姫最後の日~少女達の覚悟

彩優輝

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鞠姫の最期

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昨日で16歳になった。
この家に輿入れして2年…本当に幸せばかりだった。
鞠姫は静かに回想する。

14歳の時、次期当主の正室に迎えられた。
婚儀で初めて見る夫の横顔は、凛々しかった。
新枕の儀は緊張ばかりだった。
何も分からず、真っ白な夜具をするすると脱がされていった。秘所を愛撫される初めての感覚…脚を開き、全てを委ねるばかりだった。男性器は大きく力強く、私の秘穴を広げていく。一度つっかえるような感じがして、その後に一気に貫かれた。全身に走った痛みと衝撃…。
夫君はしばらく後、私の中に子種を注いで果てた。
お腹の中に熱く広がる感覚が愛おしかった。
夜具に桃色の液がつき、大人の女性になった実感が急に広がった。

来る日も、夫君は私を愛してくれた。
私も求め合った。世継ぎを宿すため、子種を受け入れ続けた。身ごもったのは、15歳も終わりに近づいた頃だった。徐々にふくらむ腹部を撫でながら、未知の出産へと期待を膨らませてきた。
やっと、いま産み月に入った。ぱんぱんに膨らんだ臨月の腹。ただ…私は出産の痛みを知ることはない。これから夫君とともに、死ななければならない。


「それでは、始めよ!」
検視役の侍が声をあげた。
夫君は、敵方に内通の疑いをかけられた。
真偽はわからない。ただ、強大な同盟国の怒りをかい、夫婦での切腹を申し付けられたのだった。

夫君は、従容と切腹に臨む。
短刀を静かに抜き、懐紙で包んだ。そうして、三方にそっと置く。続いて、白装束の前をゆっくりと広げ、腹を露出させた。なで回し、呼吸を整えていく。
短刀を手にとった。鞠姫の胸が高鳴る。涙が溢れた。
気合いとともに、左腹に突き立てた。そのまま、右へ裂いていく。見ていられず、顔を伏せた。
気合いとともに介錯の刀が振るわれた。
血を吹き出し、夫君は事切れた。
さぁ、私の番だ。


鞠姫は切腹の座へ進み、ゆっくりと座った。
夫君のように、刀を懐紙で包んでいく。
白装束の前を広げると、大きな腹部が露になった。
名残惜しくなで回す。
いざ、夫君の元へ…。
短刀を突き立てると焼けるような痛みが襲った。
気合いを入れて腹を裂いていくが、うまく切れない。
吹き出す血液。「もう切ってください」
介錯に頼み、首を前へ。衝撃とともに、永遠の暗闇が訪れた。
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