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しおりを挟む「なんか、まことに申し訳ない」
「なにが」
「いや、だってほら」
「だからなに」
だからなに。
目を見て、やっと気づいた。だからなに。
これだけ人を突き放した言葉があったものか。
「俺はでしゃばらない方がいい?」
「単語帳忘れるような奴だしねぇ」
「失くしたんだって。 なぁ、俺はどうしたらいい」
「単語帳買えばいいんじゃない?」
「なるほどね」
―――――――――――――――――――――――――――
「無害そうな顔してんのになぁ」
作っていた無表情が崩れた。はっきりとした嫌悪。
俺はそれが今まで見てきた誰よりも不細工だと思った。
音を立てて再構築されたその顔は、やはりどこか引きつっている。
「そうですか」
「あなたがだよ」
止める手、止まる息。
彼女の視界の端の俺。
「へぇ」
―――――――――――――――――――――――――――
「かっぼそい縁だこと」
たぶん近づいたら逃げられる。許してくれない。
お前なら大丈夫だからとか言っといて結局肝心なとこには入れてくれない。
もう窓の外には木のシルエットと青のグラデーションしか残っちゃいなかった。
「腐ってしまえばいいと思うよ
君との縁なんて、腐ってしまえばいい」
「ひっでぇなぁ。 もちっとばかし俺のこと大事にしろよ」
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