも一生懸命で優しい女の子だった。俺はお前のことが好きだ」
最初は女というより家を快適に保つための奴隷だった。だが多少の嘘は許して欲しい。今は心からリセリーが愛おしいんだ。
「ご主人様……」
「リセリー。お前の幼馴染達は自分がリセリーを騙してしまったことも聖女へひどいことをしたことも後悔していた。そして死んだ後に罪を償う修行場で罪を償い、生まれ変わって人々を助けると約束してくれた。だからもう自分を責めるのはやめろ」
「……はひ、ぁぁぁ……みんな……ぅぅぅ……」
「もう泣くな」
「……はい。……っぐす……ひっく……ありがとうございます……」
リセリーは泣き止むまで俺の胸の中で泣いていた。
俺は嘘をついた。リセリーの事を知りたくて幼馴染達の霊を呼び出したのは確かだ。
だがあの悪霊どもは反省どころかリセリーへの恨みの言葉を俺に投げつけてきたので地獄に戻しておいた。
俺はリセリーの肩を抱き、二人で寄り添って月の下を歩いて帰った。
◆◆◆◆◆
リセリーが明るさを少しづつ取り戻すようになり、俺に暴力を求めなくなってきた。
「今日もお気をつけて。アレン、様」
「ああ、行ってくる」
相変わらず太い体だがつま先立ちで俺にキスしてくれる彼女が愛おしい。やっとアレン様とだが名前を呼んでくれるようになり、この頃は呼び捨てで呼ぶ努力をしてくれている。
外では今日も「聖女様が力を取り戻す修行のために―――」という新聞や雑誌の記事の見出しが大きく目立つように書かれていた。
俺があれからも霊を使って独自に調べているうちに、向こうの国に現れた聖女が実は「ギフト」という力で得た「強奪」で癒やしの力を誰かから奪っていたことが分かった。それは聖女の力がなくなった原因を探っているうちに向こうの国も知ることとなり、今は聖女が聖女ではなかったという混乱を起こさないように秘匿されている。
俺が知った情報や正真正銘の聖女がどこにいるかを新聞社や出版社に流したらどうなるだろうか。そんな事を俺は考えてすぐに止めた。
奴隷紋を強化した時にリセリーの奪われた力が戻ってきた。
強化された奴隷紋によって奴隷の能力は主人と本人以外は行使出来ないようになったからだ。
そしてまさか聖女の「癒やしの力」の源がリセリーだとは本人は思っていない。知っていたら幼馴染達を助けるために国の歯車に真っ先になったはずだ。
俺がそれを知ってからもそのまま力は封じずリセリーの体に残している。
だがリセリーを聖女にするつもりはない。
奴隷紋は解除してやれないが妻に娶ろうとおもっている。
俺が街の者に嫌われているのは俺が女を抱くと壊れてしまうからだ。暴力をふるったり自己中心的に事をしているわけではなく、肉体が中毒症状になり俺から離れられなくなるからだ。
ただでさえネクロマンサーは不気味だと恐れられるのにそんな男と交際させたい女の親はいないし女もいない。
春の売り子を管理する者からは他の客を取らなくなる可能性が高くなるから止めてくれと言われている。
そんな俺が抱いても、偽聖女に「癒やしの力」を吸収されながらも抗える彼女が欲しいと思うのは当然だ。力が戻った今の彼女には自動回復がそなわっているので俺が遠慮せずに二人で夜を楽しむ事ができる。
それになによりも匂いと性格が良い。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
「今日の飯は何だ?」
「はい!今日はですね、魚介たっぷりのオイル煮にしました。あとアレンが好きな豆のパンも買ってきたんですよ」
俺の隣で笑って、美味い物を食べて喜び、俺の愛を一身に受けていればいい。だからリセリーは何も知らなくていい。
[完]
俺が愛していると言って抱くとリセリーは乱暴にしてくれと泣く。
「愛される資格なんてないんです」
俺はあいつが望んでいるようにあいつを抱けなかった。代わりに俺は体と心で想いを伝えた。優しくすればするほど体を震わせて喜ぶのに事が終わるころにはあいつはずっと泣いていた。
何度も俺が『リセリーは奴隷として売られて俺が買った時点でもう罪を償った。俺が奴隷紋を強化したのはリセリーと離れたくなかったからだ』と想いを伝えるとあいつは泣いて喜んだ。
だが、リセリーの中で罪悪感は増していく。最初に会った時のように罵ってくれと泣く。
俺はリセリーに幸せになって欲しかった。だから、愛し、優しくした。
だが、それではリセリーは苦しむばかりだ。
愛しても苦しくて辛くて衝動的にあいつを罵り、叩き、犯してしまった。その度にリセリーは涙を流しながら、リセリーだけが望む罰を受け入れた。追い詰められて何も考えられなくなることをあいつは喜んでいた。
優しくするとリセリーは心で喜びながらも罪悪感で壊れる。
痛めつけると俺は一時的な興奮を得られるが後は虚無と苦しみが押し寄せて耐えきれなくなってくる。
どちらが正解なのか分からない。
お互いに狂った獣のように交わって、泣いて、抱きしめ合う。
殺してやれば楽になるのかもしれない。でもあいつがいない世界で俺は生きてはいけないと思う。このままだと脅迫が現実になる日が近い気がする。
◆◆◆◆◆
何日過ぎたかは忘れたが、異国の聖女は力を失ったという新聞が号外で配られた。リセリーもそれを見ているだろう。
◆◆◆
夜中に目を覚ますと隣には誰もいなかった。
いつもならここで「ごめんなさい」という泣き声が聞こえてくるはずなのに。
「リセリー?」
名前を呼ぶが返事はない。
起き上がり、リセリーを探したがどこにもいない。
家の中を探しても見つからなかった。
外も探した。奴隷紋の力であいつの場所を突き止めると近所の小さな川が流れている橋の上にいた。膝を抱えて座り、体を小さくして見つからないようにしていたのだろうか。
「リセリー」
「……ご主人様」
「お前は何をしているんだ」
「……川を見ていました」
「……そうか」
「……ご主人様」
「なんだ」
「……私を殺してください」
「……」
「……私は生きている資格なんてありません」
「……」
「……私のせいで幼馴染は死にました。私がいるせいで
私の家族や友人は不幸になりました。聖女様は私が生きているから神様の罰を受けて……」
リセリーが膝を抱えて座っている横に立った。
リセリーが見上げる。月明かりが俺達を照らした。リセリーの瞳からは涙が流れ続けている。
俺はリセリーの隣に座って肩を抱き寄せた。
リセリーが俺に寄りかかってきた。甘い香りが強くなる。
「お前のせいじゃない。お前は聖女を騙った幼馴染や親に騙されていたんだ。悪いのはあいつらのほうだ」
「でも、私が馬鹿正直に信じてしまったから。あの時に止めていれば誰もあんなことには」
「そうだとしてもだ。聖女達側にももっと早くから打てる手があったはずなのに何もしなかったんだぞ」
「私が聖女様に意地悪をしなければ誰もこんなことにはならなかったんです!」
「聖女に何をしたか、そんなことどうだっていい!あいつらはお前を殺すつもりだったんだ!あいつらは殺されても仕方がない」
「なんで……?皆が私を殺そうとするの?」
奴隷商人の言葉。たまに入ってくる聖女のニュース。リセリーは過去を含めて自分の知らないところで自分の身に何が起きているのか全く理解していなかった。
◆◆◆
太っていてもお人好しで、明るく活発でおせっかいだったリセリー。
両親は金や権力に弱いごく普通の貴族。親としても良い親ではなかった。
幼馴染は繊細でか弱く、いつもリセリーの後ろを歩いて守られていた。
それが一変するのが聖女と外見の特徴が同じだった幼馴染の企みからだった。自分が聖女だと子供のような嘘をつき、皆の気を引いた。小さな回復魔法が使えるせいでそれは信憑性が増し、周囲が聖女かどうか禄に調べず祭り上げた。
リセリーも幼馴染のためにと思って悪い方向にそのお人好しを発揮してしまった。
後に引けなくなった嘘つきの幼馴染と聖女の威光を借りたがった取り巻き。しかし本物の聖女が分かった途端に真の聖女へ嫌がらせを開始し、口車に乗せられたリセリーもそれに加担してしまった。
悪事がバレはじめるとその全ての責任を行動力のあるリセリーに押し付けようとした。そうなる前に彼女が国外追放になったのは、皮肉にも自分の両親が落した隠し帳簿を拾ったリセリーが、それを落とし物だと届けだしたことから彼女の両親の悪事が発覚したからだ。
一家は国外追放を命じられたが国外でやっていけるわけもなく一家は離散。リセリーが奴隷商人に捕まって移動している間に幼馴染達は聖女へ行なってきた悪事を裁かれて処刑された。
俺はリセリーを抱きしめて泣いた。
「お前は何も悪くない。お前は利用されただけだ。俺の力を使って亡くなったお前の幼馴染達に聞いたんだ」
「え?」
「ネクロマンシーの力で幼馴染たちの霊と話をしたんだ。俺には死んだ人間と会話できる能力がある。それで全部教えてもらった」
「……ご主人様、どうして」
「リセリーを救ってやりたかったからだ。俺がリセリーを買った時からずっとお前のことを見ていた。お前はいつも一生懸命で優しい女の子だった。俺はお前のことが好きだ」
最初は女というより家を快適に保つための奴隷だった。だが多少の嘘は許して欲しい。今は心からリセリーが愛おしいんだ。
「ご主人様……」
「リセリー。お前の幼馴染達は自分がリセリーを騙してしまったことも聖女へひどいことをしたことも後悔していた。そして死んだ後に罪を償う修行場で罪を償い、生まれ変わって人々を助けると約束してくれた。だからもう自分を責めるのはやめろ」
「……はひ、ぁぁぁ……みんな……ぅぅぅ……」
「もう泣くな」
「……はい。……っぐす……ひっく……ありがとうございます……」
リセリーは泣き止むまで俺の胸の中で泣いていた。
俺は嘘をついた。リセリーの事を知りたくて幼馴染達の霊を呼び出したのは確かだ。
だがあの悪霊どもは反省どころかリセリーへの恨みの言葉を俺に投げつけてきたので地獄に戻しておいた。
俺はリセリーの肩を抱き、二人で寄り添って月の下を歩いて帰った。
◆◆◆◆◆
リセリーが明るさを少しづつ取り戻すようになり、俺に暴力を求めなくなってきた。
「今日もお気をつけて。アレン、様」
「ああ、行ってくる」
相変わらず太い体だがつま先立ちで俺にキスしてくれる彼女が愛おしい。やっとアレン様とだが名前を呼んでくれるようになり、この頃は呼び捨てで呼ぶ努力をしてくれている。
外では今日も「聖女様が力を取り戻す修行のために―――」という新聞や雑誌の記事の見出しが大きく目立つように書かれていた。
俺があれからも霊を使って独自に調べているうちに、向こうの国に現れた聖女が実は「ギフト」という力で得た「強奪」で癒やしの力を誰かから奪っていたことが分かった。それは聖女の力がなくなった原因を探っているうちに向こうの国も知ることとなり、今は聖女が聖女ではなかったという混乱を起こさないように秘匿されている。
俺が知った情報や正真正銘の聖女がどこにいるかを新聞社や出版社に流したらどうなるだろうか。そんな事を俺は考えてすぐに止めた。
奴隷紋を強化した時にリセリーの奪われた力が戻ってきた。
強化された奴隷紋によって奴隷の能力は主人と本人以外は行使出来ないようになったからだ。
そしてまさか聖女の「癒やしの力」の源がリセリーだとは本人は思っていない。知っていたら幼馴染達を助けるために国の歯車に真っ先になったはずだ。
俺がそれを知ってからもそのまま力は封じずリセリーの体に残している。
だがリセリーを聖女にするつもりはない。
奴隷紋は解除してやれないが妻に娶ろうとおもっている。
俺が街の者に嫌われているのは俺が女を抱くと壊れてしまうからだ。暴力をふるったり自己中心的に事をしているわけではなく、肉体が中毒症状になり俺から離れられなくなるからだ。
ただでさえネクロマンサーは不気味だと恐れられるのにそんな男と交際させたい女の親はいないし女もいない。
春の売り子を管理する者からは他の客を取らなくなる可能性が高くなるから止めてくれと言われている。
そんな俺が抱いても、偽聖女に「癒やしの力」を吸収されながらも抗える彼女が欲しいと思うのは当然だ。力が戻った今の彼女には自動回復がそなわっているので俺が遠慮せずに二人で夜を楽しむ事ができる。
それになによりも匂いと性格が良い。
「ただいま」
「おかえりなさいませ」
「今日の飯は何だ?」
「はい!今日はですね、魚介たっぷりのオイル煮にしました。あとアレンが好きな豆のパンも買ってきたんですよ」
俺の隣で笑って、美味い物を食べて喜び、俺の愛を一身に受けていればいい。だからリセリーは何も知らなくていい。
[完]
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