姫最後の日~少女達の覚悟

彩優輝

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愛姫の最期

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いつになれば、終わりが来るのだろう…
今日も変わらぬ景色。
6畳の部屋からは、出ることを許されない。
少し体調を崩したのだろうか。
気だるい気分に、ため息をひとつついた。


…小国の姫だった私は、10歳で敵国に囚われの身となった。城主の父や、母、兄ら家族は皆、殺されたと聞く。でも私だけ、助けられた。何故だかはわからない。およそ3年前のあの日から、この部屋に押し込められてきた。そして今日、私はその理由を知ることになるのだった。絶望のはじまりだ。



「あれ、血…」
私は、秘部に生暖かい感覚を覚えた。
着衣をまくって確認すると、出血があることに気づく。初潮だった。13歳の少女の体は、女になる準備を整えたのだ。ただ、これこそ始まりだった。
その日から2週間ばかりたった夜、私は沐浴をさせられた。嫌な予感しかしないが、反抗は許されない。
純白の着衣で引き出されたのは、敵国の君主の前だった。
「これより、授精の儀を行う」
近習が一斉にかけより、私の衣服を乱暴に脱がせていく。秘所をあらわにした私は、仰向けに寝かされ、両脚を広げた姿で取り押さえられた。
君主がにやにやとしながら、下半身をあらわに近づいてくる…私は全てを悟った。
仇の子を宿されるのだ…
絶望を、激痛が書き消す。下半身をみると、深々と男性器が突き刺さっている。処女膜を貫かれた痛みであった。快感など皆無。乱暴な交合の末、私の体内に温かい感触が広がった。



半年後。
私は丸く膨らむ腹部をそっとなで回した。
来る日も来る日も性交を命じられ、少女は新たな命を宿したのだ。敵の子を生む…これも戦国の習い。
ただ、私は甘かった。今日が短い人生に別れを告げる最期の日になるとは…



いつものように居室でくつろいでいると、あわただしく侍たちが入ってきた。どこか、様子がおかしい。「姫、本日割腹の儀と相成りまする…」
侍は私の手足を素早く縛り、抵抗できないようにした。居室には慌ただしく、白基調の敷物がしかれ、私は部屋の中央に仰向けに寝かされた。
君主がドカドカと入ってくる。
「始めい!」
手足を押さえられた私に、侍が群がって着物を脱がせにかかった。何をする気か。
「これより、姫のお命を頂戴致す。敵国の姫が当家の血筋を宿すとは許されぬこと。腹を裂き、胎児も取り出して処刑と相成った」


私は、大きく膨らんだ腹部をあらわにした状態になった。そこへ、短刀を手にした侍が近づいてくる…
「では、始めまするぞ」
短刀を紙で巻き、私の腹にあてがう。
涙で景色が歪んだ。怖い、切らないで…
願いもむなしく、焼けるような痛みが襲った。
腹を真横に勢いよく裂かれている。
あふれる出血。私の意識は途切れた。



「結構育っておったか」
腹部を開かれた愛姫は、泡を吹いて絶命していた。
胎児まで取り出され、おびただしい出血が居室を濡らしている。
これもまた、戦国の世の習いである。
    
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