詩未満

奥田たすく

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 壁に何かをかける
 画鋲とか フックとか
 真白な壁に 刺して ほじくって
 抉られるような思いで

 でもそれがしっくりくる位置にくるには
 よっぽど細心の注意と根気
 壁紙を変えるまでは
 決して消えぬ傷跡

 それなのに飾り付けるそれは色も形も変えてしまう
 目を離したすきに
 次のそれに変わってしまう

 いや 実はね
 失くしちゃうんだ いつも
 いつもいつも
 さあ飾ろうかというときに
 失くなっちゃうんだ
 もう一人の自分が隠しちまうみたいに

 
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