状況の人、異世界で無敵勇者(ゲームチェンジャー)を目指す!―加筆修正版―

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状況の人、異世界へ転移する

状況の人、指南役を得る4

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「もちろんある。あそこは肉もさる事ながら果物が上手い。それらを使った甘味が、なかなか侮れん」
「国体はどんな感じかな? 魔族や魔物の国と聞いてるけど」
「元首は魔導王フェアーライト。その直下に6人の魔王がいて、それぞれが各地方領主を束ねて治めている。まあ人間で言う地方の有力貴族だな。以前は各魔王の同族や眷属ごとに集まって街を作っていたが最近はそれぞれの部族との交流も盛んになり、種族ごとの垣根は無くなってきている。先住の人間族も数は少ないが居るはずだ。人間の国で獣人やエルフらが同居しているようにな。魔力の強い連中が多いせいか魔素が濃くてな。魔獣は人間族の国より大型・凶暴である傾向が強いかの?」
「20年くらい前に戦争があったらしいな? アデリアに比べて国力とか戦力とかどんなもんだろ?」
「まあ、それほど詳しい訳では無いが……魔導王国の方が若干上であろうな。人口は少ないが魔法戦力は人間を上回っておるし、体格的にも優位だ。お主ら、本気であの連中にケンカ売る気か?」
「やりたくてやる訳じゃ無いけどな~。なんとか魔導国を占領なり併合なりさせて宝珠を手に入れないと、洋子を帰してやれないし」
「言っておくが我はその戦いには干渉せんぞ? 国家間のいざこざに巻き込まれるような面倒はごめんだ」
「情報をくれるだけでもありがたいさ。でもお前らの立ち位置ってどうなってんだ? お前らほどの戦力なら、どこの国も引く手数多だろうに」
「言ったであろ? 我ら古龍は自由なのだ。干渉もしないし、されたくもないわ」
「俺たちじゃあ言えないセリフだな。自由には、それを維持する力が必要って訳かね」
「かつてはどっち付かずの不信感やら、功名心欲しさから我ら古龍を狙う輩も居ったがことごとく撃退しておるからの。自然と相互不干渉が成り立ってきたわ」
「なるほどね~」
 龍海は一本目のビールを飲み干した。
「お主らの素質も並みの人間からは、かけ離れとるぞ? ヨウコの帰還さえ諦めれば、いずれ我と同じくらいの自由人になれる能力持ちになるのではないかな?」
「それを諦める訳にはいかないから頭抱えてる訳でな。まあ、お前の言う通り俺たちに王国を救う英雄の素質があったとしてだ、一人や二人の人間が戦況を一気にひっくり返すってのがどうもピンと来ねぇんだよなぁ」
「そうよのぅ。過去の事例を見れば、どの戦線でも武勇に優れた人物が突破口を開いて、あとの軍勢がそれに続いて敵を撃退する、そんなパターンが多いかの」
「その先頭の人物が勇者だとか英雄とかと呼ばれるわけか」
「それを導く指揮官とかもな」
「やっぱりピンと来ねぇ。軍事訓練受けたっても、こちとらバイト呼ばわりの陸士長どまりだからなぁ」
 パシュ!
 二本目のビールを開ける。
「で、魔導王国の話を聞き出したってからには、今後はそちらへ向かう気でおると言う事かの?」
「そのつもりだ。魔族や魔物だのはまだゴブリンとしか、やり合って無いからな」
「ふむ、ゴブリンは雑兵・雑役と広く使える代わりに強さもおつむも大した事は無いのが多い。繁殖力も強く、亜種も多くて低レベルの者共は人間のみならず、魔族まで捕食しおる。そういう集団は街には住み付かず、辺境で群れとるようじゃな」
 イーナを襲ったゴブリンは、その類の様だ。
「やっぱ人を喰うのもいるのかぁ」
「その辺りは言葉は通じても、もはや魔獣と言って差し支えあるまい。かと思えばエリート魔族と引けを取らん知力や魔力を持っておる者も居るし、武力に秀でる個体も散見されるの」
「魔法を使う個体もいるのか。そういやトレド達は俺がメージオーガとか言うのに襲われたと勘違いしてたなぁ」
 いや、勘違いわけだが。
「オーガ族でも魔法に長けた個体は、そんな風に言われるとるの」
「やっぱ魔族って好戦的なのか?」
「まあ、人間並みには好戦的かの」
「20年前にはアデリアに攻め込んだわけだし?」
「だから人並みに、とーておる。実際、我はその頃は別の大陸にったから、小耳に挟んだ程度だわ」
「とりあえず、今までより国境沿いを進んでみようかな? 魔族がどれくらいの強さを持っているのか、少しでも知っておきたい」
 龍海の言に四本目のビールを開けながらカレンは少しばかり眉をひそめた。
「ちと軽く考えとりゃせんか? 偵察のつもりかも知らんが、即・会敵も珍しくないぞ? お互いの狩場でのいざこざもちょくちょく有るし、軍隊が出張って来るほどはそうそう無いにしても、魔族にも地回りや盗賊はるし」
「人間並みにってのは世相も含めてか……」
「昔、魔族は世界各地に生息しとってな。ヒト族と比べて異形・異能なものが多い魔族は差別や虐待も多かったらしい。そんで世界中から安住の地を求めて大陸の端にある今の魔導王国の地域に流れ着き、種族ごとに集落を作り始めたというのが定説だな。知らんけど」
 ――最後でブチ壊すな!
「まあ我の眼からしたら魔族も人間も大差ない。お主も敵は魔族ばかりとは思わん事だ。魔族も人間もお互いに狙い合うからの」
 龍海はため息をついた。世界は変わってもその辺は変わらないらしい。てか、その方が自然なのか?
 三本目を開ける気が無くなってくる龍海である。


 翌日、朝食を済ませた龍海ら一行は、カレンの服や装備を求めて街へ出た。
 本人はジャージの着心地の良さを気に入ってはいたのだが、部屋着としてはともかく冒険者の使用に耐えるかと言うと心許ないのは明白である。
 龍海としては隠しきれないおヘソや、ファスナーをこれでもかと苦しめる豊満なお胸と、薄っすら浮かぶぽっち乳頭の眼福も、もうお別れかと思うと一抹の寂しさは感じてはいたが。
 生地を選び、仕立て屋で誂えてもらう――のもいいのだが、それだと侍女総掛りで誂えた洋子とは異なり、大方が個人商店であることから日数が掛かってしまうので、取りあえず古着屋で適当に選んでみる事に。
 上下の肌着を見繕い、パンツはレザー製で寸法がピッタリ合うのが有ったのでそれをチョイス。
 シャツはとにかく巨大なお胸を納められるサイズを選ぶわけだが、そちらを優先すると必然的に腰辺りがガバガバになり、付き合っている洋子の口をへの字に歪ませてしまってたり。
 加えてフード付きの腰まで丈のあるケープ、靴はちょうどいいサイズの中に軽そうな短靴が有り、カレンはそれを所望。
「既製品の服なんて無いのね」
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